となり町の安曇川にある「魚仁」に場所を移して、横坂さんのお話は続きます。ここは先代の山根杜氏もよく使っていたお店です。
酒造りは一期一会
最初に入った貴娘酒造では、五十嵐武明杜氏の酒造りと農業の「二刀流」に魅了され、岡山では山田錦を栽培する岡田徳行杜氏のもとで働き、その後千葉にある奥様の実家で米作りを始めた横坂さん。
そして、先代の山根杜氏に「お前の米を持って来い」と言われて醸したのが「不老泉 山廃純米吟醸 総の舞」。横坂さんは酒造りを通してずっと米と向き合ってきました。
横坂: 俺たちの仕事で何がうれしいかと言ったら、それは単純明快で、「1年でリセット」ということなんですよ。
お米で言えば、「27年産米は終わりました、来年は28年産米です」。
毎年違うんです。1年でリセットなんですよ。新しい米の出会いというのは、そこで初めてのもの。データはないですから。
そこでいいんじゃないですか、一期一会で。一期一会って裏を返せばリセットですよ。
次の世代に何を残せるか
横坂: でもやっていることの技術は常に向上するわけですよ。だから手強いほど、データがない