ひとりで飲むたのしみ〈盃のあいだ nº6〉
振られてしまい、ひとり飲みとなってしまった。
振られてしまい、ひとり飲みとなってしまった。
「ひとり飲み」といっても、二種類ある。カウンターでマスターと話しながら飲むスタイル。誰とも話さず、酒にだけ向き合う「ひとり飲み」。
マスターと話したくてカウンターに座る時はすでに「ひとり飲み」ではない。もうひとつの「ひとり飲み」はまったく異質だ。酒と話すが人とは話さない。
もちろん昨晩は後者だった。
カウンターに向かい、酒を注文する。その酒を一口飲んでメニューを眺める。「この酒に合わせるアテは何か」を考えて料理を頼む。
最初の酒にある酸味をチラ見してしまった僕は、酸味のある二つの違ったタイプのアテを頼んだ。
合った! 嬉しい。うーん、いまいち。なんでだろう。酒とアテを交互に口に運びながら、色々と試してみる。ちょっとニヤついていたかもしれない。
自分のペースでのみ、合わせたい料理を食べる。酒と料理の組み合わせで興奮する。立ち止まって考えたくなったらじっくり考える。時には同じ料理や酒をもう一度注文したりする。こんな風にして好き勝手に過ごすのだ。
酒を酌み交わしながら語らい合うことはもちろん素晴らしいけど、ひとり飲みもそれで楽しい。酒とちきちんとと向き合える。酒を置いたまま話が弾み、酒が嫉妬しているのではないかと心配してしまうこともない。
時々でいいから、僕がこの日したみたいな、完全なひとり飲みを試してみてください。
今日も、日本酒コンシェルジュ通信に来てくれて、ありがとうございます。ひとりで乾杯!
※ この日の「酒と向き合って楽しかったこと」は以下のテイスティングノートに書きました。