エレガントな熟成古酒「玉乃光 純米大吟醸 備前雄町100% 熟成古酒 シルバー 2018」日本酒テイスティングノート
〈日本酒レビュー〉低温熟成の純米大吟醸は酒粕おでんによく合った。
3年間低温で寝かせた純米大吟醸の熟成古酒
この酒をはじめて飲んだのは、何年か前、京都経済センター開催されたイベントだった。伏見の酒蔵も熟成古酒を出しているのだと知って、飲んでみたらそのおいしさに驚いた記憶がある。(その時飲んだのはビンテージ2015だった)
そして今日、再びこの酒に出会った。「燗酒がおすすめ」とメニューにあったので、そのように注文する。
温度は55度くらい。甘味、乳っぽい香り、杏の香り。軽やかに入り、後半にギュッと味わいがやって来る。とても丸い。その後白胡椒のようなスパイシーさがやってきて、米の甘味がふたたび佇んだと思えば、口の中を膨らんでくる。よく切れる。丁寧に低温で寝かせているせいか、特徴的な熟成香はほとんど感じられない。
名物・酒粕おでん
粕汁のようなスープを想像していたが、違った。さらりとしていて上品な味わいで、酒粕のほかにかつおだしを感じる。(あとでウェブを見たらカツオやサバをはじめとした5種類のだしを使っているとのこと。なるほどこのコクは鯖節なのか!)
酒粕がそんなに主張していないので、具材が引き立てられる。
その中でも店長さんにおすすめされた「丸ごとトマト」は、ほっぺが落ちるおいしさだった。真似したくなる。真似できないけど。トマトがおいしくて、すこしとろけたトマトと酒粕おでんスープを一緒にいただくととてもよい。
上にかぶさったチーズと熟成古酒がとてもよく合った。双方の乳っぽさが同調して、酒の乳っぽさが見えて来る。そして同じチーズの乳っぽさを包み込む。
熟成古酒と丸ごとトマトの酒粕おでんの組み合わせは、皆さんにおすすめしたい。
こんなにおいしく熟成する酒があるなら、もっとラインナップを増やせばいいのにと思った。たまたまいらした副社長さんに聞いてみた。玉乃光の酒は熟成に向いているけれども、熟成古酒のマーケットがとても小さいので数を出していないそうだ。伏見らしい飲み口と上品な熟成感は、多くの人に受け入れられると私は思う。
(テイスティング日: 2022年3月8日)
ラベル情報
玉乃光 純米大吟醸 備前雄町100% 熟成古酒 シルバー 2018
- 〈醸造元〉 玉乃光酒造(京都府京都市伏見区)
- 〈仕込み水〉 -
- 〈原料米〉 備前雄町(岡山県産)
- 〈精米歩合〉 50%
- 〈杜氏〉 -
- 〈特定名称/種別〉 純米大吟醸
- 〈アルコール度数〉 16度
- 〈原材料〉 米(岡山県産)・米こうじ(岡山県産米)
- 〈製造年月〉 2022-02