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純米無濾過原酒 十右衛門(じゅうえもん)|日本酒テイスティングノート

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

輪郭のくっきりとした、味わい深い酒

ミルキーな印象。濃醇で輪郭のくっきりしたわかりやすい味わいで主張がつよい。米を感じる甘味、乳製品とオレンジのニュアンス。カスタードクリーム・チーズ・マシュマロ・アプリコットの砂糖漬けの香りの奥にカカオニブの苦味が隠れている。

15度くらいに冷やすとやわらかでシャープ、後口が爽やか。55度の燗酒も米の甘みがマットでクリーミー、うま味もあってクラムチャウダーっぽくてオススメ。

グリルチキンや焼き餃子、骨付鶏、そこそこ熟成したコンテチーズ(8ヶ月くらい)に合わせたい。冷やしてフルーツゼリーやあんみつと合わせるのもよい。シロップにしてパウンドケーキに打つのもまたよし。

東京の地酒

東京は日本酒消費地とのイメージが強いが、郊外から都心部まで、それぞれの地域が込められた地酒が存在する。中心は郊外の多摩地区で、全部で9つの日本酒蔵がそれぞれ特徴のある酒を醸している。この酒を醸す豊島屋酒造は、初代豊島屋十右衛門が1596年に神田で酒屋と一杯飲み屋を兼ねる商いを始め、昭和時代には現在の東村山に蔵を移し、現在に至る。これはその十右衛門の名を冠した酒。多摩地区の酒蔵が使う水は中硬水から硬水。豊島屋酒造の仕込み水も150mの井戸から汲む荒川・玉川水系の硬水だ。

詳細テイスティング・コメント

室温(22度)ではしっかりした輪郭

ごく薄い黄色。上立ち香はミルキーさが主張、カッテージチーズやレモンチーズケーキの香り。

濃醇で輪郭のくっきりとした酒である。主張が強い。でもシャープというわけではない。米を感じる甘味と乳酸の酸味、そしてほのかにオレンジのニュアンスがある。カスタード・チーズ・マシュマロ・アプリコットの砂糖漬けの香りの奥にカカオニブの苦味が隠れている。のどごしも力強く、アルコールを感じる。

◎ 冷やすとシャープに(15度)

この酒は冷やしてみよう。15度位ではやわらかさの中にシャープさがある、透明感のある酒に。後口の酸味がいい余韻だ。フルーツゼリーやあんみつに合わせたい。この酒でシロップを作って、パウンドケーキに打つのもよいのではないか。

熱燗にしてみる(55度)

よい! 米の甘味とマットでクリーミーな口当たりにうま味と甘味。クラムチャウダーを思わせるけど、男前でビシッとしている。

◯燗冷まし(55度から45度位へ)

ジューシーに味わいが膨らむ。メロン・オレンジの香りと甘味が爽やか。

温めたとき、揚げ出し豆腐や甘いだしをつかった料理に合わせたい。カツ重とかも行けるかも。思いつくのは新潟の甘いソースカツ丼など。それから、アボカドディップをつけたドリトスや、なめたけ、さらにはドライカレーにも合わせたい。

(テイスティング日: 2019年10月20日)

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ラベル情報

純米無濾過原酒 十右衛門(じゅうえもん)

  • 〈醸造元〉 豊島屋酒造(東京都東村山市)
  • 〈仕込み水〉 -
  • 〈原料米〉 八反錦(広島)
  • 〈精米歩合〉 麹米55%、掛米60%
  • 〈特定名称/種別〉 純米酒
  • 〈アルコール度数〉 17-18度
  • 〈原材料〉 米(国産)、米こうじ(国産米)
  • 〈日本酒度〉 3.5
  • 〈酸度〉 1.6
  • 〈製造年月〉 2019-09

参考資料

  • 社団法人東京都地質調査業協会. 技術ノートNo.32 東京のお酒. 2001年3月.