沢の鶴 本醸造 23年古酒|日本酒テイスティングノート
〈日本酒レビュー〉1995年1月17日、仕込み途中で止まってしまった酒を2018年にテイスティング。色、香り、味わい、バランスの取れた熟成。
添仕込みを終えた状態で時間が止まった酒
タンクの中で発酵する醪(もろみ)。添仕込み、仲仕込み、留仕込みと3段仕込みで米と米麹が投入され、20日から30日の発酵日数を経て酒となる。この酒は最初の仕込み、添仕込みで酒造りが止まってしまった。1995年1月17日のことである。
仕込みを続けることができなかったので、醪を酒にすることは叶わなくなった。かといって廃棄することもできず、発酵がコントロールされてない状態で搾られた。この時、蔵人たちはどのような思いでこの酒を搾ったのだろうか。
元はどんな酒だったのかもよくわかっていないという。震災でデータが残っていないので、ほぼ純米酒だと思われるが本醸造表記となっている。搾ったあと、3〜4年はいい味ではなかったが、その後だんだんとおいしくなってきたという。
この酒には、いろいろな人の思いと、時間が詰まっている。
甘味、酸味、強烈な力強さのある酒
しっかりといい色がついている。アタックは強く、骨格がしっかりしている。とても強い甘味はグラニュー糖のよう。酸味も強い。熟成した果実感がある。リンゴの蜜のニュアンスも。香りは熟成した果物の果汁、オレンジピール、はちみつ、柑橘シロップ。強い味わいの中、味、香りのバランスが取れている熟成酒だ。さらりとしたテクスチャーになるまでもっと熟成させてみたい。
オール神戸のアテ
熟成酒に合うアテを用意していただいた。すべて神戸セレクション。沢の鶴の奈良漬・梅干し・神戸のいかなご、神戸の工場で作られたチョコレート・ハム・ピーナッツなどほとんどが神戸産か、神戸で作られたもの。
強い甘みと複雑な熟成香を生かして、醤油で調理した豚の角煮、台湾の腸詰めに合わせたい。熟成香にきのこ臭が少ないので、ビターチョコレートやドライフルーツとの相性もよい。柑橘の香りを生かして、あまり味付けをしていないローストビーフにもよく合うだろう。
沢の鶴の古酒に共通する特徴
この日は沢の鶴の古酒を11種類テイスティングしたが、複雑な熟成香を甘味がまとめるきれい系の古酒が多いと感じた。
2018年3月21日に開催された長期熟成酒研究会 | Association for Long Term Aged Sake のイベントにて。なお、この酒はイベントで試飲したもので商品として販売されていない。
(テイスティング日: 2018年3月21日)
ラベル情報
商品名 | 沢の鶴 本醸造 23年古酒 |
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醸造元 | 沢の鶴(兵庫県神戸市灘区) |
特定名称・種別 | |
原材料 | - |
酒造年度 | 1994BY |
原料米 | - |
精米歩合 | 70% |
酵母 | - |
仕込み水 | - |
アルコール度数 | 14.9度 |
日本酒度 | -30.0 |
酸度 | 5.10 |
アミノ酸度 | 3.10 |
製造年月 | - |
杜氏 | - |
その他情報 | - |
商品ページ | - |