/ 世界のSaké

世界のsakéをめぐる旅で地酒に出会った話

日本酒コンシェルジュ Umio 江口崇 日本酒コンシェルジュ Umio 江口崇

酒をめぐる旅をつづけていること、世界のsakéを巡る旅で「地酒」に出会ったこと、その旅を通して見えた世界のsaké醸造の3つの時代とその未来について話そうと思う。

酒をめぐる旅

日本酒の魅力に出会ってから、酒をめぐる旅を続けている。いろいろな土地を旅してそこ料理と酒を楽しんでいる。酒を飲むのは造られた場所から近ければ近いほどよいというけれど、それが心からわかるようになってきた。

それほど月日を重ねたわけでもない頃、僕の酒旅は日本を飛び出した。台湾・メキシコ・ブラジルでは大好きな日本酒に出会った。その土地の食文化に埋め込まれた地酒を知り、今まさに生まれようとしている地酒を飲む機会を得た。20世紀のはじめから日本国外で日本酒が醸されていたことを知ったのはその後のことだけれども、知れば知るほどその当時の日本酒シーンといまの世界的な日本酒ブームのつながりが見えてきて、身震いした。

ちなみに「海外の日本酒」という表現はもう使えない(2015年に国税庁が定めた地理的表示「日本酒」で、日本の酒税法に則って、日本産の米を使い日本国内で製造された清酒日本の原料を使って日本で醸造された清酒のみを「日本酒」と呼べる)。「海外の清酒」やsakéとするのが妥当だが、ここではsakéを採用する。

世界を旅して、地酒に出会った

「地酒」という言葉には人によっていろいろな思い入れがあって、意味するところも違っていたりするけれども、僕が思う地酒は「土地を感じる酒」、その土地の気候風土、生き物や人の営み、歴史をまるごと心で感じる酒だ。

「地域が込められた酒」よりもむしろ「土地を感じる酒」なのは、僕がずっと飲み手の立場で酒の魅力を伝えること、今風の言葉を使うならば酒のストーリーテリングをしてきて、これからもそうしたいと思うからだ。

世界を旅してその土地のsakéを飲んで最も心に残ったことは、その酒に「土地」を強く感じたことだ。「これは地酒だ」とすんなりと腑に落ちたことだ。

台湾の霧峰農会酒荘で出会った酒は、特徴ある味わいの地元米「益全香米」を使って醸されたものだった。益全香米が開発されたストーリーを知って、関わる人々の思いと誇りを感じた。この酒は燗にすると里芋のようなやさしい香りが立ち上がって、地元のやさしい味わいの料理とよく合った。日本の酒を目指していながら地元の料理ととても合うことに、土地の力を感じずにはいられなかった。日本で学んだ技術を使って醸しても自然と土地の性格が酒の味に出てくるのだ。

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Namiを醸すメキシコの酒蔵Sakeculを訪問する前には、彼らの造ったファースト・バッチの酒を飲んでいた。研修先の酒の味とそっくりで、短期間での技術習得に驚いたものだ。2年目の酒を現地で飲んでみると、強い苦味を特徴とする全く違う味わいに変化していた。日本ではなかなか受け入れられないであろう力強さだが、プロが決めた味わいなのだから理由があるに違いない。

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8種類のトウガラシを使う郷土料理「タテマラ」と一緒にいただくと、ピッタリと合った。ほっぺも落ちた。一緒にいた造り手の方々は「まさにこの苦味はNamiの味だね」と笑顔で言った。僕はこの地で「地酒」の誕生の瞬間に立ち会ったのだ。

世界のsaké醸造の3つの時代とその未来

この旅を通してみえた、120年前から今までの世界でのsaké醸造で起こった、そして今起こっている潮流をまとめた。ワクワクする未来を予感させる。

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