造り手の生き様をみて酒を選ぶ時代〈盃のあいだ 30〉

2021年6月の「発酵の宴:寺田本家の夏至」に参加して、これからの酒選びでは造り手の生き様が大切になってくると感じました。

造り手の生き様をみて酒を選ぶ時代〈盃のあいだ 30〉

6月末のオンライン・イベント「発酵の宴:寺田本家の夏至」に参加して、消費者が酒を選ぶ行動が「造り手の生き様」にまで広がりつつあると感じました。それを皆さんにお伝えしたいと思います。

今回のイベントでは、4人の蔵人さんたちがそれぞれ語る時間が設けられていました。自分たちが造った酒に合う料理を紹介したり、ここで働こうと思ったきっかけを語ったりしました。これまでのイベントでは蔵元さんとを中心にお話が進められましたが、蔵人さんが4人も登場したのは今回がはじめてでした。

その中で、蔵がキラキラした酒造りの場ではなく、自然体になれる場だと発見したのがよかったというお話が印象的でした。彼らの生き様を感じる内容でした。

彼らの言葉は、パンフレットに書かれるような「整えられた」ものとは違います。造り手の考え、もっと言うと、生き様からにじみ出てきている言葉です。かっこいいキャッチフレーズやコンセプトの言葉は世の中にあふれているけれども、生き様に裏打された言葉はそんなにありません。

消費者は、味わい・ブランドイメージ・話題性・地産地消・地域性・造り手(蔵元・杜氏)の思いなどをみて、酒を選びます。でも、これからは造る人、さらには米作りなどで酒造りに関わる人、一人ひとりの生き様が酒を選ぶ大きな要素になるでしょう。なぜその酒を選ぶかに、造る人の生き様を見るのです。

これまでのリアル・イベントと同じく、静かでアツい時間でした。イベントの終わりに蔵元さんが語った「いいと思うことをいい続けて、声を上げ続けることで社会を変えていけると感じている。負けないで言い続けていきたい」との言葉がずっと心に残りました。社会は少しづつ変わっているし、あなたの、そしてあなたの蔵・仲間についていっている人は増えているし、ここにもいるよ! と心のなかで叫びました。

こちらもご覧ください

はじめて寺田本家の酒に出会ったときのテイスティングノートです。

発芽玄米酒 五人娘 むすひ|日本酒テイスティングノート
〈日本酒レビュー〉寺田本家の発芽玄米酒、酵母は蔵付き。胸が熱くなるお酒です。

お蔵フェスタに参加して、「静かでアツい」雰囲気を感じ、酒の旅について考えました。

「飲まない」酒ツーリズム〈盃のあいだ nº22〉
「酒を飲まない酒ツーリズム」は成立する。3月に「発酵の里こうざき 酒蔵まつり」に参加してそう感じました。

寺田本家の酒のテイスティングノートです。

醍醐のしずく|日本酒テイスティングノート
〈日本酒レビュー〉ヨーグルト・チーズ・グレープフルーツの香りと強い酸味の爽やかなお酒。飲むと健康になる気がする。
香取 純米自然酒90|日本酒テイスティングノート
〈日本酒レビュー〉飲み始めは強い個性が印象に残るが、飲み進めると安心感が出てくる。体に馴染んでくる酒。

「盃のあいだ」日本酒を片手に思いにふけったことを書いています。

盃のあいだ - 日本酒コンシェルジュ通信
盃を交わすとき、ふたつの盃のあいだにある心。ひとりで盃を重ねながら、巡らせる思い。日本酒コンシェルジュUmioが綴るエッセイです。