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川鶴 Heart & Soul 一貫醸造 〜自家栽培米山田錦〜|日本酒テイスティングノート

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

2017年6月に開催された川鶴の田植えイベント。私も参加しました。「川鶴 Heart & Soul」は、このとき植えた山田錦を使って醸された日本酒です。

自分の手で植えた苗が育てられて米になり、酒が造られる。そう思って飲むと感激です。その年の秋に酒蔵の方から稲刈りの報告のメール、今年の春に酒が出来上がったとの連絡をいただきました。

山田錦の稲穂、川鶴酒造からの稲刈り報告メールより
山田錦の稲穂、川鶴酒造からの稲刈り報告メールより

さっそく購入。冷蔵庫で2ヶ月ほど寝かせたあと開栓、テイスティングに至ったのです。

最適な温度が来るまで心を開かないお酒

10度くらいの温度帯で、柳宗理グラスでいただきました。

開栓直後の第一印象は「モダンな味わい」。とくに個性が感じられず、膨らみがなく讃岐らしさが見られない都会酒という印象でした。

しっとりしたフルーツと米のニュアンス

1時間経ち温度帯も20度から22度になると、米が顔を出してきました! 好きな人がやっと心を開いてくれた時のような気持ちになりました。

蜜のようなテクスチャー。かりん果汁、カシューナッツの香り。米を全受容体で感じる。酸味とアルコールの刺激がちょっと強いのが気になる。乾燥した柚子ピールの苦味。

一年くらい寝かせたらバランスが取れてくるのではないだろうか。川鶴らしさが垣間見えるものの、やはり個性がもっとほしいお酒。蔵人と消費者が一緒に植えた米を使った酒、というコンセプトでは搾ってから早いうちに出す事が必要かもしれないが。

しっかりと生きている田舎の女の子。日焼けの奥に可憐さをのぞかせる。力強い酸味のなかにこんな人が見えてきました。

燗酒 40度

40度位の燗酒にしてみました。

甘味がやさしく、酸味がしっかり。ミルク飴、白玉粉、すだちのピールの香り。米のニュアンスと旨味。余韻の苦味は細くてスッキリ、そしてアルコールの刺激、旨味。

なにか食べたい気分になるお酒。

燗酒 55度

55度まで上げると、ふくよかさを通り越し、シャープで締まった感じになリます。そして、米のニュアンスがとても強く。観音寺の水田、夏の夕方の情景が思い浮かびます。

乾燥し空気に漂う草の香り、餅の香り、ウエハースの香り。米のニュアンスがいろいろな角度から見えてきます。そして、それぞれが立っているのです。

乾燥すだちピールとほのかに干草の香りが鼻に抜け、きゅっと締まって、よい切れにつながります。後口にミルク飴の香りと旨味。

食べ物と合わせると輝く

単独では個性を感じにくく、記憶に残りにくい酒だが、料理と合わせると輝いてきます。隠れていた讃岐らしさが出てきます。

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グラナ・パダーノというチーズ。パルミジャーノ・レッジャーノに似ているが、塩分が少なめのチーズです。合わせると、酒の甘味と米の香りが引き立ちます。そして、両方にあるミルク感が同調します。

ナスのぬか漬け。酒の甘みと米の香りが強調されます。酒の酸味とぬか漬けの酸味が寄り添い、互いに引き立てます。糠の香りを、酒のとろりとしたテクスチャーと甘味が包み込むようすを楽しみました。

山椒塩を添えた五穀米おにぎり。米同士の同調はもちろん、酒にある、乾いた柑橘ピールの香りがご飯にアクセントを付けます。山椒の香りが酒に緊張感をあたえます。

上の3つの料理とよく合いましたが、おまけで果物、桃に合わせてみました。酒の収斂味と苦味が強調された上、酒の甘味が桃の甘味が勝つことができずに、合いませんでした。

(テイスティング日: 2018年7月28日)

ラベル情報

商品名川鶴 Heart & Soul 一貫醸造 〜自家栽培米山田錦〜
醸造元川鶴酒造(香川県観音寺市)
特定名称
原材料米(国産)、米こうじ(国産米)
酒造年度-BY
原料米山田錦100%使用(自家田栽培米)
精米歩合80%
酵母-
アルコール度数16度
日本酒度-
酸度-
アミノ酸度-
製造年月2018-05
杜氏-
その他情報米作りから酒造りまですべてをクラビと全員で向き合ったお酒
商品ページ-

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