松の司 純米大吟醸 AZOLLA 35・大吟醸 Ultimus・純米大吟醸 渡船|日本酒テイスティングノート
〈日本酒レビュー〉松の司のプレミアム酒を3種、テイスティング。美しかった。
滋賀県は守山で開催された「松の司 きき酒会」でプレミアム酒をテイスティングしました。今回3度めの参加ですが、いつもこの有料試飲を楽しみにしているのです。
左から順に紹介します。
まずは「純米大吟醸 Azolla 35」。このシリーズは今年度(30BY)からすべて酵母無添加生酛で醸されています。Azollaとは水草の一種で、農薬にとても弱いとのこと。Azollaが生きる水田で育った山田錦を使ったこの酒について、杜氏の石田敬三さんは「無農薬の米を無添加生酛で造るのは理屈が合う」と語ります。モダンで、きれいとの印象で、しっかりとした輪郭と味わいの酒です。白桃と若草・玄米の香り。
2年前の2017年は生酛ではありませんでした。メープルシロップやザラメの香りなどから、同じ2年熟成ながら、今より激しかったのかもしれません。
次は「大吟醸 Ultimus(アルティマス)」。Ultimus はラテン語で「最後の」という意味。つまり松の司のラスボスです。その名に負けず、味わいの曲線が美しい酒でした。白桃とりんご・白玉粉の香り。
2017年に比べると、香りが穏やかになったと感じました。
最後に「純米大吟醸 渡船」。滋賀の酒米品種、渡船の35%精米はなかなか出会う機会がないですね。ライトなクリームチーズと青いメロンの香り。やわらかな口当たりを楽しみました。
テイスティングコメント
松の司 純米大吟醸 AZOLLA35 生酛造り 2017BY
モダンで、きれいさと透明感があり、くっきりとした輪郭としっかりとした味わいが特徴。全体的に引っかかりがなく、味と香りが上品にまとまっている。2年熟成だが、もっと熟成させたい。
15度くらいでテイスティング。見た目はごく淡い山吹色。上立ち香は白桃・若草・玄米。口当たりはやわらかでとろりとしている。強くてシャープな酸味、キラキラとした甘味。すこし、蜜のようなニュアンス。メロンやアプリコットの香りのあとは野菜スープのうま味とえぐ味。余韻は長く、うま味と酸味が広がる。
酵母無添加。
松の司 大吟醸 Ultimus(アルティマス)
出会ってから体の中に入りきるまで、美しい曲線を描く酒。華やかで切れが印象的。トラッドな酒。
透明でクリア、ごく淡い黄色。上立ち香は白桃とリンゴ。甘く華やかな香りである。口に含むと、テクスチャはやわらかく、甘味が広がる。その中に苦味が見える。含み香はアプリコット。やや収斂味があり、よく切れる。スパっと切れる。余韻は短めでアルコールの刺激がぴりりときたあとに白玉粉の香り。
1801号酵母。
松の司 純米大吟醸 渡船
ごく淡い黄色。上立ち香はライトなクリームチーズと甘くないメロン。軽やか。口に入れると甘味とやわらかな口当たりを感覚する。後半少し痩せてしまって、膨らみがほしいなと思う。冷やしたほうがいいかもしれない。温度が上がると何故か少し物足りなくなる。寝かせたい。
901号酵母。
(テイスティング日: 2019年6月12日)
ラベル情報
松の司 純米大吟醸 AZOLLA35 生酛造り 2017BY
- 〈醸造元〉 松瀬酒造(滋賀県蒲生郡竜王町)
- 〈仕込み水〉 -
- 〈原料米〉 滋賀県竜王町産 山田錦 100%(環境こだわり農産物認証・栽培期間注化学肥料、除草剤不使用・栽培者: 松瀬武夫)
- 〈精米歩合〉 35%
- 〈酵母〉 無添加(蔵つき酵母)
- 〈杜氏〉 石田敬三
- 〈特定名称/種別〉 純米大吟醸酒
- 〈アルコール度数〉 16度
- 〈原材料〉 米(国産)、米麹(国産米)
- 〈酒造年度〉 2017
- 〈日本酒度〉 +2
- 〈酸度〉 1.4ml
- 〈製造年月〉 2019-05
松の司 大吟醸 Ultimus(アルティマス)
- 〈醸造元〉 松瀬酒造(滋賀県蒲生郡竜王町)
- 〈仕込み水〉 -
- 〈原料米〉 兵庫県産米(特A地区)東条山田錦 特上米 100% 栽培責任者: 田中孝英
- 〈精米歩合〉 30%
- 〈酵母〉 自社保存株
- 〈杜氏〉 石田敬三
- 〈特定名称/種別〉 純米大吟醸酒
- 〈アルコール度数〉 16度
- 〈原材料〉 米(国産)、米麹(国産米)、醸造アルコール
- 〈酒造年度〉 2018
- 〈日本酒度〉 +1
- 〈酸度〉 1.3ml
- 〈製造年月〉 2019-05
松の司 純米大吟醸 渡船
- 〈醸造元〉 松瀬酒造(滋賀県蒲生郡竜王町)
- 〈仕込み水〉 -
- 〈原料米〉 滋賀県竜王町産渡船100%(環境こだわり農産物・栽培責任者: 田村仁孝)
- 〈精米歩合〉 35%
- 〈酵母〉 自社保存株
- 〈杜氏〉 石田敬三
- 〈特定名称/種別〉 純米大吟醸酒
- 〈アルコール度数〉 16-17度
- 〈原材料〉 米(国産)、米麹(国産米)、醸造アルコール
- 〈酒造年度〉 2018
- 〈日本酒度〉 ±0
- 〈酸度〉 1.4ml
- 〈製造年月〉 2019-05