静かな熟成「SLたのしいねっ♪遠野カップ」日本酒テイスティングノート
(日本酒レビュー)遠野旅行で買ったカップ酒がよい感じに熟成していた。
オンラインイベント「日本酒うんちく手帖」の歓談タイムで何気なく開けたカップ酒がよかったので書き留めておこうと思う。「さぁ、テイスティングするぞー!」と飲み始めたわけでないけど、ハッとする出会いがある時ってある。
瓶詰め年月日は2018年12月、遠野にある売店で買った。まだ雪が積もっていた記憶があるので、確か2019年のはじめだったと思う。
約2年半、冷蔵庫で保管していたこの酒を開ける。冷蔵庫から出してしばらくした温度で飲む。とても淡い山吹色。スムーズな口当たりと軽やかな味わいで、ミントのような爽やかさと可憐な甘味がある。甘いけれども濃くない。後口に、わかるかわからないかぎりぎりのほうじ茶の香りがあって、控えめな熟成をようやく感じることができる。
普通酒だけど、岩手の吟醸酒のような雰囲気がある。もしかすると新酒のときはアルコールのピリピリとした刺激があって、熟成でまろやかになったのかもしれない。
カップをそのままソースパンに入れて、湯煎する。だいたい55度まで温め少し冷ましたものを飲んでみると、なんということでしょう! ほうじ茶、きな粉、大豆、落雁の、繊細な熟成香が控えめながらどんどんと出てくるのだ。
これらの、色にすると薄いベージュの微かな穀物的熟成香のあるこの酒は、しっかりとアミノカルボニル反応が進んだ濃熟タイプとも、吟醸酒を冷蔵庫で熟成するタイプとも違う、僕にとって新しいタイプの熟成だった。
(テイスティング日: 2021年8月19日)
ラベル情報
SLたのしいねっ♪遠野カップ
- 〈醸造元〉 上閉伊酒造(岩手県遠野市)
- 〈仕込み水〉 -
- 〈原料米〉 -
- 〈精米歩合〉 -
- 〈杜氏〉 -
- 〈特定名称/種別〉 -
- 〈アルコール度数〉 14.0-15.0度
- 〈原材料〉 米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール
- 〈製造年月〉 2018-12