ひとごこち〈酒米の系譜〉
「ひとごこち」は、長野県農事試験場で1987年から育成が開始され、1995年に種苗登録申請、長野県酒造組合で試験醸造が始まりました。
「ひとごこち」は、長野県農事試験場で1987年から育成が開始され、1995年に種苗登録申請、長野県酒造組合で試験醸造が始まりました。
酒造好適米の白妙錦を母に、信交444号を父に交配されました。白妙錦は酒造好適米の玉栄の子どもです。父親の信交444号はコシヒカリのDNAを受け継いでいます。
長野県では美山錦が多く栽培されてきましたが、タンパク質の含有量が多い、心白が出にくいなどの欠点がありました。
それらを乗り越えるために開発された「ひとごこち」は、心白が出やすく大粒なため、より酒造り、特に高級酒造りに適した酒米です。淡麗で味に幅がある酒を造りやすいとされています。
生産量は酒米の中では多く、全体で7位(2015年度)となっています。
【追記】2016年度では酒米の中で8位でした。
参考資料・文献
- 農業試験場で育成した品種の紹介|長野県
- 前重 道雅、小林 信也『最新 日本の酒米と酒造り』養賢堂、2000年4月
- 米穀の農産物検査結果 | 農林水産省
- イネ品種・特性データベース
おすすめ日本酒の本
日本酒や酒米の勉強をするのに役に立った本をご紹介します。
ブルーバックスの『日本酒の科学』和田 美代子 (著), 高橋 俊成 (監修)
酒米はもちろん、日本酒の造り、微生物の働き、熟成など多岐にわたった内容です。科学的な根拠が示されているのでおすすめです。
田崎真也さんの『No.1ソムリエが語る、新しい日本酒の味わい方』
たくさんの日本酒銘柄が原料米別に紹介されています。酒米の種類によってどのような日本酒が出来上がるかを知りたい方におすすめです。
こちらは最近改訂版が出た『酒米ハンドブック 改訂版』副島 顕子(著)。ハンドブックなので手軽に持ち歩けるサイズ。試飲会で新しい酒米に出会った時にさっと取り出せるのがいいですね。
酒米、酒米ではないけど酒造用によく使われている一般米が網羅、米の特徴はもちろん、系譜図と米の写真。これだけの米の写真を集めるには大変な努力を要したことでしょう。米の基礎知識のコラムも充実していてマストバイなハンドブックです。