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久保田 千壽|日本酒テイスティングノート

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

軽やかだけど、やわらかい

きれいでクリア、軽やかだけど柔らかみのある酒です。リンゴやメロンのフルーティーな香りと米を感じるやわらかな香りがあって、ふわりと切れて、うま味とピリピリとした余韻が楽しめます。

冷蔵庫から出して少し時間がたったくらいの温度帯と、45度くらいのぬる燗がおすすめの飲み方です。

飲みすすめると料理が食べたくなりました。ウオッシュタイプのチーズや白身魚の天ぷら、燗酒では雑炊とよく合うでしょう。

ミニマリズムの蔵

「久保田」で知られる新潟県長岡市の朝日酒造を訪問したのは2018年のことでした。

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広大な敷地にはコンクリート打ちっぱなしの建物が立ち並んでいます。スッキリ、シンプル。ミニマリストが大好きな光景です。20年かけて整備されたこれらの建物群が無機質に思えないのは、古い蔵のモチーフを生かした漆黒の柱の装飾や、先代の蔵元が愛でたステンドグラスの窓があるからでしょう。

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蔵の中にはさらにミニマリスティックな光景が拡がります。残念ながら撮影は許可されていませんでしたが、チリひとつ落ちていないピカピカの蔵内(午後の作業はほとんど清掃にあてられているそうです)は、SF映画のロケができそうなほど未来的でした。同行した精密機械の製造業にお勤めの方が、「クリーンルームみたいだ」とつぶやきました。リアルのクリーンルームに触れているので説得力があります。

地元の米と水

朝日酒造は酒米の大様、山田錦を使っていません。原料米はすべて新潟県産の米で、メインは五百万石のほか、たかね錦や雪の精を使用しているとのことです。

蔵の裏には小高い丘があり、そこからは魚沼の雪解け水の伏流水が湧いています。蔵の方々はこの水を「宝水」と呼んで、酒造りに使っています。

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テイスティングコメント

軽やかな辛口だけど、厚みもある

冷蔵庫から出したて、8度でテイスティング。グラスはISOテイスティンググラス。やわらかで酸味が前面に出てくる。コクもある。じわりとした余韻。

ちょっと時間をおいて、10度くらいで再び。きれいでクリア、スムースで軽快。上品な甘味と酸味。生クリームの香り、切りたてのリンゴの香り、ほのかにメロンとローズマリーの香り。余韻は短く、ミルキーな米のニュアンス・うま味・アルコールのピリピリとした刺激。

常温では、やわらかな口当たり。柚子の香り、グレープフルーツ果汁とピールの印象。余韻はピリピリとした感触。

燗酒、45度くらいで。米のニュアンスがふわりと現れる。エアーのように軽やかに切れる。余韻は長く米のニュアンス。吟醸燗酒最高!

食べ物が欲しくなる酒

米のニュアンスとフルーティーな香りがやわらかな印象を与え、食欲が増してくるのだ。

チーズや白身魚の天ぷら、タイ料理のソムタムにあわせたい。とくにウオッシュタイプのチーズとは、酒の甘味が強調されて良い。温めたときは、おこげや雑炊と合わせたい。

(テイスティング日: 2019年10月12日)

ラベル情報

久保田 千壽

  • 〈醸造元〉 朝日酒造(新潟県)(新潟県長岡市)
  • 〈仕込み水〉 -
  • 〈原料米〉 新潟県産米(五百万石)100%
  • 〈精米歩合〉 こうじ米50%、かけ米55%
  • 〈特定名称/種別〉 -
  • 〈アルコール度数〉 15度
  • 〈原材料〉 米、米こうじ、醸造アルコール
  • 〈製造年月〉 2019-09-19

参考資料