急成長する酒蔵、「玉川」木下酒造|酒蔵訪問記
京都府京丹後市にある「玉川」の木下酒造を訪問しました。無添加無添加山廃をはじめとするしっかりした味わいの酒が特徴です。
酒造りシーズンも終わりにかかり、桜もチラホラと見られるようになった3月の末、「玉川」の木下酒造を訪問しました。
木下酒造は京都府京丹後市にある1848年に創業した歴史のある酒蔵です。無添加山廃造りをはじめとして様々なタイプの日本酒を醸しています。
フィリップ・ハーパー杜氏の案内で蔵見学
この日は幸運にも、日曜日にもかかわらず杜氏のフィリップ・ハーパーさんに酒蔵を案内していただきました。
増築して面積は倍に
ハーパーさんが木下酒造の杜氏に就任したのは2007年。その後9年間で生産高は2倍、売上は3倍になったといいます。
そして今年度から、酒蔵を増築し床面積は倍近くになりました。写真奥がもともとの酒蔵、手前が増築した部分です。
タンクもゆったりと広々とした配置です。
酒を搾るマシンはまるごと大きな冷蔵庫の中に。
新しい酒母室も稼働していました。電動シャッターも完備。
木下酒造では酒母に天然の乳酸菌と蔵付き酵母を使った山廃造りを行っています。ハーパーさんによると、天然の乳酸菌は仕込み水や蔵の空気中にいるとのこと。
今は、酒母の乳酸発酵が終わるまでは古い方の建物で、そのあと新しい酒母室で酒母を作っているそうです。来年からは新しい部屋でも最初から酒母造りができるのでは、とおっしゃっていました。新しい部屋で酒母を発酵させる環境をつくるのには時間がかかるのですね。
この他、30kgもの米を軽々と持ち上げることができるロボットアームのような機材も導入されていました。力仕事など効率化すべきところはどんどん効率化していくとのこと。
映画で出ていた麹室
ハーパーさんが出演する映画「カンパイ!世界が恋する日本酒」での印象的な麹作りのシーン。その現場の麹室です。
麹は作っていない時期でしたが、清潔感があって作業しやすそうな麹室でした。ここは2階にありますが、蒸米や出来上がった米麹を運ぶためのリフトも装備されています。
分析室は昔ながらの佇まい
古い方の建物にある分析室は昔ながらの佇まい。ハーパーさんはここで考え事をしたりもするのだろうか、と妄想してしまいました。
新しい倉庫も!
酒を造る建物の隣には大きな倉庫が2棟。中にはお酒が大量に保管されていました。ここでは温度調整はほとんど行っていないですが、「うちの酒は夏の気温で質が変わるような(デリケートな)酒じゃないから」とハーパーさん。
中には人気の Ice Breaker も大量に!このお酒は一般的な日本酒と違い、5月に一番出荷されるとのこと。私も大好きなお酒です。去年は売り切れが続出してなかなか飲めなかったですが、今年はかなり増産したそうです。うれしいですね。
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改装されたショップスペースでテイスティング
蔵見学のあとは玉川を何種類かテイスティングさせていただきました。
「玉川」のステンドグラスが目に留まります。玉川のおしゃれなラベルと相まって、落ち着いた上質な雰囲気のショップです。
写真は以前、あんもち雑煮と合わせた日本酒「玉川 Time Machine」シリーズの精米歩合と熟成期間違い3種類。今まで写真の真ん中の「Time Machine 1712」しか飲んだことがなかったで、こうやって飲み比べができてよかったです。
真ん中の「Time Machine 1712」、右の3年熟成の「Vintage」、左の「Time Machine 88」の順で好きでした。
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この他、特別純米酒をぬる燗にしたものも出していただきましたが、これは秀逸!味わいのアタックから余韻までがとてもなめらかな曲線を描く、キレの良いお酒でした。
この特別純米酒とカップ酒の玉カップをおみやげに購入して帰路につきました。
今回は、日頃お世話になっている酒屋さんのお誘いで、普段なかなか訪れることのできない久美浜の酒蔵まで来ることができました。
本は読んでいたがお会いしたことはなかったハーパー杜氏とお話ができて本当に幸運でした。ますます日本酒と日本酒文化を広める日本酒コンシェルジュ活動を頑張っていこうと思えた一日でした。
(2016年3月27日訪問)