一ノ蔵 Madena|日本酒テイスティングノート

〈日本酒レビュー〉酒精強化して温泉加熱熟成された日本酒。全体的にパワフルですが、引っかかるところが少なく飲みやすい印象です。

一ノ蔵 Madena|日本酒テイスティングノート

一ノ蔵の熟成酒

はじめてこの酒を飲んだのは、名古屋で開催された「一ノ蔵の会」でのことでした。その後、長期熟成酒研究会のイベントでも味わう機会がありましたが、ひとりでじっくり向き合ってテイスティングしたのは今回がはじめてです。

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#酒を巡る旅 #東京 #長期熟成酒ルネッサンス その2 第三部の蔵元と語る会にさんか。本当によかった!タンク貯蔵と瓶貯蔵の飲み比べ。話したかった蔵の方と話せて感激。そして、一番は、熟成の「解脱」という概念を知ったこと。熟成はじめは少しだうんして、その後少しづつ良くなっていくけど、ある時臨界点を超える、それが、酒の解脱。自家熟成を20年近くされたいる方でも、何回も出会うことはないという。あと、「酒に時間を感じる」という表現を身に着けた。 #日本酒 #sake #japanesesake #飲酒タグラム #instasake #sakegram #sakestagram #sakelover #日本酒コンシェルジュ

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そう、ラベルには書いていないけど、熟成酒なのです。それも特別な方法で熟成されています。それは「温泉加熱熟成」。地元宮城県大崎市の鳴子温泉の温泉熱で加温したあと、3年以上熟成させた酒です。

酒精強化と加熱熟成

そして製法も特別。ポルトガルの酒精強化ワイン「マデイラ・ワイン」の製法を応用しています。マデイラ・ワインは「酒精強化」、つまり発酵途中にアルコールを加えることで発酵を止め、糖を残すので強い甘味をもたらします。

マデイラ・ワインの極甘口のシェリーやポルト・ワインのような他の酒精強化ワインとの違いは、エストゥファと呼ばれる加熱熟成をする点です。一ノ蔵のMadenaは、温泉での加熱がこのプロセスにあたります。

しっかりした甘味と複雑で豊かな香り

全体的にパワフルですが、引っかかりが少なく飲みやすい酒です。

とろりとした口当たりとしっかりした甘味、寄り添う強い酸味。ドライフルーツや熟したリンゴ、そしてほのかにキノコ。複雑で重厚な香りを楽しめます。後口のアルコール感もあって、シェリーやブランデーのような印象も感じられます。

冷やして飲んだ時がいちばんおいしく感じられました。室温では米飴や炊いた米など穀物の香りやカカオの香りも顔をのぞかせ、より複雑で豊かな香りを楽しめました。燗酒にするなら55度位がよいでしょう。少し軽やかになり、飲みやすくなります。温めるとより幅広い料理に合わせられます。

料理との相性は抜群

カレーと合わせました。日本スタイルのカレーです。酒の強い甘味と酸味がカレーの味の濃厚さとスパイシーさに、同じ位置で向き合います。ちょうど、マンゴチャツネを添えるときの役割を酒が果たすのです。酒の熟成したリンゴ果汁の香りもまた、カレーに含まれるスパイスの香りとよく合います。

うま味が濃縮されていて塩味も強いハード系のチーズともよく合うでしょう。

麻辣ピーナッツともよく合いました。スパイスの辛さも香りも包み込みます。豆の香りも熟成香と同調しました。

テイスティングコメント

美しい琥珀色で透明感がある外観。味と香りは力強いものの、くせが少なく、引っ掛かりもない。スムーズに飲みすすめられる酒。

冷やして飲むとシェリー酒のような印象

まずは冷やして、15度位で。

上立ち香は、ブランデーやシェリー酒を思わせる香り。落ち着いた熟したリンゴの香り。とろりとしたテクスチャーで、強い甘味にしっかりとした酸味。やや苦味。

その後、複雑な香りが現れる。それらは、熟したリンゴ・和梨の切り口・はちみつ・カラメル、そしてほのかにキノコの香り。切れはよく、焼きリンゴやミカンの香り、そしてアルコールを感じる。

室温では、さらに香りが顔を出す

25度位に温度が上がったところで、再びテイスティング。

よく多くの香りを感じる。穀物の印象がでてくる。炊いた米・笑・米飴・麦芽飴・はちみつ・柑橘ピール、そしてほのかにカカオ・キノコの香り。後口は酸味と苦味、そしてやや収斂味。

複雑な香り、特に穀物の香りを感じるには、この温度帯がおすすめ。

少し温めると蜜や醤油の顔が

45度の燗酒で。

甘味がさらに上がり、黒蜜のような印象に。酸味でよく切れ、余韻は黒糖の香りとうま味を思わせる醤油の香り。

55度で花開く

55度にまで上げる。思わず「うまい」と膝を叩く。少し軽やかになる。アルコールを感じる。ややバランスが雑になるが、それがよい方向に転ぶ。ドライフルーツ・デーツ・アンズの香り。余韻に柑橘ピール・黒蜜・醤油の香り。

最適な温度帯は?

ベストなのは15度位に冷やした状態。複雑な香りを一番感じられる25度の温度帯も良い。燗酒にするなら55度くらいがおすすめ。

(テイスティング日: 2019年8月8日)

ラベル情報

  • 一ノ蔵 Madena
  • 〈醸造元〉 一ノ蔵(宮城県大崎市)
  • 〈仕込み水〉 -
  • 〈原料米〉 -
  • 〈精米歩合〉 65%
  • 〈特定名称/種別〉 -
  • 〈アルコール度数〉 18度
  • 〈原材料〉 米(宮城県産)、米麹(宮城県産米)、醸造アルコール
  • 〈日本酒度〉 -55〜-35
  • 〈製造年月〉 2019-01

一ノ蔵 Madena