土壌の違いが味に反映する「松の司 純米大吟醸 土壌別仕込 2018BY」日本酒テイスティングノート

〈日本酒レビュー〉地元竜王町の契約栽培農家が育てる、圃場ごとの土壌の違いを生かした酒には、土の個性がある。

土壌の違いが味に反映する「松の司 純米大吟醸 土壌別仕込  2018BY」日本酒テイスティングノート

松瀬酒造から2017年にリリースされた「土壌別仕込」は、地元竜王町の契約農家が栽培する山田錦を同じ造り方、同じ酵母で醸した酒だ。ただ違うのは、その山田錦が育った土壌である。

この日は2018BYのものを4種類、試飲した。昨年飲んだ2017BYのものに比べて、土壌による違いをより明確に感じた。

写真左から、「橋本」の土壌は粘土と砂で、ジューシーな印象。花の香りとフルーティーな香りがあって、かすかな収斂味で切れていく。「林」の土壌も粘土と砂。膨らみのある上品な味わいがこれもまた、おだやかな収斂味で切れ、うま味が余韻に心地よい。「山之上」には「おやっ」と思う個性があって、比較的軽やかな味わいながら、ピリピリとした刺激もある。土壌は砂と砂礫だ。「山中」の圃場は花崗岩が風化した砂を含む山土と砂礫で構成されている。ボールドでやわらかい。でもぐっと迫ってくる感じ。余韻の甘い香りがよい。

裏ラベルには、圃場の地図と土壌、そして栽培した農家の名前が記されている。蔵元の松瀬さんは、1980年代終わりには地元産の山田錦の契約栽培を始めている。その後栽培方法の見直しに取り組み、1998年に肥料を使わずに栽培したところ、土壌の個性が米の性質に強く現れたという。そして杜氏の石田さんはこの個性を酒に活かしたいと考えた。

こうして「土壌別仕込」が登場するわけだが、石田さんには「ともに歩む農家さんをフィーチャーしたい」というもう一つの考えがあった。これは裏ラベルに農家の前を書くことで反映されている。

テイスティングコメント

竜王山田錦 橋本(粘土+砂)

搾ってから2〜3ヶ月。香りは、小さくて白くて可憐な花のイメージと軽やかなリンゴ。ジューシーで甘味が少し持続する。酸味がしっかり。やや収斂味がある。余韻は長く、洋梨の香り。繊細な印象だ。

竜王山田錦 林(粘土+砂)

搾ってから3〜4ヶ月。シャープだが、甘味が強くリッチな印象、味わい深い。それでいて、繊細な印象と軽やかさもある。リンゴの香り。収斂味で締まり、長めの余韻にうま味やコクを感じる。

竜王山田錦 山之上(赤土+砂礫)

搾ってから4〜5ヶ月。仕込み水は「山之上寺島邸井水」、つまり圃場と同じ水だ。少し華奢な印象だが、テクスチャはとろりとしている。そして丸い甘味。リンゴのようなフルーツのニュアンスが印象的。余韻は洋梨、少しメロンとウエハースの香り。ピリピリとした刺激もある。

竜王山田錦 山中(山土+砂礫)

搾ってから5〜6ヶ月。ややボールドでやわらかさがある。甘味・酸味ともしっかり。ぐっと迫ってくる。でもやわらかい。余韻は長く、甘味を思わせる香り。

(テイスティング日: 2019年6月12日)

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ラベル情報

松の司 純米大吟醸 竜王山田錦 橋本

醸造元:  松瀬酒造(滋賀県蒲生郡竜王町)
タイプ: 純米大吟醸酒
原料米: 滋賀県竜王町 橋本産 山田錦 100%(環境こだわり農産物認証)(精米歩合 50%)
原料米栽培者:  田村仁孝
土壌: 粘土+砂

松の司 純米大吟醸 竜王山田錦 林

醸造元:  松瀬酒造(滋賀県蒲生郡竜王町)
タイプ: 純米大吟醸酒
原料米: 滋賀県竜王町 橋本産 山田錦 100%(環境こだわり農産物認証)(精米歩合 50%)
原料米栽培者:  村田茂朋
土壌: 粘土+砂

松の司 純米大吟醸 竜王山田錦 山之上

醸造元:  松瀬酒造(滋賀県蒲生郡竜王町)
タイプ: 純米大吟醸酒
原料米: 滋賀県竜王町 橋本産 山田錦 100%(環境こだわり農産物認証)(精米歩合 50%)
原料米栽培者:  竹山勉
土壌: 赤土+砂礫(丘陵地)
仕込み水: 山之上寺島邸戸水

松の司 純米大吟醸 竜王山田錦 山中

醸造元:  松瀬酒造(滋賀県蒲生郡竜王町)
タイプ: 純米大吟醸酒
原料米: 滋賀県竜王町 橋本産 山田錦 100%(環境こだわり農産物認証)(精米歩合 50%)
原料米栽培者:  辻澤明秀
土壌: 山土+砂礫

参考文献

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純米大吟醸ブルー竜王山田錦[土壌別仕込]
日本酒「松の司」醸造元松瀬酒造(株)では、吟味した原料米で心をこめて手造りしたお酒を、皆様に心ゆくまで楽しんで頂きたいと考えています。