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オンライン飲み会「日本酒うんちく手帖」の楽しさ

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

自粛期間中に始めたオンライン飲み会は選集で18回目を迎えました。毎週開催できたのは参加いただいた皆さんのおかげです。

リアル・イベントが開催されない中、手探りで始めたオンライン・イベントで発見したプレシャスなことは、「混沌の中から、それぞれの参加者にとって光るものが見つかる」ことでした。

「オンライン飲み会」(もっとキャッチーな名前をつければよかった)は6人から12人程度の少人数で進行します。最初の7回は、普通のオンライン飲み会で、参加者が自己紹介と今飲んでいる酒を紹介するだけで、そこから話が発展してあっという間に2時間が過ぎてしまいました。(2時間という制限は、リアル・イベントでの経験から導き出された数字です。こちらの記事後半で説明しています)

もちろん、人によって話の持って生き方に得手不得手があるし、話したい人と主に聞き役に回りたい人もいます。そのような多様なモチベーションを持った人が、いわばカオスのようなオンライン・ミーティングルームで語り合い、酔いも手伝って混沌性を増していく。そして、何かが生まれ、見いだされる。この世界観が少人数オンライン・イベントの「場の力」なのです。

リアル・イベントでは、「参加者の方に何を持ち帰ってもらうか、帰宅してお風呂に入って、『こういうことよかったな』と思えることを提供する」ことを目指していました。これがいま、オンライン・イベントで実現できつつあると感じています。

8回目からは「日本酒うんちく手帖」として、日本酒を楽しむための知識のミニ・レクチャーをするようにしました。ここでも、「池に石を投げて美しい波紋をつくる」ことを目指し、議論や対話の種となる話題を投げかけました。(もちろん、最初の頃は私が話しすぎることもありましたが、回を重ねるごとに最適な話題の粒度が体験的にわかるようになりました)

ミニ・レクチャーの後の飲みながらの対話はいつも白熱して、知的好奇心をくすぐって満足させて、そのままベッドに横たわる(オンライン・酒イベントの最大のメリット)のです。毎週水曜日のこの一連の流れが、(準備は大変だけど)楽しくて、日本酒好きなみんなにこういう場を作ってもらう幸せを噛みしめるのです。

18回のオンライン日本酒イベントを開催して、参加者の皆さんに助けられて、元気をもらって、考えたことを書きました。オンライン・イベントもリアル・イベントも本質的には同じで「場の力」が人々を幸せにするのです。ここまで振り返って、元気が出ました!

まだ日本酒コンシェルジュ通信の「オンライン飲み会」に参加されていない方も、お気軽にご参加ください。Facebookお問合せフォームからお問い合わせください。

今までのオンライン飲み会

今までの「オンライン飲み会」の報告投稿(Facebookに投稿されたもの)を掲載します。

No.18 菩提酛・水酛(2020年8月19日)

テーマは「菩提酛・水酛」。ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!

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菩提酛の酒母の作り方、元禄時代の寒造り奨励から廃れて大正にはほとんど造られなくって1980年代からの岡山・奈良・千葉などでのリバイバルの話。酒造業界では廃れたけど、神社の御神酒・農家のどぶろく・パンの酒種に菩提酛の歴史は連綿と続いていたこと、ことをお話ししました。

菩提酛はずっと私たちとともにあった!

フリートークタイムでは、水酛づくりにとりくむ江井ヶ嶋酒造の杜氏・中村さんに電撃参加いただき、菩提酛・水酛から酒造り、ウイスキーのブレンド、これからの酒蔵の生き残り方などたくさんの重厚なお話をいただきました。

そして、中村さんのお話と参加者の皆さんのお話、たいそう盛り上がりました。昔の杜氏さんの秘密主義、気が付かないけれどもちょっとしたこと(袋の洗い方)を変えるといい酒ができるようになる、汚れは見えても菌は見えないという怖さ、洗い物の大切さ、昔の菩提酛はアルコール度数12,3度くらいだったのでは?、優良酵母が分離・配布される前と後では全然酒の味が違う、ジャパニーズウイスキーのあかしはフランスでよく売れている、海に近いから潮の香り?、日本国内では高いウイスキーは売れない、海外での評価は高いのに、ウイスキー製造のいろいろな話、酒の分類について、酒母の違いや製法の違いは必ずしも味に反映しない、生き残るためには蔵の個性の一本化が必要なのでは?大吟醸から普通酒までを全部作るのはいいことなのか、種類が少なくどのクラスの酒を飲んでも個性がはっきりしているブランドが生き残るのでは?、今、とんがっている蔵元が注目されている、蔵の個性について、地産地消・復活米・ワイン酵母、やり尽くした感ある、昔の大酒コンテストはすごく飲んでるけど、加水して度数かなり低かった、加水の是非、カクテルの是非、造り手の意図を尊重して飲みたい、アルコール度数がワインより高いのも特徴の一つ、無理に合わせなくても、いや、それでは受け入れられにくい、などなど。

No.17 日本酒にまつわることば「発酵」(2020年8月12日)

「日本酒にまつわることば」をテーマに、「発酵」に関する言葉についてお話しました。今回は議論がだいぶ盛り上がりました! 参加いただいた皆さん、ありがとうございました!

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酒母・麹・醪と、酒造りの工程をたどりながら、まつわる言葉をご紹介しました。たとえば「もやし」「そやし」など、いまでは豆もやしなど限定的名使われ方をしている単語でも、酒造業界では「芽ぶく」という本来の意味で使われていることなどから、酒造りは製造というよりも、育むもの、昔の人は(今の人も)酒造りの中に命の芽吹きをみていた、という結論でした。専門用語の「つわり香」の語源についてのお話では、そこからいわゆるオフフレーバーでも消費者には心地よい香りとか、さらにはジェンダー論にまで発展して、たいそう白熱いたしました。楽しかった!

フリートークタイムでは、燗ビール、常きげん、土佐鶴にごりの炭酸割り、美冨久の滋賀酵母酒、伊根満開、ミュスカデ、東京の地酒、命の水 l'eau de vie、山廃造りには「枯れた手」が必要、日本酒は全部女酒で蒸留酒が男酒、などこちらもまた盛り上がりました。

No.16 錫の器と日本酒(2020年8月5日)

「日本酒うんちく手帖」のテーマは「錫と日本酒」でした! ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!

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錫器の歴史を燗酒の歴史とともに、延喜式の燗酒、『好色一代男』の燗鍋、銚子と燗徳利、江戸と上方での使い方の違い、チロリとタンポ、錫を使った日本酒の貯蔵タンク、大阪錫器のオープンデイのレポート、錫器はどのようにして作られるのか、錫のチロリで燗をつけると陶器の徳利を使う時とどう味が変わるか、錫のチロリの利点、などをお話しました。

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うんちくレクチャーのあとの懇親タイムでは、京都の中華、大阪の炭水化物文化、お好み焼きをおかずにご飯を食べる、広島にもお好み焼き定食がある、煎茶の茶壺(錫製)、銀食器は毒を検出するため、「常きげん」 の 「涼純」 3年熟成、「五橋」のパック酒、メイプルウオーターを使った Dovetail Sake、ボルドーのワイナリーへの中国資本の進出、ポルトガルのワイナリーはすでに結構な割合で外国資本、日本酒蔵が海外資本になるとどうなるか、なぜ海外進出の日本酒は白ワインを目指すのか、地方蔵の「東京向け』酒質、サロン・ド・サケでの興味は吟醸から生酛系へ、スペインの酒蔵、普通酒を海外で展開する大手蔵、海外の蔵のほうが日本の伝統を守っている傾向、など、たいそう盛り上がりました!

No.15 台湾の酒 100年(2020年7月29日)

ホワイトうんちくを楽しむ会「オンライン日本酒うんちく手帖」のテーマは「台湾の酒 100年」をお送りしました。初参加の方も含め、8名の方にご参加いただきました。(乾杯写真のあとに参加いただいた方、すみません)。

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8000石くらい造っていて、台北のスーパー・コンビニに必ずおいてあるTTLの「玉泉」、新潟県の先生や杜氏さんたちが指導された「霧峰農会」の「初霧」を中心に、歴史・酒の味・飲酒シーンをお話しました。

懇親タイムでは、台湾の米・植民地政策・台湾暑い地方の蒸留酒・日本手統治前の多様な酒、地方の多様な酒が失われたけど、それは日本の地方でも同じようなことがおきていた、その平準化の時代から今は多様な時代にもどっている、などで盛り上がり、さらに流れで「玉泉」「初霧」のライブテイスティングに突入、燗酒やちろり、スープジャーでの燗酒、錫のたんぼ、酒器の歴史、かわらけ、木の枡、フランスでも素焼きでシードル飲んでた、などに話が発展しました。ライブテイスティングすると酒がよりおいしく感じられました。これ楽しいかも。そして、参加者の方がゆるきゃらが印刷されたカップ酒をみせてくれたら、他の方からもどんどんデザインカップ酒が四次元ポケットのごとく出てきて、大変盛り上がりました。カップ酒の会もやらねば!

No.14 サケリオ・バトル(2020年7月23日)

先週開催の「オンライン飲み会・日本酒うんちく手帖」ではいつもと趣を変えて「酒リオバトル」を開催。まずは飲み会タイムでは、自己紹介から始まって、ワイングラスが汚れないにごり酒、京都の水、高島の水、水脈とその水脈は少しずれると大きく変わることがある、酒造用の水をいじることについて、など飲み交わしました。

自分の好きなお酒・日本酒に関する本や映画、音楽を紹介する「第1回酒リオバトル」では、小泉武夫先生の日本酒の香りについての本、毎日の小さなことを喜んで生きている人がお酒の良さを見つけるエッセイとレシピの本、伊藤まさこ『ちびちび ごくごく お酒のはなし』、1991年『太陽別冊 天皇の料理番』、韓国語で日本酒の味をロジカルに丁寧に伝える本、1975年の『日本の酒』は当時トレンドの酒が紹介されている、貝原益軒『養生訓』、北海道開拓民のお話、手塚治虫『シュマリ』、複数回鑑賞がおすすめの映画「バベットの晩餐」、伊丹十三「たんぽぽ」のフランス料理のシーン、寅さんが満男に酒の飲み方を教えるシーン「男はつらいよ ぼくの伯父さん」、高瀬斉『清酒は日本酒か』など、皆さんおおすすめの幅広い分野(おさけにかぎっているのに)から話題が盛り上がりました。

No.13 吟醸酒 その2(2020年7月15日)

「オンラインうんちく手帖」テーマは前回に引き続き「吟醸酒」でした。前回の三浦千三郎の時代から、1975年に吟醸酒が定義されるまで、そして市販されない「幻の酒」が民主化して1980年代の吟醸酒ブームをお話しました。

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フリートークタイムでは、やはり精米歩合60%が一つの境目になっている、昭和50年代の第一次地酒ブームは60%にまで磨いた酒が受けたのでは、米によっては70%でも造り方できれいな酒は作れる、抑制された吟醸香について、吟醸酒の基準は業界内でもかなり曖昧、フランスでの吟醸香の評価、香りがわかりやすいのが受ける、日本酒は白ワインと比較されやすい、フルーティーなお酒から入って日本酒の世界にハマった、中小の酒蔵が勝つ方法、スペックで吟醸酒でもいいかげんに造ったら売れない、価値観の分散化がこれからのキーワード、酒と出会う場所、個性のある酒の時代、でも情報が多すぎて選べない、義務教育で日本酒文化教えるべき、有機日本酒のアピール、などなど、たいそう盛り上がりました。

No.12 吟醸酒 その1(2020年7月8日)

テーマは「吟醸酒 1」でした。吟醸酒の始まり、三浦仙三郎先生、吟味して造る、低温でゆっくり発酵、などをお話しました。吟醸酒とはなにか、曖昧な定義は造り手を制約しないため、吟醸酒の定義で精米歩合だけが唯一数値化出来たことで、多くの人が思っている「精米歩合60%以下」、でも、精米歩合よりも「吟醸造りしたもの」が本質であることが議論の中心でした。

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その後のフリートークでは、東京に来る吟醸酒はみな同じに感じる、吟醸酒=磨きだと思ってた、吟醸酒のために水を加工する、酵母の栄養になるミネラル、原料費だけで日本酒の小売価格を決めることはどうなのか、コロナで味覚破壊されるのこわい、飲食店はおもてなしを受けるところ、みんなの消費行動が変わったが、悪いことではない、外食は普段よりハレの場的な利用に偏るようになるのでは、吟醸酒の定義は曖昧で西洋の人に説明するの難しいけど、それもふくめて日本文化として受け止めてもらいたい、フランスでのトレンドは大吟醸の次のフェーズに入っている、生酛とか、日本酒ミクソロジーについて、など盛り上がりました!

No.11 日本酒のペアリング(2020年7月1日)

4回目を迎えました、オンライン日本酒うんちく手帖。日本酒の「うんちく」はそもそも楽しいもの。マイナスイメージが持たれがちな「日本酒のうんちく」を楽しむ企画です。

今回のテーマは「日本酒のペアリング」。最近流行りのペアリングと「料理を引き立て、邪魔をしない」伝統的なペアリングについて、実例を交えながらお話しました。嗜好品の味わいの半分は科学的組成で、残り半分はストーリー。ペアリングもしかりです。香味で合わせるだけでなく、ストーリーで合わせるペアリングも提案しました。ペアリングとはおもてなしの表現であること、自分で組み合わせを見つける楽しさ、で締めくくりました。

ペアリングの実例のお酒(その蔵の酒)を偶然参加者の方が飲んでいることが2銘柄、やっぱりお酒はつながるなーと感じました。

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このあと広がったフリートークでは、あけましておめでとうございます(新しい醸造年度の始まり)、カプレーゼと日本酒をどう合わせるか、和菓子にあわせる、トマト、泡ワインとバターと二十日大根、オリーブ酵母の酒は各蔵全然味が違う、にごり酒に合わせる料理、日本酒は伝統芸能としてではなく生きている産業としてつづいてほしい、酒・料理のどの部分を合わせるかは人によって違う、からあげとビールの素晴らしさ、酒に合わせるのはこしあん?つぶあん?、ぜんざいにもちをいれずに代わりに酒を合わせる。伊根満開+ラズベリーチョコレートケーキの相性のよさ、日本酒のあいまいさ、Boys, be ambiguous! などなど、盛り上がりました!

No.10 日本酒の発祥(2020年6月24日)

オンライン飲み会のテーマは「日本酒の発祥」でした。ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!

「日本酒発祥の地」とされる、出雲・播磨・奈良・伊丹をご紹介しながら、それぞれの発祥とするものはなにか、日本酒とはなにか、という話題から、そこからなぜ米の酒か、なぜ米が最も重要な穀物になったかというお話につなげました。

懇親会では、一升瓶を家庭用冷蔵庫に入れる、一升瓶っていいね、堺の商人と浄土真宗と酒造技術、菩提酛、ロゼワインのマーケティング、地中海文化、AOCはトップダウン、フランスの県は文化の境界と違う、日本の県もしかり、下戸遺伝子、ビオ日本酒・オーガニック日本酒が一定の地位を得ていないのはなぜか、有機栽培米を使ってもアピールしない、JETROの欧州でのペアリング普及活動、など、いつものように幅広く議論が広がりました。

No.9 ブラジルの日本酒シーン(2020年6月17日)

テーマは「ブラジルの日本酒シーン」でした。ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!

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Temakiなどローカライズされた日本食やサケ・カクテル、いまブームの居酒屋、ハイエンドの和食店をご紹介、日本文化のコンテクストから離れることで日本食が広まったことなど、ブラジルにおける日本食文化の120年の変遷についてお話しました。

後半の懇親会ではそこから広がって、ハワイ・ブラジル・長崎・沖縄の南国醸造技術者コネクション、サケカクテルは日本酒ファンの入口になるか、生産者がカクテルを望むのか、コンテンポラリーなフレンチでの生姜・わさび・うま味、日本酒の純血主義、江戸時代の日本の酒の多様性、awa酒はどこで飲めるのか、シャンパーニュは贅沢品で税金高い、フランス国内より輸出(中国、米国)、ブラジルの多文化共生政策への転換と日本食の受容、いわゆる下戸遺伝子、西洋ではハードリカーのイメージよくない、どぶろく裁判、トリュフは農作物か、など盛り上がりました。

No.8 神社と日本酒(2020年6月11日)

「うんちく」というとネガティブイメージがあったりしますが、本来は酒を楽しむための「深く研究して身につけた知識(スーパー大辞林)」、楽しめるホワイト・うんちく、うんちくのニュー・スタンダードを目指して、正確で深い知識をわかりやすくお伝えするという試みです。

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初回のテーマは「神社と日本酒」、日本酒の発祥、収穫の感謝、神事と直会、どぶろくを造る神社(とそのテイスティングコメント)、ハレとケ、日常の晩酌は「ケ」ではなく、一日の労働のあとの小さな「ハレ」などをお話しました。

その後の懇親タイムでは、乾杯から始まって、テーマを種に話が盛り上がり、拡がりました。西洋での酔っぱらいの見られ方、下戸の遺伝子、蒸留酒と醸造酒の文化的位置づけ、アユタヤや東インド会社の日本酒輸出、王禄の粕取焼酎、酒粕利用のエコシステム、寺田本家は神社のお神酒造りから始まった、寺院で今の清酒製造法の基礎、寺社勢力の排斥、正暦寺での菩提酛リバイバル、百済寺の酒も最近リバイバルした、日本酒カクテルの是非、欠点を消すアプローチと、長所を伸ばすアプローチ、醤油を入れたマルゴーの偽物ワイン、伊根満開と生姜の相性、フランスでは観光は文化庁、アイスランドの苔のリキュール、など、盛り上がりました!


記録があるのはここまでです。皆さん、お気軽にご参加ください!