ジューシーなメロンと梨「一代 桜弥山 純米吟醸」日本酒レビュー
サクラオブルワリーアンドディスティラリーは、ウイスキーやジン、焼酎、そして日本酒など数多くの酒類を製造している。蒸溜所見学に参加してウイスキーをテイスティングしたが、この記事は香り高い日本酒について書いてある。
出会い
広島カープの酒「うまいじゃろカープびいき」が脳裏にあったので、この年の広島旅行にサクラオブルワリーアンドディスティラリー訪問を加えた。広島から路面電車に乗って、駅から少し歩いたところにある。この会社の敷地は巨大で、なるほど、ビール以外のほとんどの酒類、ウイスキーからジン、リキュール、日本酒、焼酎、合成清酒、みりんまでを製造しているわけだ。日本酒の蔵見学は提供されていないものの、蒸溜所ツアーがあったので参加した。控え目に言って最高だった。
ウイスキーファンも初心者も楽しめるよく設計されたツアーだった。ガイドさんは年代物のポットスチル(日本のウイスキー史のかなり初期から使っていたとのこと)と最新のポットスチルを見せてくれた。ウイスキーだけでなく、ローカルなボタニカルを使ったジンも造っている。廿日市といえば牡蠣が名産で、地元では広島よりもこちらが本場とされているし、マンホールも牡蠣デザインである。その牡蠣の殻をボタニカルとして使ったジンもある。ツアーの最後に、ニュー・ポット(樽熟成前の原液)と、熟成場所のちがう2つのシングルモルトウイスキーをテイスティングした。海側の倉庫と、山の中の2カ所である。
テイスティングしてほろ酔いになったけれども、日本酒を探すことを忘れてはいなかった。ショップにあったのは「一代弥山(みせん)」、ちょうど桜のシーズンだったの「桜弥山」を選んで、家に連れて帰ったのであった。
心地よい吟醸香
冷やした状態でいただく。メロンや梨を思わせるゴージャスな果物香に驚くだろう。メロンの種の近くのとろりとした部分を想像してほしい。そんな甘い香りだ。口にすると、以前飲んだ「うまいじゃろカープびいき」の味わいのベース、なめらかな味わいとほのかな米の香り、が共通している。上位互換バージョンだ! 梨の種のまわりの心地よい渋みを感じながらきれいに切れるのがよい。
70℃くらいに温めると、やさしい米の味わいと上品な輪郭を感じた。飲んだら50℃くらいかなと思った。米のよいところを活かすようによく造られた酒はしばしば、かなり温度を上げてもそれを感じないのだ。これを教えてくれたのが、この高温燗をつけてくれた「若水」の大将、作石さんだ。
2023年4月、若水(京都)にて
※ このレビューは、動画「真夜中のお燗トーク」でのテイスティングを元にしています。
ラベル情報
醸造元: サクラオブルワリーアンドディスティラリー(広島県廿日市市)
タイプ: 純米吟醸, アルコール度数: 15-16%
原料米: 八反錦(精米歩合55%)
この記事は “Ichidai Sakura Misen Junmai Ginjo | Saké Review” の翻訳です。