浜大津こだわり朝市で出会った「初桜 純米 みずかがみ 生原酒」日本酒テイスティングノート

〈日本酒レビュー〉蜜のようになめらかで、甘味とうま味が口の中に広がる酒。燗にすると飲み進められる。

浜大津こだわり朝市で出会った「初桜 純米 みずかがみ 生原酒」日本酒テイスティングノート

バスと電車を乗り継いで、毎月第3日曜日に開かれる浜大津の朝市に行くのを楽しみにしている。京都市営地下鉄東西線に乗り入れている京阪京津線の直通列車に運良くあたると、都会の地下鉄から緑あふれる車窓が楽しめる。大津市街に入ると路面電車となって、行き交う車や町並みを眺めながらの小さな旅になる。

朝市でお目当ての日本酒ブースには「初桜」。甲賀市の安井酒造場で醸される酒だ。この日は4種を飲み比べ、そのうち「みずかがみ」と「日本晴」の2本を買い求めた。

浜大津こだわり朝市では、お酒以外にも出店が盛りだくさんだ。琵琶湖の海産物や近隣で採れる農産物、ベーコンなどの加工品のブースもある。

「手づくりスモーク工房 杣人」の燻製サバの巻物と、「安曇の恵み」の平飼いゆで卵をブランチにいただいた。燻製とレモンイエローの黄身は僕の大好物だ。

みずかがみの味わい

朝市の魅力は、蔵元さんとお話ができることだ。比較的新しい米「みずかがみ」を使って酒を造るのは5年目とのこと。ずいぶんと試行錯誤したが、ようやく特徴がつかめてきたと蔵元さんは語る。

長年にわたり酒造用米として使われてきた滋賀県の日本晴はスッキリとした味わいで、みずかがみには膨らみがある。こうやって蔵元さんのお話を聞きながら試飲することはかけがいのない楽しみのひとつである。

開栓直後はふくよかで味に厚みがあると同時に、甘味と酸味のバランスが絶妙で、ジューシーさを感じた。家に帰ってから1ヶ月たって再び飲んでみると、蜜を思わせるのびのびとした口当たりと甘味に、白い米を感じる香り。そして苦味でよく切れる。余韻は長く、また米を感じる。

55度くらいに温めると、軽やかでミルキー、杏の香り。冷たい時の味の濃さとは相まって、スイスイと飲みすすめる酒になった。

カマンベールチーズや辛子明太子と合わせると、酒の蜜成分が活躍した。おすすめだ。

テイスティングノート

開栓後1ヶ月ほど冷蔵庫で保管した後、テイスティングした。

冷蔵庫から出してしばらく、15度くらい

甘いメロンやウリのかおりが立ち上がる。口に含むと、蜜のようになめらかな口当たり。甘味も酸味もしっかりとしている。のびのびとした透明感のある米の香りは餅を連想させる。その奥に、カシューナッツやカカオの香りが見え隠れする。クラシックな日本晴と比べると、モダンな味わいである。

開栓直後はジューシーだったが、いまは蜜のような印象のある米を感じる酒。日本晴と比べるとふくよかで味わいが分厚く広がる。苦味がしっかりとしており、切れがよい。

余韻は長い。もち米や白玉粉など、白い米のニュアンスがある。口の中で甘味とうま味が広がるさまは、コシヒカリの酒に似ている。

55度くらいに温める

上立ち香がミルキーになる。これはよい予感がする! 口に含むと、まず温かさを感じる。口当たりは軽やかで、酸味が控えめえな杏の香りが出てくる。そしてすぐに米を感じる香りが追いかけてくる。飲み進められる燗酒だ。

ペアリング

カマンベールチーズと合わせた。酒が蜜のようになって、苦味が消える。辛子明太子も同様に蜜のような味わいが包み込む。お嘗味噌とは、そんなに合わなかった。塩味は、濃醇な酒には合いにくいのかもしれない。もずく酢とは意外によくあった。酒の甘味と米の香りと合わさると、食べ物自体がふくよかになる。

(テイスティング日: 2019年8月14日)

ラベル情報

初桜 純米 みずかがみ 生原酒

  • 〈醸造元〉 安井酒造場(滋賀県甲賀市)
  • 〈仕込み水〉 鈴鹿山系の伏流水である柔らかな水
  • 〈原料米〉 玉栄7%、みずかがみ93%
  • 〈精米歩合〉 60%
  • 〈杜氏〉 -
  • 〈特定名称/種別〉 純米酒
  • 〈アルコール度数〉 18-19度
  • 〈原材料〉 米(国産)、米こうじ(国産米)
  • 〈酒造年度〉 29BY
  • 〈製造年月〉 1-7
  • 〈その他情報〉 9号酵母、全量木槽搾り

浜大津こだわり朝市、日本酒を飲んだ記録

浜大津こだわり朝市 - 日本酒コンシェルジュ通信
浜大津こだわり朝市は、毎月第3日曜日の朝8時から12時に開催されている朝市。滋賀の日本酒、魚、つけもの、餅、米などが盛りだくさん。会場は京阪浜大津駅を出たすぐのところです。

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