日本酒レッスン その2「麹と日本酒」イベントレポート 後編
前編に引き続き、北川本家で麹づくりを担当する西田僚さんを講師に迎えての「日本酒レッスンその2 麹と日本酒」、イベントレポートの後編です。
きき酒のしかたのレッスン
麹違いのお酒の飲み比べの前に、西田さんから__きき酒の基本__を丁寧に教えていただきました。
おちょこに8割位お酒を注いで色やテリ(透明度)を見る。鼻で香りをかぐ(上立ち香)。口の中でお酒を転がし、温めることで香りをたたせ、鼻から空気を抜くことで香りを感じる(含み香・口中香)。その時口当たりや味も感じる。そのあと飲んでのどごしを感じた後に、口の中に残る香りや後味を感じる。
最初は味や香りが分からなくても、「好き」「きらい」だけでもいいのでメモをとることで、きき酒能力が上がっていくとのことです。
いよいよ飲み比べ
いよいよ麹違いのお酒の飲み比べ。同じ山田錦という米ですが、総破精麹を使った「富翁 山田錦 純米酒」と突き破精麹「富翁 大吟醸 山田錦」の2種類です。
2つのおちょこに入れてそれぞれ飲み比べていただき、違いを体験していただきました。
お酒と料理を合わせて見ながら、交流タイム
西田さんのお話と飲み比べ体験のあとは、乾杯!
そのあと5種類の日本酒を料理に合わせながら交流タイムです。
参加者の皆さんは西田さんに麹のこと、お酒のこと、酒造りのことなどを質問されて、会話は大変盛り上がりました。
参加者の皆さん同士でも交流が生まれました。
富翁の日本酒5本ラインナップ
今回ご紹介した日本酒5種類はいずれも講師の西田さんが酒造りをする北川本家の「富翁」。どれも京料理に寄り添う味わいの日本酒です。
写真右から
富翁 純米吟醸 ひやおろし
去年仕込んだお酒が夏を超え、秋になって熟成をしたお酒(ひやおろし)。熟成を楽しんでもらいたいお酒
(使用米:五百万石(麹米)、精米歩合:58%)
富翁 しぼりたて 無濾過生原酒
今年10月に仕込んで搾ったばかりの新酒。
(使用米:国産米、精米歩合:70%)
富翁 純米原酒 山廃仕込
しっかりとしたコメの味、甘さも強いお酒。生酛・山廃仕込みは3、4年前から取り組んでいる
(使用米:山田錦、精米歩合:68%)
富翁 山田錦 純米酒
総破精麹を使用。米の味がしっかりしていて、酸味もしっかり
(使用米:山田錦、精米歩合:68%)
富翁 大吟醸 山田錦
突き破精麹を使用。味はきれいで香りが華やか
(使用米:兵庫県産山田錦、精米歩合:39%)
馳走いなせやさんの料理!
今回の料理は馳走いなせや料理長の村上聡孝さんに5種類の富翁にあわせてつくっていただきました。
以下は、写真右奥から時計回りに、村上さんからの料理の説明です。
さんま棒寿司
空腹時にお酒が入ると胃にさわりますので、軽いお食事を添えました。軽くあぶった〆さんまもお酒とあいます
鴨ロース
鴨の胸身を真空低温調理でほどよい火加減で仕上げました。アクセントに柚子胡椒をそえて
ドライフルーツチーズ
パイナップルとマンゴーのドライフルーツとクリームチーズのとりあわせ。甘いフルーツのコクをクリームチーズがあわさることにより日本酒とマッチすると個人的には思います
自家製オイルサーディン
イワシをオイルで低温で煮ました。玉ネギの甘みとの相性もよく、醤油をひとたらししてありますので、お酒ともあいます
サワラと日野菜のあちゃら和え
春が旬といわれる鰆ですが、脂がのるのは秋から冬にかけてです。その鰆を昆布〆にして日野菜(滋賀特産の根菜)といっしょに和えてあります。
「あちゃら」とは「あちら」がなまって「あちゃら」になったとか、「アチャール(野菜の漬け物)」というポルトガル語が元という舶来のお料理です
地鶏の治部煮
金沢の郷土料理を馳走風にアレンジ、丹波地鶏を使い本来の鴨よりもあっさりといただけます
イベントを終えて
2年ほど前に北川本家さんで西田さんが麹づくりをされる様子を見学する機会がありました。緊張感で満ちた麹室の中、普段はさわやかな笑顔の西田さんが真剣な表情で麹の盛込みをされている光景をいまでも鮮明に覚えています。
ていねいに積み重ねられる一つひとつの動作がまるで儀式のように粛々とすすんでいく、酒造りの神聖さを感じました。
今回の日本酒レッスンのなかで、西田さんが麹箱に米をザーッと広げ、山の形に盛り上げていくその瞬間、空気がぱっと張り詰めたように感じました。西田さんの真剣な眼差しと颯爽とした動作。一瞬、麹室の中にいるような感覚さえ覚えました。
麹づくりの様子だけでなく、この空気感を参加者の皆さんに感じてもらたのではないでしょうか。「日本酒レッスン」が目指す「体験型レッスンで日本酒をより楽しむ」ことを参加者の皆さんに持ち帰っていただけたら幸いです。
最後に、雨の中参加していただいた皆さん、講師の西田さん、料理を担当していただいた馳走いなせや料理長の村上さん、店長の丸山さん、写真を撮影してくれたaoi nkgwさん、会場のおいない烏丸スタッフの皆さんに感謝します。ありがとうございました!
これからも参加者の方に満足していただける日本酒レッスンを開催していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
このイベントレポートに関連するリンク
撮影:aoi nkgw
次回のテーマは「漆器と日本酒」
日本酒レッスン、次回は12月5日の開催。テーマは「漆器と日本酒」。
漆作家の追立睦さんを講師にお迎えし、漆器の魅力と漆器作りの世界、そして漆器で味わう日本酒を体験いただけるレッスンです。
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