泡々酒 ストライプ|日本酒テイスティングノート
〈日本酒レビュー〉純米でガス添加なしのスパークリング日本酒。甘味と酸味のバランスが良く、どんどん飲み進められます。
農産酒蔵
岡山県の瀬戸内海沿いにある浅口市にはたくさんの酒蔵があり、その中で一番山側にあるのが丸本酒造です。蔵の背後にある竹林山からのやわらかい水をつかって酒を醸しています。「農産酒蔵」というキャッチフレーズの通り、原料米はすべて社員が栽培しています。米作りから酒造りまでがつながっている酒蔵なのです。有機栽培にも力を入れており、日本・米国・欧州の3つの有機認証を取得した日本酒も醸造しています。
飲み進められる、バランスのよいスパークリング日本酒
「泡々酒」はスパークリング日本酒。ガス添加をしない二次発酵による泡が楽しめる純米酒です。造りは一段仕込み、二次発酵をさせてから瓶詰めしているとのことです。
泡立ちがよく、二次発酵ならではのビーズのように連なる細かい泡。そして甘味がしっかり、酸味とのバランスもよく、乳酸菌飲料のニュアンスを感じながらどんどん飲み進められます。余韻の最後の方に、炊いた米や酒母の、米を感じさせる香りがありました。
スイーツと合わせる
フレッシュタイムのショートブレッドとの相性がよく、酒の爽やかな酸味や香りとよく合います。ショートブレッドのバターの芳香と酒にある乳酸菌飲料のような爽やかな香り、そしてフレッシュタイムの香り。これらが余韻の中で順番に出現してきて、余韻の奥行きと時の流れを楽しみました。
ガトーショコラと合わせると、酒の甘味が打ち消され、酸味と炭酸が際立ちました。このようにして酒がガトーショコラに緊張感を与えるのです。
テイスティングコメント
フルートグラスで12度位の温度帯。
飲みやすい、おいしい、どんどん飲み進められる。和梨・やわらかいラムネ・乳酸菌飲料(アンバサやコーラス)の香り。爽やかな乳酸菌飲料の香りが主体。その奥に炊いた米や生米の香り。甘味と酸味がしっかりしており、バランスがよい。スパークリング日本酒は甘口にするとまとまると思う。ミルクレモン・藁といった酒母のような香りもかすかに感じる。
炭酸と酸味でシャープに切れ、後口にゆずピール・ミルクレモンの香り、シャープな米のニュアンス。
ペアリング
フレッシュタイムのショートブレッドと合わせた。とても合う。酒の爽やかな酸味が引き立ち、ショートブレッドにあるバターの芳香・フレッシュタイムの香りと、酒にある乳酸菌飲料の酸味と香りが合う。余韻で共演する。乳酸菌飲料の爽やかな酸味と香りのあとにフレッシュタイムの香りが来る。時間差で楽しめる。
ガトーショコラ。ヴァローナを使った甘さ控えめでチョコレートの香りが高いもの。焼きすぎていなく、粘性が心地よい。こんなに濃厚なスイーツなのに、この酒は負けていない。甘味は打ち消し合うが、そのぶん、酒の酸味と炭酸で酒の骨格が感じられる。その骨格は自分だけのものにせずに、ガトーショコラにも緊張感を与える。酒にあるレモンのような酸味と香りがまったりとしたガトーショコラのテクスチャに清涼感をもたらすのだ。
(テイスティング日: 2019年10月28日)