和リキュールでシュガーハイ&ほろ酔い! FRUIT SAKE Party イベントレポート
日本酒ベースの「和リキュール」の祭典、「Fruit Sake Party」に参加してきました。和リキュールと京都のグルメが楽しめるイベントです。
(2017年11月19日開催)
日本酒ベースの「和リキュール」の祭典、「Fruit Sake Party」に参加してきました。和リキュールと京都のグルメが楽しめるイベントです。甘さから来るシュガーハイとほろ酔いで幸せな気分になりました。
和リキュールとはじめて向き合う
梅酒をはじめとする、日本酒をベースにしたリキュール「和リキュール」。折に触れて楽しんできましたが、こんなにも多くの酒類の和リキュールと向き合ったのは、はじめての体験でした。
今まで、リキュール(混成酒)は酒類のメインストリームから外れたものと認識していました。「日本酒を造る傍ら」製造されているものだと思っていました。ところが、今回のイベントで考えが変わりました。
和リキュールは多様性に富み、洗練された飲み物である、と。
「甘いから単独で、食前酒や食後酒として飲む」とのイメージもリフレッシュされ、食中酒として優秀なお酒としての和リキュールへと認識を新たにしたのです。
会場はKIITO
会場のKIITO(デザイン・クリエイティブセンター神戸)は、デザインによる創造的な問題解決と様々な人々の交流をコンセプトとする施設です。
神戸の港湾地区に位置するKIITOは、もともと輸出生糸の品質検査を行う神戸市生糸検査所だった建物を活用しています。ゴシック様式を基調とした荘厳な外観は、絹産業が盛んだった黄金の時代を思い起こさせます。
ふんわり華やかな雰囲気
会場に入ると、ふんわり華やかな雰囲気。お酒イベントでパステルカラーの風船を見たのははじめてです。内装のロフトっぽい雰囲気ともマッチ。ポップで華やかで京都市左京区的なムードを演出しています。
このイベントのドレスコードは「赤」。必須ではなかったものの、会場では赤い服を着ている人が目立ちました。
そして会場に流れる音楽。ラウンジミュージックを選曲するDJさんも赤いパーカーで会場を盛り上げます。楽しそう!
日本酒ベースの「和リキュール」
読者の皆さまに於かれましては、「お酒の話はまだか!?」とお感じになっていることと存じますので、さっそく和リキュールのレビューをしていきたいと思います。
平和酒造(和歌山県海南市)
最初に訪れたブースは和歌山県の平和酒造。「鶴梅」というブランドの梅酒を造っています。
写真右端の「鶴梅柚子」は第六回天満天神梅酒大会のリキュール部門で優勝した梅酒。真ん中の「鶴梅 にごり」やわらかい口当たりでフルーツ感が高く、食中酒として和食に合わせて楽しめるお酒です。
👉 鶴梅とお寿司を合わせました! 祇園いづうの寿司と和リキュールのペアリング|FRUIT SAKE Party
梅乃宿酒造(奈良県葛城市)
梅乃宿酒造は、日本酒蔵が梅酒を造ることがあまり評価されていなかった10年前から梅酒を造り始めたパイオニアで、そのクオリティーには定評があります。ニットの赤い蝶ネクタイをした蔵の方がサーブしてくれました。
梅乃宿の和リキュールからは、全体的に洗練された印象を受けました。甘味が強いですが、口の中に入ってから飲み込んで余韻が残るまでの味わいと香りの変化の曲線が美しいと感じました。
果実感を活かした「あらごし」シリーズと、外国の果物を使ったfrutasシリーズを楽しみました。両方とも、果物の良さを活かしているリキュールです。
👉 ここに書ききれない分を別ページに掲載しました 梅乃宿の和リキュールを飲み比べ|FRUIT SAKE Party
竹内酒造(滋賀県湖南市)
竹内酒造のブースでは、「へべす」という柑橘のリキュールに胸キュンしました。
へべすは宮崎県の柑橘類。かぼすやすだちの仲間です。へべすのリキュールは4年前から造り始めたとのこと。
酸味はさわやかで線が細く、沖縄のシークワーサーに似ています。余韻の感じ方が果物の果汁そのもの。きゅっと締まり、酸味の余韻が心地よいリキュールでした。
👉 へべすとお寿司と合わせました! 祇園いづうの寿司と和リキュールのペアリング|FRUIT SAKE Party
このほか、柚子、マンゴー、すもものリキュールが出品されていました。
神戸酒心館(兵庫県神戸市)
「福寿」の神戸酒心館もリキュールを出品していました。
ゆず酒と梅酒。両方に共通していたのは、日本酒らしさが残るリキュールだということです。
こちらは「梅酒」。サラリとした口当たりで、控えめな甘みを感じたあと、酸味が口の中を立ち上ります。日本酒らしさを感じます。やや木の香り。後口は梅の渋味、梅の果実らしさを感じます。
今回テイスティングしたリキュールの中で福寿の梅酒が一番日本酒らしさを感じました。裏ラベルを見ると「梅酒 日本酒」とあります。梅酒に日本酒を加えて造られているのがその理由です。
こちらは「ゆず酒」。梅酒と同じく日本酒らしさが残るリキュールです。やわらかなテクスチャ。苦味を心地よく感じます。さっと切れてピール感のある余韻に重ねるように、米の香り、白玉粉の香りがほのかに感じられます。後口の酸味も心地よいです。
原材料は「日本酒 ゆず果汁 氷砂糖 醸造アルコール」。日本酒が一番多く使われている原料です。
丸石醸造(愛知県岡崎市)のリキュール
丸石醸造からは「魅惑の」シリーズの和リキュール。
この中で試飲したのは「魅惑のいちご」。いちごジャムのような食感で、果実感あふれるリキュールです。
これを牛乳を加えると、味わいに骨格ができ、品質の高いケーキにあるいちごムースのような香りと上品な酸味が生まれます。この日、いちばん胸キュンした飲み方でした。
👉 丸石醸造の深田社長にお話をおうかがいしました! 魅惑のいちご 丸石醸造の和リキュール|FRUIT SAKE Party
城陽酒造(京都府城陽市)の「青谷の梅」
京都府の城陽酒造ブースでは「青谷の梅」シリーズの梅酒が出品されていました。この中で写真右端の「青谷の梅 貴熟原酒」は寿司の甘味・酸味と同調し、よく合いました。
👉 青谷の梅とお寿司を合わせました! 祇園いづうの寿司と和リキュールのペアリング|FRUIT SAKE Party
サイダーもありました。こちらは試飲できませんでしたが、行列ができるほどの人気でした。
楯の川酒造(山形県酒田市)「子宝」
楯の川酒造のブースでは「子宝」シリーズが出品。楯の川酒造のある山形県ではさくらんぼやラ・フランスを始めとする果物の栽培が盛んで、酒蔵と農家が連携してリキュールを造っているそうです。
この中でヨーグルトのリキュールを試飲しました。見た目とは裏腹に切れがよく、余韻に「乳感」が心地よく感じられました。
梅酒も試飲。果物感のしっかりした味わい。上立ち香に梅の香りが強く、口に含むと酸味がぐわっと広がります。梅の渋味で切れたあとの余韻は、やや青い印象のある梅の香りです。
ゆるキャラのたてにゃんも活躍していました。
富翁・北川本家(京都市伏見区)の梅酒
京都・伏見の富翁・北川本家ブースでは、日本酒を使った梅酒を始めとするリキュールが出品されていました。
試飲したのは「大原 紫蘇梅酒」。有名な大原のしそと梅酒を使ったリキュールです。「梅干しと一緒の材料だけど、ぜんぜん違う仕上がりでしょ」と北川本家の中村さん。富翁の梅酒は焼酎と日本酒の両方を使っていて、この、紫蘇梅酒はいちばん日本酒の使用率が高いそうです。
大原紫蘇梅酒の上立ち香は梅の香りですが、口中香と残り香にしその香りが支配的になります。アタックからのどごしまで、上品な曲線を描きます。
料理とのペアリングで和リキュールの食中酒としてのポテンシャルを感じました
和リキュールと料理とを合わせることもこのイベントのテーマの一つでです。ゲスト用に用意していただいた「祇園 いづう」のお弁当と梅酒を始めとする和リキュールを合わせました。
鯖姿寿司、嵯峨水尾産柚子の京いなり、あなごきゅうり巻と「青谷の梅 貴熟原酒」(城陽酒造)、「鶴梅 完熟 にごり」(平和酒造)、「日向へべすのおいしいお酒」(竹内酒造)とのペアリングを楽しみました。
和リキュールの甘味と酸味が寿司のそれらと同調しよく合いました。和リキュールの食中酒としてのポテンシャルを体験しました。
クリエイティブ Bar
このイベントのもう一つの目玉が、様々なクリエイターが作品や取り組みを紹介する「クリエイティブ Bar」。梅酒や日本酒、日本酒ラベル、器、家具のクリエイターの皆さんと杯を交わしながらお話ができるプレミアムな空間です。
Plumity プレミアム梅酒
こちらは和歌山県で南高梅を生産する有本農園の有本陽平さんが自ら造るプレミアムな梅酒「Plumity」。BalckとWhiteの2種類があります。
Plumity Black は、梅の香りがしっかりとした梅酒です。口に入れてから余韻まで美しい曲線を描く上品な印象のお酒です。
上立ち香は梅そのもの。とろりとしたテクスチャ。果実のような甘味が重くまったり。酸味が広がり、口の中に刺激をもたらします。果実の苦味を感じます。後味は軽やかでやや爽やかな梅の感じ。甘ダレしません。余韻に上品な梅の香り。
Plumity White は酸味が強く果汁感のある梅酒。Blackに比べてピュアで軽やかな印象です。
Hulynique Designの九里法生さん
萩の露の「雨垂れ石を穿つ」や「里山」のラベルを手掛けたHulynique Designの九里法生さん。ご自身もソムリエであり、ワインや日本酒の造詣が深い方です。たくさん会話しました! 出展されていたすべての和リキュールを飲んだとのこと。
日本酒「SEN」の名古屋敦さん
一つの田から一つの日本酒を造る「一圃一酒」プロジェクトを手がける名古屋敦さんともお話ができました。
名古屋さんは兵庫県加西市の米農家の5代目。農家と酒蔵を「線」でつなぎ、地域と人をも結ぶというコンセプトで創られた日本酒「SEN」です。名古屋さんが育てた山田錦を使って醸されています。
ラベルには印刷後に特殊な工程が施されているとのこと。スタイリッシュな印象です。
SENはあんずやメロンの香りが高く、透明感のある口当たり、グラニュー糖のようなキラキラした砂糖感、口の中をさわやかに上がっていく酸味のお酒です。
👉 名古屋さんのお話とSENのテイスティングノート! 酒米農家・名古屋敦さんの思いと純米大吟醸 SEN|日本酒テイスティングノート
三ツ木隆将さんの Tokuree Project
日本酒の「家飲み」を促進させようというプロジェクト「Tokuree Project」の酒器が出展されていました。佐賀の肥前吉田焼の窯元で制作された徳利とぐい呑のセットです。
現在、米国にて販売されていますが、日本での発売も間近とのことです。
徳利にぐい呑を重ねると、ピッタリ。ちょっと動かしても落ちないように作られているそうです。
「MOU Trateknik & Design」の幸玉次郎さん
質の高い家具を扱う家具屋さん「MOU」の幸玉さんとは、残念ながらタイミングが合わず、お話しすることは叶いませんでした。このイベント会場の什器を担当されたとのことです。
和リキュールはこれから伸びる!
これだけ多くの和リキュールを飲んだのは初めての体験でした。
「和リキュールは食中酒として楽しめる」ことに気が付きました。また、各酒蔵の新しい酒質の探求や技術の発展が著しく、多様な嗜好にあったリキュールや上品でハイクラスのリキュールに出会うことができたのは大きな収穫でした。
食中酒としてのポテンシャルと嗜好や価格帯の多様化で、和リキュールはこれからさらに伸びるに違いないと感じました。
また、会場のふんわり華やかな雰囲気、ホスピタリヒティーを感じるイベント運営が素晴ら叱ったです。クリエイターの方と交流できるクリエイティブBarのアイデアとキャスティングも最高でした。お酒イベントがどんどん増えている中、こんなにも胸キュンも脳キュンもするイベントはなかなかないのではないでしょうか。
会場のKIITOホール前のバス停、人と物が集まった港湾地区にはアートが似合います