いつもより幅が広がっている「一博 生酛 純米 生酒」日本酒テイスティングノート

〈日本酒レビュー〉ラベルがおしゃれな生酛の酒。際立つ酸味とミルクキャラメルの印象。

いつもより幅が広がっている「一博 生酛 純米 生酒」日本酒テイスティングノート

久々に飲んだ一博は、生酛造り。日本酒ガールの松浦すみれさんが描いたラベルは華やかさと新しさ、それでいて落ち着きを感じさせる。本当のことを言うと、「あのラベルの酒、飲みたい」とずっと思っていて、それが生酛だと知ったのはここに来てからのことだった。

まずは冷たい温度で口に含んでみる。酸味が主張してなめらかな印象。オレンジの香りと八朔のワタのニュアンスが心地よい。

「気温が下がってきたので、熱めに付けました」とお店の方。どの温度でつけるかは、お酒の味、その時の気温、客の状況などにあわせて勘で決めているという。燗だけに。

平盃で飲む。よい! やわらかくて、ふんわりとしている。酸味が際立ち、ミルクキャラメルのようなやさしさがある。余韻は長く楽しめる。

滋賀酒のオンライン・イベント「琵琶湖さかずき(2020年8月30日開催)」で、中澤酒造の蔵元杜氏である中沢一洋さんは「最近滋賀県でも生酛で仕込む蔵が増えてきたので、流れに乗り遅れないためには始めた」と語った。「大治郎」の畑酒造に助けてもらいながら、難しい仕込みをこなしたという。浅茅生が生酛を造るときも、おなじく畑酒造と、安井酒造場に指導を受けたと聞いた。滋賀県の酒蔵には助け合いの繋がりがある。

テイスティングノート

平盃で、12度くらい

まず酸味を感じる。爽やかで味がしっかりしていて、滑らかさもある。オレンジや白玉粉の香り。収斂味・うま味・ミルキーな味わい・コク、そして八朔のワタのような苦味がある。余韻は長い。

50-55度くらいの燗酒で

だんぜんやわらかくなる。きれいなふんわりさ。そして少しミルキーさが表に出て来るけど、酸味の強さはかえって際立つ。ミルクキャラメルのようなニュアンスに甘味。余韻に甘味がある。膨らみはあるけど、ごっつくはない。

(テイスティング日: 2020年9月27日)

ラベル情報

一博 生酛 純米 生酒

  • 〈醸造元〉 中澤酒造(滋賀県東近江市)
  • 〈仕込み水〉 -
  • 〈原料米〉 滋賀県産 吟吹雪 100%、酒米生産者 呑百笑の会
  • 〈精米歩合〉 60%
  • 〈杜氏〉 -
  • 〈特定名称/種別〉 -
  • 〈アルコール度数〉 16度
  • 〈原材料〉 米(国産)、米麹(国産米)
  • 〈酒造年度〉 R01BY
  • 〈製造年月〉 02-07
  • 〈その他情報〉 画/松浦すみれ

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