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「たすき」肩ラベルで選ぼう、しぼりたての日本酒を!

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

しぼりたての日本酒を味わおう!とあわせてお読みください。

日本酒のたすき、肩ラベル

日本酒でよく見かけるのが、瓶の上の方に斜めに貼ってあるラベルです。これは「肩ラベル」という名前ですが、私はこの名前を知る前から「たすき」と呼んでいました。たすき掛けのように貼ってあるからです。

肩ラベルは、メインのラベルには書ききれなかった情報や、消費者に特にアピールしたい点が書かれています。

今回は、その中でも「搾り(上槽)」の工程に関連した肩ラベルの読み方を解説します。

搾りに関連する用語

袋吊り、槽搾り、雫しぼり、斗瓶採りから無濾過生原酒まで、どのようにお酒を搾ったかによっていろいろな名前がついています。

聞き慣れない言葉が多く、酒蔵によって表現が違うものもあるので、どれを選んでよいのかがわかりにくいです。

でも、日本酒の搾りの工程や器具の名前を知っておくと、たくさんある用語もすっと頭に入ります。

手で搾ったことをアピール「袋吊り、雫しぼり」

袋吊り雫しぼり」といった用語は、「しぼりたての日本酒」でご紹介した日本酒の搾り(上槽)の工程のことです。この工程にまつわる用語を使うことで、「手作業で搾った雑みの少ないお酒」をアピールしています。

袋吊り

袋吊り」は写真のように酒袋に醪を入れて吊るし、落ちてくる雫を集める方法。「雫しぼり」と呼ぶこともあります。また、圧力をかけずに搾るのでそれを強調して「無圧しぼり」という言葉が使われることもあります。

伝統的な搾り方、「槽搾り」

槽搾り(ふねしぼり)」と呼ばれる方法があります。と呼ばれる大きな四角い箱に醪を入れた酒袋を入れて搾る方法です。

槽搾り

最初は醪の自重で濾されます。そのあと更に圧力をかけて搾っていきます。

槽搾りは伝統的な方法で、江戸時代の酒造り風景を描いた絵でも見ることができます。(写真左上)


(株式会社北川本家所蔵)

タイミングによる違い「あらばしり、中取り、せめ」

最初に自重だけで搾りその後圧力をかける方法では、最初に出てくるお酒と後のほうで出てくるお酒の味わいが変わってきます。

そこで、お酒を搾る槽からお酒が出てくるタイミングによっいろいろながつけられているます。

あらばしり、中取り、せめ

最初に出てくるお酒を表す「あらばしり」。炭酸ガスが強く感じられ、少し濁っていて、フレッシュで荒々しい味わいです。

次に出てくるのが「中取り」。バランスの取れた豊かな味わいと上品な酸味が楽しめます。鑑評会などに出品すされるのはこの部分のことが多いです。「中汲み」や「中垂れ」という表現も使われます。

最後に圧力をかけて搾るのが「せめ」。少し雑味が入るので、インパクトが有る味わいになります。「後取り」とも呼ばれます。

器具の名前でアピール「斗瓶採り、斗瓶囲い、たれくち」

手搾りの場合は、出てくるお酒を斗瓶で受けることが多いです。ラベルに「斗瓶採り」や「斗瓶囲い」と書かれているものは袋吊りや槽搾りなどで搾られたお酒です。

槽と斗瓶
(左: 月桂冠大倉記念館
、右: 株式会社北川本家)

槽からお酒が出てくる部分のことを「垂れ口」といいます。 ラベルや製品名に「垂れ口」や「たれくち」とある場合はここから出てきたお酒、つまり槽搾りをしたお酒のことを言います。

このように、搾りの時の器具の名前をつけることで、手搾りをアピールすることも多いです。

生酒、生貯蔵酒、生詰め酒

生酒、生貯蔵酒、生詰め酒

お酒を搾ったあと、通常は「火入れ」と呼ばれる加熱処理を行います。

65度位で低温殺菌し、微生物や酵素の働きを止めて品質を安定させます。また、火落菌と呼ばれる酒の品質を低下させる乳酸菌を殺菌することも大きな目的です。

生酒」はこの火入れを全くしていないお酒のことをいいます。フレッシュさがありますが、微生物や酵素まだ働いているので品質が変化しやすく、冷蔵で保存する必要があります。

通常は、搾ったあと最初の火入れを行い、貯蔵・出荷前にもう一度、あわせて二度火入れを行います。「生貯蔵酒」と「生詰め酒」は1度だけ火入れをしたものを指します。

「生貯蔵酒」は搾ったあと生のまま貯蔵し、出荷前に火入れを行うものです。

「生詰め酒」は搾って火入れをして貯蔵、出荷前には火入れをしないものです。

火入れを1回だけ行うけれども、そのタイミングによって呼び方が違うというわけです。

一回だけ火入れをしたということを示す「一火」という表現も見られます。「生貯蔵酒」や「生詰め酒」よりもわかりやすい表現なのでもっとひろく使われても良いと思っています。

無濾過生原酒

無濾過生原酒

日本酒を搾って出荷するまでに、通常は火入れと濾過、加水などの工程があります。

無濾過生原酒」は、濾過をせず、火入れをせず、加水もしないという意味です。荒々しくフレッシュで力強い味わいが人気です。

加水」とは水を加えてアルコール度数を調整することです。飲みやすい15から16度に合わせることが多いです。

濾過」とは、酒袋やヤブタで醪を濾す「搾り」とは別の工程です。フィルターを使ってゴミを取り除いたり、活性炭や珪藻土を使って成分を濾過することによって味わいを調整したりします。

一口に「濾過」と言っても、不純物を取り除く濾過と、味わいを調整する濾過は別々に考えるべきではないか、という考えもあります。

澱やゴミを取る濾過をしても味を調節していないから無濾過だ、いやそうでない、と考えの違いがあります。

「無濾過生原酒」という言葉の厳密な使い方のルールは決まっていないのが現状です。