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ラベルデザイン部門1位「富久錦」稲岡敬之さんがラベルに込める思い|Sake Competition 2018

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

毎年開催される消費者のための日本酒コンペティション、Sake Competition。2018年の「ラベルデザイン部門」で1位を獲得した富久錦株式会社の代表取締役製造責任者、稲岡敬之さんにお話をお伺いしました。

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富久錦は昨年のラベルデザイン部門でも5位に入賞、そして今年はついに1位に輝きました。

古いようで新しい、富久錦のロゴとラベルデザイン

白地に金箔で「富久錦」の「ふ」の字をモチーフにしたロゴ。モダンな印象の中に日本的な要素を感じました。「古いようで新しさのあるイメージにしたいと思っています」と稲岡さんは語ります。

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「富久錦の酒は今のトレンドでいうとモダンな酒ではありません。流行に流されないように、しっかりとしたベースがあった上でその時代に合わせた違ったものを取り入れています」と稲岡さん。だから、「古い中に新しさを」というコンセプトは、酒にもラベルデザインにも共通しているのです。その上で、酒の味わいとラベルデザインはリンクするべきだと語ります。

テーブルの上に溶け込むイメージ

デザインを担当したのはグラフ株式会社の代表取締役・ヘッドデザイナーの北川一成さん。東京・代官山に事務所を構えていますが、出身は稲岡さんと同じ、富久錦のある加西市です。

受賞した「富久錦 新緑の播磨路」。稲岡さんは北川さんに、「西洋料理での白い皿が並んだテーブルにすっと溶け込むようなイメージにしてほしい」とお願いしました。四合瓶がテーブルに置かれることをイメージして作られたデザインです。

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1992年から始まったロゴ

富久錦のロゴが作られたのは1992年。ちょうど造る酒が純米酒100%になったタイミングでした。このときからデザイナーの北川一成さんが担当していました。

海外に酒を売っていこうと考えた時に、漢字だと外国の方には全部同じに見えてしまうということで、このロゴマークを作ることにしました。

当初はなかなか受け入れてもらえなかったそうです。元の墨字に戻そうかと考えたこともありました。しかし、それではたくさんある酒の中に埋もれてしまいます。稲岡さんは、自分たちが「これがいい」と思ったことだ、と根気よく理解してもらうための説明を重ねていったといいます。理解されるまでには10年近くの年月を費やしました。

地域性を大切にする富久錦

富久錦はすべて地元加西市の米を使って酒を醸しています。これは1996年から。ロゴデザインとともに、全国的にもかなり早い段階からの取り組みです。

海にも山にも近い加西市周辺は薄味・薄口醤油文化です。加西市内にも2軒の醤油蔵があります。「このやさしい味わいの食文化に合わせた酒を造っていかなくてはいけないですね。ちょっと甘くて軽やかといったような、今流行りの味わいは地元では受け入れられないのです」と稲岡さんは語ります。

富久錦では今年から、木桶を使った酒造りをはじめました。蔵にあった古い桶を解体、再利用して作りました。

「木桶では基本的に温度管理ができないので、その土地の気温に合わせた仕込み配合など、気候に寄り添った酒造りになる」と稲岡さんは語ります。

地域で受け継がれてきた味わいを守りつつ、新しいことを取り入れる。地域の飲み手と地域性を大切にしながら酒を醸す姿勢を感じました。

Sake Competition 2018

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