玉栄(たまさかえ)〈酒米の系譜〉

玉栄(たまさかえ)は滋賀県と鳥取県を中心に栽培されている酒造好適米です。平成28年度は655トンと前年比で1割程度増えました。酒米品種別では15位です。キレのある辛口の酒が作りやすいとされています。

玉栄(たまさかえ)〈酒米の系譜〉

玉栄(たまさかえ)は滋賀県と鳥取県を中心に栽培されている酒造好適米です。

平成27年度には全国で589トン。100種類近く栽培酒造好適米の中でも20位にランクインしている、ややメジャーな酒米です。

【追記】平成28年度は655トンと前年比で1割程度増えました。酒米品種別では15位です。県別の内訳は滋賀県426トン、鳥取県192トン、山梨県29トン、和歌山県8トンとなっています。(平成28年産米の農産物検査結果(速報値) 平成29年3月31日現在

主に滋賀県と鳥取県で栽培されている玉栄

主な生産地は滋賀県で、3分の2ほどを占めます。そのあとは鳥取県が続きます。山梨県と和歌山県でもわずかながら栽培されています。

滋賀県の酒蔵でよく使われる酒米の一つで、現在、県内の11蔵で使われています。ちなみに滋賀県では玉栄のほか、滋賀オリジナルの吟吹雪滋賀渡船6号、酒米の王様の山田錦などが栽培され、酒造りに使われています。

玉栄の特徴

キレのある辛口の酒が作りやすいとされています。心白が発現しにくいため、吟醸酒造りにはあまり向きません。

👉 玉栄を使った日本酒のテイスティングノートなど

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〈日本酒レビュー〉滋賀県産玉栄を使った純米酒。
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玉栄のそうそうたる祖先

玉栄は酒造好適米の白菊と山栄を交配して作られました。

白菊の祖先には雄町、神力など著名な酒米が、山栄の祖先には、酒造好適米ではありませんが酒造りに使われているがあります。

参考資料


おすすめ日本酒の本

日本酒や酒米の勉強をするのに役に立った本をご紹介します。

日本酒の科学

ブルーバックスの『日本酒の科学』和田 美代子 (著), 高橋 俊成 (監修)

酒米はもちろん、日本酒の造り、微生物の働き、熟成など多岐にわたった内容です。科学的な根拠が示されているのでおすすめです。

新しい日本酒の味わい方

田崎真也さんの『No.1ソムリエが語る、新しい日本酒の味わい方

たくさんの日本酒銘柄が原料米別に紹介されています。酒米の種類によってどのような日本酒が出来上がるかを知りたい方におすすめです。

酒米ハンドブック

こちらは最近改訂版が出た『酒米ハンドブック 改訂版』副島 顕子(著)。ハンドブックなので手軽に持ち歩けるサイズ。試飲会で新しい酒米に出会った時にさっと取り出せるのがいいですね。

酒米、酒米ではないけど酒造用によく使われている一般米が網羅、米の特徴はもちろん、系譜図と米の写真。これだけの米の写真を集めるには大変な努力を要したことでしょう。米の基礎知識のコラムも充実していてマストバイなハンドブックです。