蔵の方と話すのって最高!|農大蔵元試飲フェア イベントレポート
酒造業界に数多くの人材を輩出してきた東京農業大学醸造科学科。その農大OB蔵元の試飲フェアに参加しました。蔵の方と短い時間ですが濃密なお話ができて、よい体験でした。
酒造業界に数多くの人材を輩出してきた東京農業大学醸造科学科。その農大OB蔵元の試飲フェアに参加しました。ものすごい参加者数で、3〜4のブースしか回れずに無念。でも、短い時間ですが蔵の方濃密なお話ができて、よい体験でした。
蔵元11社が参加する会場は「食と農」の博物館。開始10分前から並んでお酒にありつけるまで1時間。途中からの方は1時間半以上並んだとのことでした。公式Facebookによると、開始後1時間半でまだ500人以上の行列だったそうです。日本酒人気の高まりを感じました。
入場!
やっと入れました。11の蔵元のブースが並びます。
「龍勢(りゅうせい)」藤井酒造
まずは「龍勢」藤井酒造のブース。3つのお酒を楽しみました。幸運なことに、蔵元さんに酒米についてお話をいただきました。
八反
八反は広島県を代表する酒米で原種に近い米。これで酒を造ると、シャープで小味がきく味になるとのことでした。「小味がきく」とはどういうことかを訊ねたところ、「味があとから来る」ことだとお答えいただきました。
龍勢 八反 陸拾 純米吟醸
米のうま味を感じます。最初はライトですが、後味のうま味が明確。これが「小味がきく」ということか、と納得。麹をしっかり作り、さらに麹歩合も高くして造った酒だそうです。
八反錦
八反錦は八反に似た味わいの酒になりやすいが、より味が出ることのことでした。こちらも広島県を代表する酒米。ちなみに、山田錦や雄町と比べると、雄町はよりふくよかで、山田錦は八反と雄町のあいだくらい、とのことです。
龍勢 和みの辛口 特別純米酒(八反錦)
最初から味が来る感じ。透明感がある。後味は比較的軽めでした。
日本酒は米より酵母
このように米による味わいの違いを感じたわけですが、蔵の方によると「お酒の味わいは米よりも酵母による」とのこと。藤井酒造では6号酵母、7号酵母、そして酵母無添加で酒を醸しているそうです。
OKINAWA GIN (まさひろ酒造)
近年ブームになっています、日本のボタニカルを使った「和ジン」。沖縄のまさひろ酒造のジンは、泡盛をベースにシークヮーサーやゴーヤーを使った沖縄らしい香りです。
原材料は、シークヮーサー、ジュニパーベリー、グァバの葉、ゴーヤー、ローゼル(ハイビスカス属)、ビィパーズ(ヒハツモドキ)。
高いアルコール度数由来のとろりとしたテクスチャー、柑橘の爽やかな印象の奥に泡盛由来の米の香りを感じました。
朝日屋酒店ブースの甘酒
農大の近くにある日本酒の品揃えが抜群の朝日屋酒店のブースでは、甘酒2種と仕込み水を使ったサイダーが出品。
甘酒2種を試飲しました。写真左の「武勇(茨城県結城市)」の甘酒は全量酒造好適米を使用。やさしく穏やかな甘味。角がない甘味を楽しみました。飲み続けることができる甘酒です。
写真右の「雑穀甘さけ」は福岡県久留米市の山口酒造場が造る甘酒。米と米麹のほか、黒米、赤米、はと麦、発芽玄米、もちきび、もちあわ、ひえ、はだか麦、緑米が入っています。ナッツやはちみつの香りを感じました。香味が複雑で膨らむ印象の甘酒です。
百笑舞(大嶋農場)
茨城県の「百笑舞」大嶋農場。こちらのお酒は試飲できませんでしたが、バラエティーに富んだ米についてお話をお伺いしました。
寿司米、リゾット米、カレー米、パエリア米、チャーハン米など、用途別のお米のラインナップがズラリ。
インディカ米とジャポニカ米の中間種、「華麗舞」という珍しい品種を使った「カレー米」。インディカ米の国際価格は日本の米の10分の1ですが、需要が少ないのでインディカ米に輸入米は割高になってしまうとのことでした。
「銀シャリ 寿司米」は「笑みの絆」という品種。粒がしっかりしており、酢によく合うとのことです。
量り売りしていたのは「いのち壱」。岐阜県にあるコシヒカリの田圃で発見された稲の新品種。籾が大きく、コシヒカリの1.5倍。つやつやした外観、香ばしい香り、米の甘味、粘りなど今までのご飯の概念にはないおいしさで、冷めても表面が固くならない米です。遺伝子操作や人工交配をせずに誕生した米です。さっそく購入しました!
こちらは赤米と黒米。白米と一緒に炊くとき、赤米と翠米は色がつかなくて、黒米は色が移るという豆知識を教えてもらいました。
赤米、黒米、翠米のミックスを購入。白米に薄っすらと色が移りつつ、他の色も楽しめるいいとこ取りです。
博物館の展示
こちらはOB蔵元の酒のうち280本が展示されているコーナー。このほか、酒造用具、酒器、絵画など酒に関する展示がたくさん。博物館全体の半分くらいを酒関係で占められていました。
左から、神力、山田錦、松山三井、あきたこまち、亀ノ尾4号。現物見てると胸が高鳴ります。
温室、そして市場
博物館を出ると温室。サボテンなどの植物、カメやサルが見られます。
そしてそのまま進むと野菜と果物の市場が! 食べごろのメロンを買って帰りました。
博物館と温室は食文化と農業を楽しみながら学べる場所です。小学生以上くらいの子供連れだと楽しめそうです。「食と農」の博物館、リピしたくなりました。
(2018年6月17日開催)