生酒の力強さとほのかな熟成香「京の春 特別純米生原酒」日本酒テイスティングノート
〈日本酒レビュー〉生酒の力強さとほのかな熟成香が調和する酒。わらび餅に合わせたい。
友人と角打ちしていて、思わず声を揃えて言った、「バタースコッチ!」冷蔵庫で一年近く保管されてうまれた熟成香と生酒の力強さ、そして透明感のあるやわらかな口当たりがこの酒の特徴だ。
まさに、穏やかな熟成香と分厚い米らしい香りが調和している。バタースコッチ、バター、フィナンシェ、そしてメイプルシロップの香り。余韻に米の収穫を思わせるウエハースの香りが長く佇む。
原料米の「祝」は、1933年に京都府立農事試験場丹後分場で「野条穂」から純系分離によって育成された。向井酒造のある同じ丹後で生まれた米である。純系分離法とは、稲を一本植えしたものから種を採り、さらに翌年別々に育て、それらの中から望ましいものを選び出す方法だ。
ペアリング
しっかりした味わいとほのかな熟成香を生かして、わらび餅、車海老やいかの天ぷら、甘海老やホタテのお造りに合わせたい。
ラベル情報
醸造元: 向井酒造(京都府与謝郡伊根町)
タイプ: 純米生原酒
原料米: 祝(精米歩合65%)
2022年7月、Sake Cube (京都)にて。
参考文献
- 副島顕子. 2017. 酒米ハンドブック 改訂版. 東京: 文一総合出版.
- 山下 道弘 杉本 充. 1995. 酒米「祝」の生産安定に関する試験 (1). 京都府農業研究所研究報告. 17号. 京都府農業総合研究所.
- 日本穀物検定協会. 1995. 図説・米の品種 改訂版. 東京: 日本穀物検定協会.
この記事は “Kyō no Haru Tokubetsu Junmai Nama Genshu | Saké Review” から翻訳されました。