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純米辛口 +9 春鶯囀|日本酒テイスティングノート

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

ライトだけど、やわらかい

やわらかく軽やかな印象のお酒です。米を思わせる上新粉の香り、小さな白い花の香り、そして余韻の金柑の香りとアルコールの存在感が心地よくつながります。冷やして飲むか、55度くらいまで上げるのと、そこからの燗冷ましおすすめです。整った余韻が印象的でした。

味噌味で濃く付けした料理や金山寺味噌(このあたりは金山寺味噌が有名)との相性が良いです。また、甲殻類を直火で焼いたものに合わせたいと思いました。エビを焼いた香ばしい香りとのハーモニーを楽しみたいです。海のない県の酒だからこそ海産物へ想いをいだきながら飲みたい酒です。

与謝野晶子が詠んだ和歌からつけられた酒銘

萬屋醸造店は1750年に創業し「一力正宗」という銘柄の酒を造っていましたが、1933年に与謝野鉄幹・晶子夫妻が逗留したことをきっかけに「春鶯囀(しゅんのうてん)」という銘柄に改められました。

この時与謝野晶子によって詠まれた一首。

法隆寺などゆく如し甲斐の御酒春鶯囀のかもさるゝ蔵

この酒「純米辛口 +9」は甲府の依田酒店のオリジナルで、「辛口のリクエストが多かったので造ってもらった」とのことです。地元産の酒米、玉栄が使われています。県外の米を使うことが多かった山梨県ですが、最近は県内で酒米を栽培する動きが出てきているそうです。

テイスティングコメント

今回はすべて、清酒グラスでテイスティングしました。

10度

やわらかく入るが、すぐに軽やかさがやってくる。小さな白い花のイメージ。上新粉の香りに金柑の甘い丸みを思わせる柑橘の香りが重なる。きゅっと切れて、余韻はやや長い。そこには、金柑の香り、少しのうま味、そしてアルコールの刺激と苦味が心地よい。

21度

すこし膨らみが出てきた。上新粉の香り。米を思わせる。さっと切れて余韻は短く感じる。金柑の香り、苦味、アルコール感が余韻にのこるが、ややバランスがバラけてしまう。物足りなさが残る。

45度

まだ落ち着かない。

45度から燗冷ましで38度くらい

よい! 全体的にやわらかで口当たりがやさしい。金柑果汁の香り。苦味とともにさっと切れて余韻が短い。そう、余韻が整ってきた。

55度

これはよい! 乳っぽい香りが主体になる。切れのよさと整った余韻が素晴らしい。ややうま味を感じる。そしてかすかに蜂蜜の香り。辛口だけど香りで甘い。

60度

ミルキーな印象と金柑の香りがとろけ合う。調和している。余韻が短くなる。すぐいなくなる感じ。すこし物足りないかもと思ったが、同時に、飲み進められるようになった。これはこれでよい。

ペアリング

(テイスティング日: 2020年5月24日)

ラベル情報

  • 純米辛口 +9 春鶯囀
  • 〈醸造元〉 萬屋醸造店(南巨摩郡富士川町)
  • 〈仕込み水〉 南アルプス山系伏流水
  • 〈原料米〉 山梨県産玉栄
  • 〈精米歩合〉 60%
  • 〈特定名称/種別〉 純米酒
  • 〈アルコール度数〉 15.5度
  • 〈原材料〉 米(国産)、米麹(国産米)
  • 〈製造年月〉 2019-04
  • 〈その他情報〉 依田酒店オリジナル

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