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「不老泉」上原酒造の初呑み切りに行ってきました〈後編〉

木桶を使ったこだわりの酒造り きき酒のあと、いなせやの丸山さんに蔵の中を案内していただきました。 上原酒造さんのこだわりの酒造りについては丸山さんからよく聞かされていましたが、蔵の中を見て改めて驚きました。いままで全国10ほどの酒蔵を見学しましたが、「えっ!?」と思うことが一番多かった酒蔵でした。 まず木の桶。「いまは桶を作れる職人さんがいなくて」という話は聞いたりしますが、こちらでは柿渋をたっぷり塗りこんだ仕込み桶やお米を蒸すときに使う巨大な桶も木で出来ています。 お米を蒸す木桶は、今は酒造りのシーズンではないため、このように収納されています。米を蒸すときは、甑(こしき)と呼ばれる巨大な蒸し器に、この巨大なせいろをのせます。家庭で米を蒸すのと同じ方法です。 木の桶は蒸米の出す水分を程よく吸い取ります。だから桶のエッジに水分がたまってベチャベチャにならないとのこと。お米の水分量をコントロールするというのは酒造りでとても大切なことなので、ここで差が出るとのことです。 精米機 これは「竪型精米機」と呼ばれる米を磨く機械。ゆっくりと24時間以上
日本酒コンシェルジュ Umio 江口崇
「不老泉」上原酒造の初呑み切りに行ってきました〈前編〉

「不老泉」上原酒造の初呑み切りに行ってきました〈前編〉

7月26日の日曜日、夏真っ盛りの青空の下、「不老泉」の上原酒造の呑み切りに行ってきました。 「呑み切り」とは? 冬に造った日本酒はタンクで貯蔵、熟成させて秋から出荷します。「呑み切り」とは熟成の途中の段階で品質をチェックする工程です。通常は酒造りに携わる方を中心に行いますが、上原酒造さんは一般の参加者も受け入れています。 とは言っても、蔵開きなどの日本酒イベントと違い、参加者にも呑み切りの目的「品質のチェック」の役割が課されています。消費者の目線で50種類以上のお酒をきき酒し、評価します。上原酒造さんはプロの眼だけではなく、一般消費者の感性も大切だと認識されているのです。 琵琶湖の西、高島にある上原酒造 上原酒造は琵琶湖の西、のどかな平地に位置する歴史ある酒蔵です。最寄り駅のJR湖西線新旭駅を降りると、青い空、おいしい空気。気温は高いものの気分はとても爽やかになりました。空の高さ、心なごむ自然、夏を感じる緑。老後はここに住みたい!と思いました。 到着!すっかり落ち着いた色になった酒林、趣きのある看板。そことなく懐かしさを感じる建物の風情。 こ
日本酒コンシェルジュ Umio 江口崇
伏見帖〈酒処伏見と酒造りのお話〉

伏見帖〈酒処伏見と酒造りのお話〉

住んでいる町、好きな町、思い入れのある町について、小冊子や映像で思いを紹介する「わたしのマチオモイ帖」というプロジェクトがあります。 2015年のはじめに、私はマチオモイ帖を一つ作りました。京都の酒処・伏見と日本酒をテーマにしたもので、伏見のおすすめ散歩コースと、伏見の酒蔵・北川本家さんでお伺いした酒造りのことを中心とした内容になっています。 この「伏見帖」の内容をより多くの方に読んでいただくために、このブログ「日本酒コンシェルジュ通信」に掲載することにしました。 まえがき 「伏見帖」は京都にある日本有数の酒どころ、伏見での体験をまとめたものです。日本酒がきっかけで伏見を知り、酒蔵開きで初めて伏見を訪れました。それから何度もこの伏見に足を運ぶようになりました。 歴史に思いを馳せながら古い町並みの中を散歩して楽しみました。また、酒蔵の方々と交流しながら、伏見、そして京都のものづくりの文化を感じました。 私が伏見で体験したこと、感じたこと、考えたことを、この「伏見帖」でなぞり、何かを感じていただければ幸いです。 もくじ 1. それは、 ある出会いか
日本酒コンシェルジュ Umio 江口崇