地元米で醸された、地元に愛される酒「喜量能(きりょうよし)」日本酒テイスティングノート

〈日本酒レビュー〉畑酒造が醸す「喜量能」は地元で愛される酒。やさしくてきれいで落ち着いた味わいだ。

地元米で醸された、地元に愛される酒「喜量能(きりょうよし)」日本酒テイスティングノート


レトロなラベル。明治・大正からありそうなタッチだ。「芳醇清酒」「Refined Sake」の文字が歴史を感じさせる。ラベルの印象とは裏腹に、やさしくてきれいで落ち着いた酒だ。乳っぽい香りがライチやローズマリーの香りに彩られている。

「喜量能(きりょうよし)」は、大治郎で知られる畑酒造のもともとのブランドだ。現在は地元を中心に流通している。

この酒を出してくれたお店の女将によると、普通酒扱いだけれどもアルコール添加をしていない純米造りだという。畑酒造で醸される酒のすべての原料米は、地元の契約栽培農家の会(呑百笑の会)が育てた米だ。大阪・堺の酒販店、深井中野酒本店の商品紹介によると、地元産吟吹雪(酒造好適米)の等外米が使われている。

純米酒の名称は農産物検査法で3等以上に格付けされた米を使ったものに限られると「清酒の製法品質表示基準」に定められてるので、この酒は純米酒と表示できない。個人的には、この制限は撤廃してもよいのではと考えている。農産物検査法の格付けとその米が酒造りにどのくらい適しているのかとはあまり関係がないからだ。

テイスティングノート

室温、グラスで

やさしくて、きれいで、落ち着いた酒。透明感が印象的。香りは落ち着いたライチと乳酸系、ローズマリーなどの青いハーブの香り。余韻にはやさしい苦味がある。ぬる燗で膨らませたい。

ペアリング

温かい粕汁とよくあった。このお店のはうま味と味の広がりがあって、奥行きを感じさせる粕汁だ。滋賀県の酒蔵の酒粕を複数ブレンドして使っているという。酒の温度を合わせるともっとよくなるだろう。

(テイスティング日: 2020年10月10日)

ラベル情報

喜量能(きりょうよし)

  • 〈醸造元〉 畑酒造(滋賀県東近江市)
  • 〈仕込み水〉 -
  • 〈原料米〉 すべて滋賀県産米使用
  • 〈精米歩合〉 -
  • 〈杜氏〉 -
  • 〈特定名称/種別〉 -
  • 〈アルコール度数〉 15度
  • 〈原材料〉 米(国産)、米こうじ(国産米)
  • 〈製造年月〉 H21-02
  • 〈その他情報〉 蔵出し年月: R02-04

参考文献