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白木久ジュエルズ 30 純米吟醸 無濾過一火原酒|日本酒テイスティングノート

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

全量飯米使用蔵、白杉酒造

京都府京丹後市の白杉酒造は、「全量飯米」で酒を醸す蔵として有名です。当初は地元産で京都の酒米「祝」を使っていましたが、26BYからすべての原料米をコシヒカリなどの飯米に切り替えました。全国でも珍しいケースです。蔵元杜氏の白杉悟さんが目指すのは「お米らしさが感じられるご飯のような日本酒」だと日本酒のオンラインショップ「佐野屋」で紹介されています[1]

原料米の品種名ををラベルに記載したり商品のアピールに使ったりするのはここ20年くらいに行われるようになったことだといわれています。ただ、それらは山田錦を始めとする酒米の場合でした。酒造りに使われる米の80%は酒米ではなく、飯米(一般食用米品種)です[2]が、飯米を使った酒で原料米の品種をアピールすることはほとんどありませんでした。飯米を主に(白杉酒造の場合は全部)使用し、その品種名を全面に押し出すケースは新しいトレンドです。「遠くの酒米よりも地元の飯米」といった価値観とともに、さらに多くの蔵元に広がるのではと考えます。

30人の農家が作るコシヒカリ

「白木久 純米吟醸 ジュエルズ30」は、京都府の30人の農家が栽培するコシヒカリを集めて醸されました。30人と蔵の方の思いが込められたお酒です。

白木久らしい味わい

第一印象は「白木久らしい酒」。一口飲むだけでわかります。一度でも白木久の酒を飲んだことがある人こう思うでしょう。甘味と酸味が主体で、甘めのフルーツゼリーのような印象に加え、コシヒカリ特有の、口の中に広がる甘味も健在です。

冷やして、12度位では、とろりとした口当たりに甘酸っぱい味わいが特徴的です。すだちや柚子・メロンの香り。苦味で切れて柚子ピールを感じる長い余韻が続きます。常温、20度程度では、さらに甘味が増し、金柑の香りが出てきて、コシヒカリらしい甘味が広がります。あまり冷やさないほうがいいかもしれません。

燗酒、40度では少し口当たりがさらりとしてきて、柑橘のニュアンスと甘味が立ち上がります。60度では、ポン菓子のような米の印象が出てきます。甘酸っぱさもまだあって、長い余韻を楽しめます。思い切って温度を上げるといいですね。

でも一番良かったのは、60度から45度位に燗冷ましした時でした。酸味の芯があって、飴のような透き通る甘さに米のニュアンスとすこし熟成洋梨のような香りを楽しみました。

味のしっかりした料理と合わせたい

冷やして飲むときは、酸味ととろりとした甘味を生かして、ローストビーフ、ブルーチーズ似合わせたいですね。燗酒では、ブリの照焼や牛肉のすき焼き、タレの焼き鳥など味がしっかりしたものとの相性が良いです。

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テイスティングコメント

12度、清酒グラス。とろりとしたテクスチャ、甘酸っぱさ。すだち・柚子ピール・柚子シロップ・メロン・アプリコットの香り、続く苦味。余韻は長く、柚子ピールの香りとアルコールの刺激・苦味。

20度、清酒グラス。甘味が増す。テクスチャやややとろりに。柚子ピールと金柑の香りは苦味を伴い、セミドライアプリコットの香りも。そして、コシヒカリらしい甘味の広がり。余韻の香りが鼻に抜けるさまが心地よい。そして長い。それらは、柚子・金柑・苦味。

あまり冷やしすぎないほうがよい。冷蔵庫から出したての場合、少し待つのがよいだろう。

温める。40度、清酒グラスで。口当たりはさらりとしてくるが、依然厚めである。甘味が強まり、同時に柑橘のニュアンスが引き立つ。ほのかに紅茶の香り。もう少し芯がほしい。なので温度を上げてみる。

60度、清酒グラスで。ポン菓子やウエハースのような米の印象が現れてきた。甘酸っぱさが続く。長い余韻は飴のような甘酸っぱさと柚子の香り。

燗冷ましがとてもよかった。60度から45度。これは偶然の産物。おいしい! 酸味が酒に芯を与え、飴のような透明な甘味が寄り添う。ポン菓子をシャープにしたような微妙な米由来の香りをして、やはり米の酒だということを思い出させる。舌に少し苦味とアルコールのピリリとした刺激が心地よい。米の甘味もある。とてもバランスが取れている。余韻に込めの軽やかな香りと、ほのかに熟した洋梨の果汁の香りも。これはベストな飲み方かもしれない。

さらに冷ましてみる。60度から27度。甘味がしっかり、酸味が寄り添う。芯がある、しゅんとしたた印象。ポン菓子の香りが奥に少しだけ見える。

(テイスティング日: 2019年8月15日)

ラベル情報

白木久ジュエルズ 30 純米吟醸 無濾過一火原酒

  • 〈醸造元〉 白杉酒造(京都府京丹後市)
  • 〈仕込み水〉 -
  • 〈原料米〉 全量「コシヒカリ」(京都産)
  • 〈精米歩合〉 -%
  • 〈特定名称/種別〉 純米吟醸酒
  • 〈アルコール度数〉 16-17度
  • 〈原材料〉 米(国産)、米こうじ(国産米)
  • 〈製造年月〉 2019-03
  • 〈その他情報〉 京都府の30人の農家が作るコシヒカリを集めて醸しました。無濾過原酒、瓶一回火入れ、酒母黒麹仕込み

  1. 白木久(しらきく) 白杉酒造 蔵元紹介 佐野屋 JIZAKE.COM ↩︎

  2. 前重 道雅, 小林 信也『最新 日本の酒米と酒造り』 ↩︎