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生命力を感じる味わいから広がる形「舞美人 山廃純米 無濾過生原酒 sanQ サンキュー」日本酒テイスティングノート

日本酒コンシェルジュ Umio 江口崇 日本酒コンシェルジュ Umio 江口崇

生命力を感じる味わいから広がる形

強い酸味、そして生命力を感じる香りと味わい。多くの人が「日本酒」と思う味わいからはかけ離れているけど、活き活きとしているこの酒は心に届く。もしあなたが「日本酒の味わいはこうあるべき」という考えを持たれているなら、いったん忘れてほしい。米と麹の飲み物、微生物が造る飲み物として捉えてほしいのだ。

最初は酸味に意識が行ってしまうけれど、その先にあるコクや味わいの広がり方の「形」がおもしろい。

第一印象は「酸っぱい香り」。飲んでみても酸っぱい。口当たりのまろやかさとこの酸味・苦味のコントラストがよい。グレープフルーツ果汁にすだちのシャープさを加えた感じ。切れは鋭く、余韻も柑橘だが少しオレンジっぽくなり、ぬか漬けの香りも少しある。

ぬるく温めると、米のニュアンスと柑橘の印象のバランスがよく、味わい深い。やわらかくてふんわり、その分酸味が控えめな顔になる(とはいっても強いことには変わりない)。ぬる燗がおすすめ。

テイスティングノート

ごく淡い山吹色、少しくすんだ感じがする。

10°C、清酒グラスで

上立ち香は甘酢のような酸っぱい香り。強い酸味、まろやかな口当たりが来て、苦味とともにレモンとグレープフルーツを混ぜた果汁やピールの印象。後口にあるコクの盛り上がりがよい。シャープに切れて、余韻に酸味とオレンジをくすませたような香り、すこしぬか漬けの香り。

22°C、清酒グラスで

少し米のやわらかさを思わせるニュアンスが出てきた。酸味は依然、前に立っているが、それほど主張しなくなった。入り口はやわらかく、後半に向かってキュッと急激に味が広がる。味わい深い。

◎ 36°C、清酒グラスで

米と柑橘がバランスよく共演している。やわらかく、ふわりとしていて、ああ、このやさしさは米のやさしさだと思うと、柑橘果汁の力強さがやってくる。常温でも感じる、やわらか&シャープと基本的には同じ。ただ、この温度ではさらにそのダイナミックレンジが広がる。後口の柑橘果汁感と続く渋味(これも柑橘の皮みたい)が心地よい。

◯ 40°C、清酒グラスで

やさしさ&シャープが発展し、シャープのところにさらにコクが増す。コクやうま味が口の中をぐわりと広がるさまは映像的。よい!

60°C、清酒グラスで

温度感じる。ホットレモン。花から抜ける香りがワイルド。寒い日に体温まりそう。野外で飲みたい。

ペアリング

冷やしたときは、春雨の酢の物と合わせたい。あたためると、味の複雑さ、奥行きの深さを単独で味わいたい。たくさん味があるので、この酒に向き合うだけで、すでに料理とペアリングしているみたいな気分になる。水炊きも行けるかも、ポン酢無しで。たらとかかしわとか。

(テイスティング日: 2021年1月29日)

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ラベル情報

舞美人 山廃純米 無濾過生原酒 sanQ サンキュー

  • 〈醸造元〉 美川酒造場(福井県福井市)
  • 〈仕込み水〉 -
  • 〈原料米〉 福井県産五百万石100%
  • 〈精米歩合〉 60%
  • 〈杜氏〉 美川欽哉
  • 〈特定名称/種別〉 純米酒
  • 〈アルコール度数〉 15-16度
  • 〈原材料〉 米(国産)・米麹(国産米)
  • 〈酒造年度〉 H28BY
  • 〈製造年月〉 H29-05
  • 〈その他情報〉 無添加の蔵付き酵母、酸度4.0