リースリンググラスで甘酸っぱいお酒、ボルドーグラスで熟成山廃「グラスで極める富翁」イベントレポート

久しぶりに参加したリアル・イベント。京都・伏見は富翁の酒を、Glassbaccaがセレクトするワイングラスで味わいました。

リースリンググラスで甘酸っぱいお酒、ボルドーグラスで熟成山廃「グラスで極める富翁」イベントレポート

久しぶりにリアルでの日本酒イベントに参加しました! 京都・伏見の「富翁」をいろいろなグラスで味わうという企画です。

それぞれ個性のある3種類の富翁を、3種類のワイングラスと本きき猪口で飲み比べました。同じお酒でも器によって見える顔が違うことを体験しました。ワイングラスには合いにくいと思うお酒でも、グラスのタイプによっては個性を引き出すこという発見があったのです。

3種類のワイングラスと本きき猪口

グラス専門商社のGlassbaccaが選んだワイングラスはスロバキアにあるRona社のもので、ザッハーホテルをはじめ世界の有名ホテルで使われています。

4種類の器で3種類のお酒を飲み比べます。全部で12パターンのテイスティングはちょっと大変かと思いましたが、あっという間に楽しみながらテイスティングできました。

  • フルートグラス(写真左手前)
  • リースリング(白ワイン)用のグラス(左奥)
  • ボルドー(赤ワイン)用のグラス(右手前)
  • きき猪口、酒造りの現場でのきき酒に使われる(中央)

さっそくテイスティング!

それぞれ特徴のある3種類のお酒をワイングラスときき猪口で飲み比べます。

純米吟醸丹州山田錦

まずは、「純米吟醸丹州山田錦」から。綾部の河北農園で栽培された山田錦と、伏見の水、京都の酵母「京の琴」で醸された、京都の地域性が詰まった吟醸酒です。

きき猪口が一番香りのバランスがよく、すっと入ってくるやさしい口当たりとうま味を楽しめました。リースリング用グラスは、おだやかさとまろやかなさを表現し、青い香りと梨の香りを感じました。ボルドー用では、さらに後口に米を感じる香りがあり、味わいは軽やかでシャープでした。この酒の違った顔が見えてきて、楽しめました。

山廃仕込

3年程度熟成された山吹色が美しい山廃です。干し草、はちみつ、米飴の豊かな香りを持ちながら、なめらかでミルキーなコクがあります。

きき猪口がこの酒のよさを十分に引き出しました。グラスではボルドー用で複雑で豊かな香りをバランスよく堪能できました。余韻の米のニュアンスもしっかり感じます。対して、リースリング用では香りのバランスが少し崩れて、味が離れる印象でした。フルートグラスでは余韻が短く感じられました。

ボルドー用のグラスで香りのバランスがとてもよかったことが記憶に残りました。個性がある酒はグラスを選ぶけど、ハマったらとてもよい、という体験でした。

プルミエアムール

甘酸っぱいお酒です。フランス語で「初恋」の意味。蔵元さんの初恋をイメージしてつくられたとのことです。

こちらは、リールスリング用、ボルドー用、きき猪口でそれぞれ高評価でした。ここまででかなりの量を飲んでいるので、評価が甘くなったのかもしれません。きき猪口では甘い香りと味の濃醇さとよい切れを、リースリング用ではうま味と後口のコクを、ボルドー用では後口のコクが広がるさまを楽しみました。

料理にあわせてグラスを使い分けたい

山廃のように個性の強い酒はグラスを選日ますが、それがピッタリとハマると、お酒のよさを引き出すことがわかりました。純米吟醸丹州山田錦とプルミエアムールはリースリング用でもボルドー用でも、それぞれ別の表情を見せます。

合わせる料理でグラスを使い分けたいと思いました。ペアリングするときには、「この酒とのこの料理」という1対1の組み合わせよりもむしろ、「この酒のある部分と料理のある部分」を合わせることが大切です。

酸味がしっかりしていて米感のある酒とテリヤキソースのトンテキのペアリングを思い浮かべてください。酒の酸味と豚肉の脂身の組み合わせにフォーカスすることもできるし、酒の白い米のニュアンスとテリヤキの濃厚な甘味とうま味を合わせることもできるのです。

合わせたい酒の表情を強調するためにグラスを選んで、その上で料理に合わせれば、ペアリングをもっと楽しめるのです。

リアルイベントの楽しさとコロナ時代の飲食イベントのあり方

このイベントは広めの会場で開催されて、参加者は24名でした。ソーシャル・ディスタンスが保たれる密度と距離感でした。

イベントの進行は、一つの酒につき10分間一人でテイスティングしてそのあとの5分間は同じテーブルの人と話す形式でした。一般的なお酒の会のように盛り上がりすぎたり、席替えが頻繁に起きたりすることがなかったので安心して参加できました。

イベントや酒場で人と話しながらご飯を食べたりお酒を飲んだりすることは、人として生きていく上で必要なことです。今の時代にどのようにイベントを開催すればよいのかのモデルを、このイベントが示してくれました。イベント主催者として、たくさんの勇気をいただいたと思います。

やっぱりリアル・イベントは楽しい! 一緒にいる人と話しながらお酒を飲むのは楽しい! この感覚を思い出したことが、最高の収穫でした。

おまけ: 帰りに食べたケーキに日本酒を合わせたいと思ったよ

昼酒でそれなりの量を飲んだこともあり、やはり「〆」の何かがほしいなと思っていたところ、そういえば、会場近くに好きなお菓子屋さんがあることを思い出しました。自然に足が向かった先でチョコレートの香りが楽しめる「マジェスティック」をいただきました。

さっきテイスティングした山廃仕込に合わせたいなあ、と思いながら、スイーツ&日本酒のイベントを開催したいと思ったのでした。

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【伏見の清酒 蔵元流・日本酒教室 ”北川本家” グラスで極める富翁~酒器から見つける新たな味わい~】10月23日(土)13:30-15:20 ※終... powered by Peatix : More than a ticket.
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