棚田で育った米で造った日本酒4選+1

美しい日本の原風景、棚田で育った米を使って醸された日本酒をご紹介!

棚田で育った米で造った日本酒4選+1

日本の原風景「棚田」。山の斜面や谷間の傾斜地に階段状に造られた水田のことだ。NPO法人棚田ネットワークによると、日本にある水田のうち8%が棚田で、そのうち4割以上が耕作放棄されている。

今回紹介するのは棚田で育てられた米で醸した日本酒。地元の棚田で手間ひまかけて作られた米を使ったもの、さらに酒蔵が棚田の保全に貢献しているケースなど、それぞれの酒蔵の米作りと地域に対する考え方が見える酒ばかりだ。

純米吟醸酒 蟬

飲むと、棚田で蝉の声をききながら秋の実りを迎える情景が思い浮かぶ。「蝉」と名付けられたこの純米吟醸酒には米を感じる熟成感のある香りがあって、鱧の南蛮漬けや燻製チーズによく合った。

純米吟醸酒 蟬|日本酒テイスティングノート
〈日本酒レビュー〉落ち着いた、米を感じさせるやや熟成感のある香りです。杏、炊いた米、白玉粉。ほのかに玄米の香りと蜂蜜の香りが穏やかな熟成を感じさせます。

純米酒 能登誉 奥能登輪島 千枚田

石川県輪島市にある海辺の棚田「千枚田」で作られた五百万石と能登ひかりで醸された酒。みかん果汁と米飴の香りが特徴的で、安心感のある味わい。七輪でぬる燗にしたら最高だった!

純米酒 能登誉 奥能登輪島 千枚田|日本酒テイスティングノート
〈日本酒レビュー〉奥能登の棚田の米を使った酒。米とみかんのニュアンス。温めるとよいお酒。

萩乃露 里山 純米吟醸 無ろ過生原酒

私が日本酒を飲み始めた頃に、通っていた京都の飲食店で出会った酒。滋賀県近江高島にある「畑の棚田」で育てられたコシヒカリで醸されている。とろりとした口当たりに爽やかな甘味としっかりした酸味が楽しめる。料理に合う酒。現在はラベルがリデザインされているが、味わいが広がる美しさは健在だ。

里山の棚田で作ったコシヒカリ「萩乃露 里山 純米吟醸 無ろ過生原酒 2015」日本酒テイスティングノート
〈日本酒レビュー〉ラベルには滋賀らしい広々とした青空と棚田の写真。近江高島「畑(はた)の棚田」とあります。農林水産省が選んだ「日本の棚田百選」の一つです。

はちはち 純米酒

小豆島の中山地区にある棚田で作られたオオセトを使っている。精米歩合は88%なのでこの酒銘がつけられた。きれいな山吹色で、炒った米や米飴・ザラメの香りが心地よい、どっしりした味わいの酒だ。小豆島唯一の酒蔵、小豆島酒造(レビュー当時の名称は森國酒造)が醸している。

森國酒造「はちはち 純米酒」|日本酒テイスティングノート
〈日本酒レビュー〉小豆島のほぼ中央部に位置する中山地区の棚田(中山千枚田)で作られた酒米、オオセトを使って造られたお酒。

テイスティングノートじゃないけど、棚田でつくった米を巡るストーリー

滋賀県の「不老泉」上原酒造の前の杜氏、山根さんは自ら棚田で育てた酒米を使って酒を醸していた。彼の「米を作って酒を造る」生き方が今の杜氏の横坂さんにつながれた話を伺ったときのことを、今でも覚えている。

6. 米を作り、酒を造った山根杜氏を継承する|不老泉 上原酒造杜氏・横坂安男さんインタビュー
不老泉・上原酒造の横坂杜氏のインタビュー。第5回。「秋にはお前の米を持ってくるんだぞ」という言葉を残して旅立った先代の山根杜氏。その言葉を受け止め、横坂さんは予定していなかった米作りをすることにします。しかし、そこには大きな壁が立ちはだかっていました。

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日本酒レビューまとめ - 日本酒コンシェルジュ通信
日本酒文化を楽しむガイド。日本酒テイスティングノート・レビューや造り手のインタビュー、日本酒の個性や地域性のこと、世界のSakeのこと、日本酒イベントレポート、酒のエッセイなど。

参考文献