/ 日本酒レビュー

日本橋 濃醇純米酒 江戸の宴|日本酒テイスティングノート

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

横田酒造(埼玉県行田市)の空港限定、機内持ち込み可能日本酒セット。「純米大吟醸 日本橋」、「純米吟醸 浮城」と来て、いよいよ3本目の「濃醇純米酒 江戸の宴」。

これまでの2本はこちら。

ミルキーでライシーな、僕好みの酒

色がよい。美しい山吹色。上立ち香は炊いた米、乳酸系のミルキーな香り、ウリ、メロンの香り。口に含むと、「うまい!」と、またもや声を上げそうになる。隣の客は熟睡している。

やわらかで濃醇なアタック。ああ、ミルキー。酸味がキラキラしていて、きれいだ。炊いた米、乳酸飲料、干し草、そしてほのかにカカオ、蜂蜜の香り。

機上では叶わないが、55度位の燗酒にしてお風呂感を出したい。甘みを抑えてさらりとさせたい。きっと違う顔になる。(今思うと熱湯をお願いして湯煎することができたはずだ)

この蔵らしいさが出ている酒なのではないか

機上でテイスティングしていて、楽しいと感じた酒だ。胸キュンした。

3本飲んで、この酒がこの蔵の特徴をもっともよく表現している酒なのではないか、と思った。純米大吟醸、純米吟醸の奥底に垣間見た米のニュアンスがアンプリファイされてこの酒の中にどしっと座っている。風の香りのもとを探し当てたような気分になった。思わず笑みがこぼれる。隣は熟睡している。

手で温める

手のひらで温める。ステムレスのワイングラスはこれがしやすいのでよい。卵を温める気持ちでグラスを包み込んだ。

ゆっくりと口に含む。引っかかるところがまるでない。やさしくて、力強いアタック。蜂蜜や柑橘ピールの香りがこちらを向き始めた。余韻のカカオ、ウエハース、ミルク飴の香りも更にくっきりと。うま味もまだそばにいてくれる。穏やかながらアルコールの刺激。これはだし汁ではなくお酒なのだと思い出す。

うま味を共演させたい

酒のうま味とだし汁のような性格を活かして、燗酒にして同じ温度の料理と合わせたい。出汁が具材と手を取り合っているようなおでん、オニオンスープ、だし巻き卵、ピカタ。

酒の地域性と食文化を想像した

この蔵の特徴はなにか? たしかに埼玉っぽい味である。この特徴をもっとグイグイと押していくのがいいのではないか? そして地元の食文化と一体となったところを味わいたい。行田市に行きたいと思った。

DSCF6249-0960

サッカロマイセス・サケ

記事を書くときにあらためて調べたら、酵母に「サッカロマイセス・サケ」を使っていることがわかった。

「サッカロマイセス・サケ」は、清酒酵母の父、矢部規矩治博士が1985年にはじめて発見・分離した清酒酵母である。現在よく使われているきょうかい6号、7号のグループ、11号とは遺伝子の違いから系譜が違うところにあって、きょうかい1号酵母などと近いところにある[1]

この系統の酵母を使った酒はいくつかテイスティングしたことがあるが、とくにうまく、この酵母の持ち味を出していると感じた。次回は地上で、埼玉で料理とともに味わいたい。

メキシコ・シティの灯

飲み終わったところでひと眠り。目を覚ますとメキシコ・シティの夜景。このあと飛行機を乗り換え、メキシコ唯一の酒蔵、SAKECULの訪問である。

IMG_9635-0960

(テイスティング日: 2018年11月10日)

ラベル情報

  • 日本橋 濃醇純米酒 江戸の宴
  • 〈醸造元〉 横田酒造(埼玉県行田市)
  • 〈仕込み水〉 -
  • 〈原料米〉 朝の光
  • 〈精米歩合〉 70%
  • 〈酵母〉 サッカロマイセス・サケ
  • 〈特定名称/種別〉 純米酒
  • 〈アルコール度数〉 15-16度
  • 〈原材料〉 米(国産)、米こうじ(国産米)
  • 〈日本酒度〉 −6
  • 〈酸度〉 2.5
  • 〈製造年月〉 30-10

  1. Masatoshi Azumi and Nami Goto-Yamamoto. AFLP analysis of type strains and laboratory and industrial strains of Saccharomyces sensu stricto and its application to phenetic clustering. Yeast 2001: 1145-1154. ↩︎