鶴齢 本醸造|日本酒テイスティングノート
〈日本酒レビュー〉コメントがあまり出てこないけど、いつの間にか空になってしまうくらいスイスイ飲めるお酒です。
にいがた酒の陣のあと、昭和なデザインのカップ酒をたくさん見つけて大人買いしてきました。なぜカップ酒に「花」なのだろう。不思議です。一番右のチューリップなんか、昭和のポットや炊飯器に印刷されていそうです。
「鶴齢 本醸造」(一番左)をテイスティングしました。ちょっと難しかったですね。どうしてかと言うと、スイスイ飲み進んでしい、言葉があまり出てこないお酒なんです。
例えば江戸時代の製法で作った熟成酒などは、たくさん言葉が出てきます。豊かな香味なんです。
実は、個性があって視覚・味覚・嗅覚にたくさん働きかける酒が大好きです。この新潟の本醸造に向き合っても、あまり言葉が出てきません。でも、いつの間にか盃(カップですけど)が進んでいるのです。あっという間に半分、三分の一と飲み進められます。そしておかわりが欲しくなります。個性の強い酒もいいけど、こういう酒が日常の酒として愛され続けるのかもしれない、と思いました。
テイスティングコメント
おいしい。スイスイ飲み進む酒である。おかわりが欲しくなる。
15度くらいの温度帯で
薄い山吹色。上立ち香は乳酸系の香り、そして甘さを連想させる杏の香り。柔らかな口当たり、甘味を多く感じるが、酸味は穏やか。その穏やかなところでのバランスから、キラキラした印象。淡麗甘口。
香りも穏やか。白玉粉・杏・ミルク飴・グレープフルーツピールの香り。
アルコールの刺激と苦味で切れる。気持ちよく切れる。余韻はちょっと長く、甘味と杏の香り、アルコールの刺激がいる。
42度のぬる燗
温めよう! と本能的に思って、ぬる燗に。甘味は上がる。温度を上げることで芯が通った。マットな印象で米のニュアンスが際立ってくる。ああ、この温度にしてよかった、と安堵した。
ちょっと冷えた温度帯、ぬる燗、両方よかった。飲み進んでしまったので、50度以上の検証はできなかったのが残念。
料理とのペアリング
どんな料理にも合う。酒と料理が同じリングに上る対等なペアリングよりも、日本酒の伝統的なペアリング、つまり主役の料理を立て脇役に徹する合わせ方に向いている。ちょっとしたアテとともにほとんど単独で飲み進むのも楽しい。
(テイスティング日: 2019年6月18日)