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六十餘洲 大吟醸|日本酒テイスティングノート

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

華やかな香りでしっかりした味わい

香りは高いけど、味がしっかりしている。見た目はスリムだけどふくよかさのある酒。シャープで透明感があり、後半は味わいが拡がり、余韻も太い。

飲み方は冷やすかぬる燗がおすすめ。温めると特にご飯が食べたくなる。甘辛い料理に合わせたい酒だ。

長崎の味わいとペアリング

長崎の料理はどんな味わいなのか? 長崎県出身で、大阪・天満にある和食と日本酒のお店「楽縁」の女将の尾崎和美さんによると、あごだしやいりこだしがよく使われ、味付けは甘味とのことだ。

長崎県アンテナショップで買った、「長崎おでん」と合わせてみた。長崎おでんは10年ほど前にかまぼこ業界の団体と行政の取り組みで生まれた比較的新しいご当地グルメであるものの、あごだしとしっかりした甘さは典型的な郷土の味わいだといえる。

練り物が主役のおでん、それぞれ歯ごたえがあり味付けは全体的に甘い。だし汁だけでなく練り物自体にも甘味が乗っている。

あごだしの香りが立ち上がり、後口に丸い甘味とコク・うま味がしっかり。これが酒の丸い口当たりとひろがるうま味と合う。おでんの余韻が酒の余韻と寄り添う様を、目を閉じて味わう。

長崎おでん

全国の飲み手に飲んでもらいたいという思い

この酒を醸す今里酒造は江戸後期1772年の創業。「六十餘洲」という酒銘は、かつての日本に60あまりあった「国」の数を表しており、全国の飲み手に飲んでもらいたいという思いが込められているという。

詳細テイスティング・コメント

7度くらい、ISOテイスティンググラスで

上立ち香は強く、リンゴや白桃の香り。口に含むとやわらかく入るが、すぐにシャープな味わいになる。甘味はやや強めできれいな酸味。後半は柑橘のニュアンスが透明感とともに広がる。余韻には白玉粉の香りと甘味。白い米のニュアンス。上品さが感じられる。

12度くらい、ISOテイスティンググラスで

上立ち香はリンゴの香りが支配的になる。やわらかい印象、果汁のような感触。ジューシーで甘い。オレンジ・リンゴ・梨の香り。余韻は長く、またオレンジ・白玉粉の香りに甘味とうま味。

常温(17度くらい)スピリッツグラスで

軽やかな吟醸香はリンゴの香り。その奥に白玉粉とシャープなクリームチーズの香り。とてもジューシーな印象。少し収斂味が感じられる。余韻は長く、やや太い苦味と米のニュアンス。

42度、清酒グラスで

ここで、ジューシーさと米のニュアンスが共存する。オレンジ・白玉粉の香りが含み香りに。余韻もジューシーで長い、甘味のしっかりした白桃やメロンをイメージ。良いバランスである。ご飯が食べたくなるお酒。

50度、清酒グラスで

味わいが少し離れ離れになってしまう。収斂味が強調され、アルコールの刺激が下にピリピリとくる。この刺激は心地よい。

60度、清酒グラスで

飲むと、体があたたまる。米の香りと収斂味が前に出てくる。悪くないけど、この酒のよさを引き出しているとは言えない。

60度から燗冷ましで33度に、清酒グラスで

ジューシーさが戻ってくる。白桃の缶詰のシロップのようになる。甘味がしっかり。それでいて、余韻に米を感じる。悪くない。

甘い料理に負けない

甘辛い味付けの料理や、甘いあごだしを使った「長崎おでん」など、ベースが強めの甘味・うま味の料理に合う。

(テイスティング日: 2019年12月6日)

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ラベル情報

六十餘洲 大吟醸

  • 〈醸造元〉 今里酒造(長崎県東彼杵郡波佐見町)
  • 〈仕込み水〉 -
  • 〈原料米〉 山田錦100%
  • 〈精米歩合〉 38%
  • 〈特定名称/種別〉 大吟醸酒
  • 〈アルコール度数〉 17度
  • 〈原材料〉 米(国産)、米麹(国産米)、醸造アルコール

参考文献