天穏 純米大吟醸 佐香錦|日本酒テイスティングノート
〈日本酒レビュー〉佐香錦を使った酒。やさしくてやわらかい。飲み進められる酒。おかわりしたくなる酒。
地元産の酒米、佐香錦(さかにしき)を使って醸された酒です。
佐香錦は島根県農業試験場で開発され、1995年に配布が始まった酒米です。1998年の試験醸造では、この米で造った酒は「濃醇型で味に幅があり、ソフトでのどごしがよい」味になると評価されています。
常温で甘露、温めて水墨画
いただきます。やさしさと安心感のある酒です。梨の香りと甘露のような味が口の中で広がっていくのを感じます。米のニュアンスは上新粉のようで、漬け込んだ白桃のような香りと味わいが続きます。
55度位の燗酒ではミルキーな印象が上品でした。そこから40度くらいまで冷ますと、引っかかりのないやわらかな米感に支配されます。ふんわりとした印象で、酸味もコクもあります。水墨画に描かれた穏やかな出雲の風景が心のなかに浮かびます。
名古屋「お燗とvinめし くいぜ」にて。
テイスティングコメント
飲み進められる酒。おかわりしたくなる酒。佐香錦のクセのようなものはそんなに感じられない。
常温で猪口を使う。安心できる、やさしい味わい。甘露のようで、梨の香りがして、麹の甘さや酸味がある。以前、コシヒカリのどぶろくを飲んだときに感じた、味の広がり方に似ている。これは米の生命力なのか。上新粉のような米の甘味を感じさせる香りと、シロップに漬け込んだ白桃の香り。余韻はミルキーさと苦味。
温める。55度くらい。この温度帯はお店の大将に一任。第一印象はやわらかでミルキー、酸味。上品で洗練されている。さすが、いい温度帯だ。
そのあと40度くらいまで燗冷ましにしてみる。やわらかで、米を感じる味わい。引っかかりがなく、やさしく、主張しない。全体的な印象はやわらかく、ふんわりとして、酸味とコクがある。
おだやかな出雲の風景が広がる。
その風景は水墨画で描かれている。コクと独特の酸味が静かな筆で力強く表現される。でも調和を乱さない。
(テイスティング日: 2020年2月11日)
ラベル情報
天穏 純米大吟醸 佐香錦
- 〈醸造元〉 板倉酒造(島根県出雲市)
- 〈仕込み水〉 -
- 〈原料米〉 奥出雲産佐香錦100%
- 〈精米歩合〉 50%
- 〈酵母〉 島根K-1
- 〈特定名称/種別〉 純米大吟醸酒
- 〈アルコール度数〉 15-16度
- 〈原材料〉 米(国産)、米こうじ(国産米)
- 〈日本酒度〉 +1
- 〈酸度〉 1.2
- 〈製造年月〉 2019-09
- 〈その他情報〉 あなたを 佐する香りは 天穏やかに