裏ラベルのメッセージが素晴らしい日本酒5選

みんなー、ちょっと後ろ向いてくれない? これはいい、と思った裏ラベルの日本酒を選びました!

裏ラベルのメッセージが素晴らしい日本酒5選

日本酒の裏ラベルには、製造年月日やアルコール度数など書かなくてはいけないことが決められているけど、それを超えた情報やメッセージを伝えているラベルもある。相性のいい料理から蔵元のストーリーまで、「これは!」と思った裏ラベルを選んだ。

相性のよい料理がわかる「香住鶴 山廃 25° 黒ラベル」

凍結して濃縮する方法でアルコール度数25度を実現した香住鶴山廃には、蒸留酒のような味わいがある。裏ラベルには「中国料理・ハム・燻製・脂がのった料理や味の鯉料理・デザート類」と相性のよい料理が示されているのがよい。

蒸留酒のようだが米も感じる不思議なお酒「香住鶴 山廃 25° 黒ラベル」日本酒テイスティングノート
〈日本酒レビュー〉入り口は蒸留酒のようなニュアンス、次第に日本酒の顔が出てくる。米や麹の香りだ。少し温めるとやさしくなる。

テイスティングコメントつきの「日の丸 生酛純米大吟醸 Hinomaru Kimoto Junmai Daiginjo “30 Grains”」

こちらは「日の丸」の海外向けのラベル。味わいを記述したテイスティング・コメントとフード・ペアリングの例が書かれている。「日の丸」はたった30粒の籾殻から復活した品種名でもある。

ちなみに、こんなコメントが書かれている。

Aroma: Nutty, toasted sesame, ripe fruits.
Palate: Round with Mandarin orange, Asian pear, Lovely acidity mid-palate.
Finish: Swift, dry, peppery.
Texture: Satiny smooth.
Food Pairing: Expansive. Sushi, sashimi; Foie Gras, Liver Paté; Meat dishes, Cheese platter.
香り: ナッツ、煎りごま、熟したフルーツ。
味わい: みかんや梨のような丸みを帯びた味わい、口の中で美しい酸味を感じる。
後口: 余韻は短く、辛味がある。
口当たり: とてもなめらか。
合わせたい料理: 幅広い料理に合う。寿司や刺身、フォワグラやレバーのパテ、肉料理、チーズの盛り合わせ。

飲みたくなるね!

日の丸 生酛純米大吟醸 Hinomaru Kimoto Junmai Daiginjo “30 Grains”|日本酒テイスティングノート
〈日本酒レビュー〉爽やかな酸味とやや熟成を感じさせる丸い甘味のバランスがよいお酒です。

原料米へのこだわりと思いが語られている「田村 生酛 純米吟醸」

自然栽培米を使って生酛造りで仕込まれたこの酒の「自然の力」が語られている。ラベルで原料や製法を示すのは一般的だけど、これは、「酒米を◯%まで削った吟醸造り」といった技術やコストのアピールを超えた、造り手の哲学が感じられる裏ラベルだ。

クラシックでモダン、燗がおいしい酒「田村 生酛 純米吟醸」日本酒テイスティングノート
〈日本酒レビュー〉自然栽培米・酵母無添加で醸されたこの酒は、燗がおいしい。

裏ラベルの点字が一歩先を進んでいる「伯楽星 純米大吟醸 雄町」

伯楽星の日本酒の裏ラベルには、点字で「はくらくせい」と書かれている。ビールの缶やパック酒の蓋にも点字があるけど、それらは「おさけ」と書かれている。誤飲防止が目的だ。

伯楽星の裏ラベルに「はくらくせい」と書かれているのには大きな意味がある。視覚障害者が「これは伯楽星の日本酒だ」と分かる。障害を持つ人も健常者と同じように、「これはどんな酒か」を知りたい、同じように酒を選んで、酒を飲む楽しみを享受できるようになるべきだ。「危険を防ぐ」の一歩先を進んでいるこの点字表記に未来を感じる。

伯楽星 純米大吟醸 雄町|日本酒テイスティングノート
〈日本酒レビュー〉探ると相性が見える、でも意識しないと食も酒も進む。究極の食中酒たるゆえんなのかもしれません。

【補足】厚生労働省の「平成18年身体障害児・者等実態調査」によると、視覚障害者のうち点字が読める人の割合は12.7%に過ぎない。ラベルにNFCなどを埋め込んでスマートフォンで読み上げできるようにするのがよりユニバーサルだ。

蔵元さんが語りかけている様子が心に浮かぶ「花巴 水酛✕水酛 無濾過生原酒」

びっしりと文字で埋められた裏ラベルには、最初は圧を感じてしまうけど、読みすすめると引き込まれる。目の前で蔵元さんが語っているかのようだ。声に出して読みたい。

花巴 水酛✕水酛 無濾過生原酒|日本酒テイスティングノート
〈日本酒レビュー〉 とても濃厚な味わいですが切れがよい酒。濃厚さと酸味による緊張感が同居しています。

日本酒レビュー・テイスティングノートのまとめ

以上、役に立つ裏ラベル、読ませる裏ラベルの日本酒をご紹介した。この他にも色々な切り口で日本酒レビューをセレクションした記事があるので、ぜひ読んでください!

日本酒レビューまとめ - 日本酒コンシェルジュ通信
日本酒文化を楽しむガイド。日本酒テイスティングノート・レビューや造り手のインタビュー、日本酒の個性や地域性のこと、世界のSakeのこと、日本酒イベントレポート、酒のエッセイなど。

参考文献