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蒸留酒のようだが米も感じる不思議なお酒「香住鶴 山廃 25° 黒ラベル」日本酒テイスティングノート

日本酒コンシェルジュ Umio 江口崇 日本酒コンシェルジュ Umio 江口崇

蒸留酒のようだが米も感じる不思議なお酒

飲むと「これは蒸留酒!?」と思うが、少しずつ日本酒にある米のニュアンスが現れてきて安心する。濃いアルコール特有のまろやかさ(甘く感じたりする)と日本酒らしい味わいのアンバランスが楽しい。濃い味付けの料理に合わせたい。食前酒としてもよいかもしれない。

これはアルコール度数25の酒。日本酒から造られている。日本酒は比較的高いアルコール度数(22〜23度くらい)まで発酵する。醸造酒のの中でも高い部類だ。この酒は、凍結して濃縮することで高いアルコール度数を実現している。ジュースやスポーツドリンクを冷凍すると、最初に溶けてくる部分は味が濃い。それと同じ原理で造られる。

この方法でアルコール度数の高い酒を造るのは昔から行われている。米国で開拓時代に飲まれていた「アップルジャック」(ジャック・ローズなどのカクテルベースとして使われている)はリンゴのサイダー(シードル)を樽に詰めて家の外で凍らせて造られていた。水の部分が先に凍るので、まだ凍らない部分はアルコール度数の高い液体になるのだ。でもこのやり方は蒸留酒が普及したあとに廃れてしまう。

テイスティングノート

25°C、清酒グラスで

口に含むと蒸留酒のようなニュアンスがある。濃いアルコールの丸さと甘さ、それらを刺激と苦味が追いかける。でもすぐに、ああ日本酒だ、とわかる。生米や糠の香りが有るからだ。糠の香りは、開栓後しばらくしたら、いなくなった。

42°C、清酒グラスで

一合瓶のビニールの包装をはがして、ソースパンを使って瓶燗する。湯煎でゆっくりと温める。燗酒では味の広がりだけでなく、温度自体も感じるのだ。米や麹を感じるやさしい甘味がある。少し甘露のような丸みを帯びたとろやかな口当たりの甘味だ。

50°C、清酒グラスで

さらに温めると、アルコールの香りが引き立つ。乳酸系の香りも顔を覗かせる。アルコールの濃さは依然として存在するが、全体的な味わいは今ひとつの印象。

常温か、冷やして飲むのがおすすめ。

ペアリング

18ヶ月程度熟成させたコンテチーズやフルーツの入ったあんみつやフルーツゼリーに合わせたい。

(テイスティング日: 2020年9月27日)

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ラベル情報

香住鶴 山廃 25° 黒ラベル

  • 〈醸造元〉 香住鶴(兵庫県美方郡香美町)
  • 〈仕込み水〉 -
  • 〈原料米〉 兵庫県豊岡産 五百万石
  • 〈精米歩合〉 麹米63%、掛米68%
  • 〈杜氏〉 -
  • 〈特定名称/種別〉 雑酒②
  • 〈アルコール度数〉 25度
  • 〈原材料〉 日本酒(米(日本産)・米こうじ(日本産米)・醸造アルコール))
  • 〈製造年月〉 2018-08

参考資料

福西英三. 2008. 読むカクテル百科.東京: 河出書房新社.