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お酒の「常温」について〈盃のあいだ nº1〉

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

きょうから日本酒コンシェルジュUmioがエッセイを綴ります。

「盃のあいだ」。盃を交わすとき、ふたつの盃のあいだにある心。ひとりで盃を重ねながら、巡らせる思い。そんなことを書いていこうと思います。

お酒の「常温」について

体温に近い温度で味の膨らみを楽しんだり、香り高い吟醸酒を冷やして飲んだりと、日本酒は幅広い温度帯で楽しめるお酒です。

酒造りのプロが鑑評会や社内できき酒をするときは、酒を20度に保って行います(参考: 酒造家の利き酒 〜最高の酒を目指して〜)。香りがわかりやすく、他のきき酒する時との条件を揃えるという理由からです。

でも、楽しむときはやっぱり、「このお酒はどんな温度にしたら喜ぶかなー、おいしいかなー」と思いながら飲んでいます。燗酒にしたいと思う酒が好きな酒です。

日本酒の地域性を探るワークショップ「日本酒テロワールキャノンボール(現 Local Saké Cannonball ローカル・サケ・キャノンボール)」でも「燗酒リクエスト」が出ます。おもしろいことに、酒によってリクエストが多かったり、全然なかったりします。「え、これ温めるの?」という意外なリクエストでも、燗にしてみると意外と行けたり。こんな新しい発見があります。

毎年秋から冬にかけて開催される伏見Sakezo's Barで英勲・齊藤酒造の齊藤社長と話していたところ、お酒の温度帯について意外なひとことが。

その季節の常温の酒を楽しむんですよ

常温の酒を楽しむことは季節を楽しむこと。酒の温度と体温との差で季節を感じる。そして旬の食べ物と合わせる。これが酒の楽しみ方だと齊藤社長は語りました。

長年酒と向き合い、酒を造り続けてきた蔵元さんの言葉に目から鱗が落ちました。その時の「常温」で季節を感じる。とてもシンプルで奥が深いことです。日本酒を知れば知るほど、飲めば飲むほどまだ見ぬ深くて広い世界が広がっているのだ、と感じました。

日本酒コンシェルジュの話を聞いてくれてありがとう。乾杯!

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P.S. 英勲 特別純米酒 生酛が、この時齊藤社長に注いでいただいたお酒です。