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櫻正宗 純米酒 焼稀 協会1号酵母|日本酒テイスティングノート

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

明治39年に醸造研究所で初めて分離・培養され、頒布された「協会一号酵母」。戦中戦後の混乱で失われたとされてきましたが、近年、醸造協会に保存されていることがわかりました[1]。この酵母を使って醸したお酒です。

燗酒にすると圧倒的にバランスが良くなるお酒です。コントラストが控えめの水墨画のようなイメージですが、全体のバランスが調和しています。

10度前後の温度帯で

ISOテイスティンググラスを使い、冷蔵庫から出したばかりの10度前後の温度帯でテイスティングしました。

外観はごく薄い山吹色。

ワイングラスだと糠の香りを感じてしまいます。おちょこで飲んだほうがいいですね。

透明感のある軽やかな口当たり。甘味はしっかりとしておりキラキラ感が出ています。酸味は穏やかでそこそこの強さ。柑橘を思わせます。

香り(含み香)は、柚子ピール・ゆず・はちみつ・ほのかにザラメ。柑橘ピールを思わせる苦味。余韻は短めで収斂感がちょっと強めです。漬け込んだ、あるいは加熱した柑橘ピールの香り。苦味が残ります。

全体的に蜜のニュアンスがするが、膨らみがほしい感じ。古い木造家屋、西陽のあたる畳の部屋に、丁寧に磨かれた金魚鉢が置かれています。

常温(25度程度)で

そのまま常温になるまで放置すると、花の蜜を感じました。

粉砂糖の甘味、しっかりとした酸味。アルコールの刺激を舌に感じます。余韻は短く、笑顔ですれ違ったと思ったら、立ち止まらずにすぐに行ってしまう。アルコール感、炊いた米の香り、白米の香りが残ります。

燗酒(45度程度)でほっこり

45度。燗酒。お風呂感。ううん、最高です! 思わず笑みがこぼれます。

ジワーッとしたお風呂感があります。口当たり、味わい、香りともやわらかい印象。包み込まれるような感じ。味わいは控えめ。甘さは控えめ、穏やかな酸味。白い米のニュアンスがある米々しさ。含み香はミルク飴・ミルクチョコレート・カボス・柚子ピール・上新粉・白玉団子の香り。

余韻はやや長い。柚子ピールのような苦味・炊いた米・カボスの香り。そして、うま味が逗留します。

燗酒がおいしいお酒です。断然、燗にすると上がるお酒です。

ライトな味わいの食材に塩味を加えて

白身魚の塩焼き、鱚の天ぷら、ハタハタの干物、白子の天ぷらなどと食べたい。あまい酒の味わいが強くないので、ライトな味わいの食べ物と合わせたい。また、酒のふんわりしたニュアンスを引き締める塩味があるとなおよいでしょう。

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造りも100年前のスタイル、ラベルもクラシックです。コレクションしたくなりますね。

(テイスティング日: 2018年6月7日)

ラベル情報

  • 櫻正宗 純米酒 焼稀 協会1号酵母
  • 〈醸造元〉 櫻正宗(兵庫県神戸市東灘区)
  • 〈仕込み水〉 -
  • 〈原料米〉 吉川町特A地区産山田錦
  • 〈精米歩合〉 80%
  • 〈酵母〉 協会1号酵母
  • 〈特定名称/種別〉 純米酒
  • 〈アルコール度数〉 15-16度
  • 〈原材料〉 米(国産)、米こうじ(国産米)
  • 〈製造年月〉 29-11
  • 〈その他情報〉 60年ぶりに復活した協会一号酵母を用いて百年前の造りで醸した生酛造りの純米酒

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  1. 櫻正宗 焼稀(やきまれ)協会一号酵母 ↩︎