しずく媛〈酒米の系譜・愛媛県〉
「しずく媛(しずくひめ)」は愛媛県の農業試験場で開発された酒米です。1999年に育成開始、2007年に命名という比較的新しい酒米です。
「しずく媛(しずくひめ)」は愛媛県の農業試験場で開発された酒米です。
「松山三井」(酒造に使われるが酒造好適米ではない)からカルス培養を利用して変異個体を作り出し、そこから選抜されました。
1999年に育成開始、2007年に命名という比較的新しい酒米です。
愛媛県で酒造りに利用されている「松山三井」は近年小粒化などの品質低下が指摘されていました。そこで、より大粒の酒造適性に優れた品種の育成を目指して育成されたのが「しずく媛」です。
その結果、松山三井よりも大粒で心白発煙率が高く、吸水性がよく、タンパク質含有量が少ない「しずく媛」が生まれました。愛媛の「媛」と米からおいしい「滴」が生まれるという意味が込められています。
旨味があり、柔らかい酒質との評価です(愛媛県酒造組合試験醸造酒の官能評価)。
参考資料・文献
- 副島 顕子『酒米ハンドブック 改訂版』文一総合出版、2017年
- 米穀の農産物検査結果 | 農林水産省
- 晩生で大粒の酒造原料用水稲新品種「しずく媛」|農研機構
- イネ品種・特性データベース|農研機構
おすすめ日本酒の本
日本酒や酒米の勉強をするのに役に立った本をご紹介します。
ブルーバックスの『日本酒の科学』和田 美代子 (著), 高橋 俊成 (監修)
酒米はもちろん、日本酒の造り、微生物の働き、熟成など多岐にわたった内容です。科学的な根拠が示されているのでおすすめです。
田崎真也さんの『No.1ソムリエが語る、新しい日本酒の味わい方』
たくさんの日本酒銘柄が原料米別に紹介されています。酒米の種類によってどのような日本酒が出来上がるかを知りたい方におすすめです。
こちらは最近改訂版が出た『酒米ハンドブック 改訂版』副島 顕子(著)。ハンドブックなので手軽に持ち歩けるサイズ。試飲会で新しい酒米に出会った時にさっと取り出せるのがいいですね。
酒米、酒米ではないけど酒造用によく使われている一般米が網羅、米の特徴はもちろん、系譜図と米の写真。これだけの米の写真を集めるには大変な努力を要したことでしょう。米の基礎知識のコラムも充実していてマストバイなハンドブックです。