浜大津こだわり朝市で「浪乃音」を楽しむ(2024年1月)|日本酒レビュー
2024年1月の浜大津こだわり朝市の日本酒ブースは「浪乃音」。今年初めて会う酒友たちとほろ酔いで楽しい時間を過ごした。
毎月第3日曜日は早起きして朝市に行く。地下鉄と路面電車に揺られていく。そこで朝から酒を飲む。これを楽しみに日々生きている。
この日は今年最初の浜大津こだわり朝市。日本酒ブースは「 浪乃音」。いつもながらの賑わいだった。新しい商品の Te to Te を開発した中井充也ご夫妻がいらっしゃったけど、写真を撮ったときはマキノで燻製をつくる「杣人」のご主人もお酒をサーブされていた。Te to Teのはっぴは良いなと思った。
日本酒ブースの素晴らしいところは、必ず燗酒での試飲ができることだ。酒燗器を前にした樽さんがつける燗は最高だ。酒の個性を引き出す付け方だし、「なるほど、こうやって燗をつけるんだ」と学んだりもする。そして、いつもどの酒を買って帰るか迷ってしまうのだ。
試飲した浪乃音のテイスティング・メモ
(写真右から)
浪乃音 新走り(あらばしり)
なめらかに入って、しっかりとした味わい、酸味と米の味わいが広がり、よく切れる。よい泡が出てくるくらいに温めると、なめらかな白玉団子を思わせる味わいはやさしく、それでいて緊張感がある。さらに温めると爽やかな酸味と青い香りが際立ち、ハッカ飴が脳裏に浮かぶ。
浪乃音 Te to Te
Te to Teは11代目の中井充也さんが修業先の曙酒造(天命・福島県)から帰ってきてつくり上げた新しい味わいの酒だ。日本酒初心者にも楽しんでもらいたいという思いがこもっている[1]。冷たいときは軽やかな味わいで、爽やかな酸味と 浪乃音らしい深い味わいが広がる。すこし温めても、冷たいときの味わいの広がり方が思い起こされるのがよい。
浪乃音 古壺新酒
「古壺新酒」は、俳人の高浜虚子が昭和の初めに造った言葉で、古い壺に新しい酒を入れる、つまり17文字という俳句の伝統的な形式のなかで花鳥諷詠(花鳥風月を詠む)という新しいスタイルを醸す意味がこめられている [2]。「古壺新酒」は伝統を守りながら新しいことにチャレンジをつづけるという、浪乃音酒造のモットーとなっている。虚子は浪乃音酒造に逗留して多くの句を詠んでいる。ラベルの揮毫も彼によるものだ。
4年ほど生で熟成されている。黒蜜やほうじ茶を感じさせる、ほのかな熟成香をまとった、とろやかな口当たりと蜜のような甘味。温めるとアルコールが主張してきて、熟成香とあいまってウイスキーボンボンを口に含んでいるようなような気分になる。40℃手前に温めてもらったのが一番この酒の良さが出ていた。おいしかった!
パーフェクトな休日
酒友たちと新年の挨拶を交わしたり雑談したりして楽しいひとときを過ごしたあと、試飲した中でいちばん心が反応した「古壺新酒」を買い求めた。これに朝市をめぐってみつけた杣人の燻製牡蠣、近江の大根を携えて帰途につく。お気に入りのお店で洋食をいただき、少し散歩して帰宅するのがルーチンだ。そうやって過ごして家に着くと、ちょうどアルコールが代謝されているので、ソファで好きな本を読む。パーフェクトな休日だ。
2024年1月、浜大津こだわり朝市(滋賀県大津市)にて
ラベル情報
醸造元: 浪乃音酒造(滋賀県大津市堅田)
浪乃音 新走り
タイプ: 無濾過生原酒, アルコール度数: 18-19%
原料米: 山田錦, 日本晴(精米歩合65%)
なみのおと〜てとて〜
タイプ: 純米吟醸, 生酒, アルコール度数: 15%
原料米: 玉栄(精米歩合60%)
浪乃音 純米大吟醸 古壺新酒 生酒 2020年
タイプ: 純米大吟醸, 生酒, アルコール度数: 16%
原料米: 播州愛山(精米歩合50%)
浜大津こだわり朝市、日本酒を飲んだ記録
参考文献
- [1] 浪乃音酒造. (2024-01-22). Te to Te てとて – 浪乃音酒造. https://naminooto.com/pages/tetote
- [2] 高浜虚子. (1931-01). "俳句に志す人の為に". ホトトギス 34(4)(413). ホトトギス社.