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酒蔵で梅仕事を体験、自然に寄り添うものづくりを感じた一日

日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio 日本酒コンシェルジュ 江口崇 aka Umio

(2016年6月9日)

京都・伏見にある酒蔵、北川本家さんに梅酒の仕込みのお手伝いに行ってきました。北川本家では冬場の日本酒づくりが終わったあと、「はんなり京梅酒」をはじめとする梅酒を造っています。

梅の軸取りのお手伝い

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お手伝いしたのは梅の実の軸取り。数百キロ単位の大量の梅の軸を一つ一つ手作業で取り除きます。製造部の蔵人さんをはじめ社員の方総出でただひたすら、黙々と軸を取り除きます。

家庭で梅干しを作ったりする場合は竹串で梅の軸を取ることが多いですが、大量に作業するときはすぐにヘタってしまいます。

蔵人さんが考案した便利ツール

そこでこの秘密兵器。蔵人さんが考案したツールです。

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銅線を程よい形とサイズに成形したものです。仕込みに使う梅の軸のサイズにピッタリで、へたらず、手で持つ部分も疲れにくいという満点の器具です。

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これを使って数時間、ひたすら梅の軸を取り続けました。

梅の生育に合わせて梅酒を仕込む日が決まる

作業をしながら蔵の方に梅酒についてお話をしていただきました。

仕込みに使う梅は梅のトップブランド、南高梅(なんこううめ)。完熟したものを使います。甘味や酸味などいい味が出やすいからです。

南高梅という名前は、明治時代に最優良品種と認定されるまでの調査に尽力した竹中勝太郎さんが南部高校の教諭であったことから付けられたそうです。(Wikipedia 南高梅

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そのため、梅が入荷する日は直前までわかりません。熟すのが足りなくても、熟しすぎてもいけません。収穫の日は天候によって左右されます。農家の方は最善のタイミングで収穫します。そしてすぐに酒蔵に運ばれます。

酒蔵に梅が届いたらその日のうちに軸取りなどの下準備をして仕込みます。

やさしく梅を洗う、そして仕込む

8時頃から始まった軸取りの作業は昼前には完了。午後からは梅の洗浄と仕込みです。

これは芋洗い機。ローラーにはブラシのような毛が植えられており、回転と水でやさしく洗浄されます。

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梅に傷がつかないように洗ったあとは、焼酎や砂糖が入った大きなタンクに仕込みます。1、2年ほど漬け込み、熟成させるそうです。

写真は梅を洗ったあと水切りをしている様子。奥にある梅色をしたタンクに仕込みます。

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酒蔵は自然や季節によりそってものづくりをする場所

「梅の生育状況にあわせて梅酒を仕込む日を決める」。この言葉を聞いた時、「酒蔵とは自然や季節に寄り添ってものづくりをしているところなんだ」、と感じました。

冬場に日本酒を造る時も、醪(もろみ)の状態を毎日見て、いつ搾る日を決めます。微生物の働きによって人間の作業の段取りが決まります。

旬がある食べ物でさえ、それを感じることが少なくなった今、食べ物や飲み物をつくっている現場では自然に従って、自然に寄り添ってものづくりが行われています。

消費者として、食のものづくりに携わる方々のこの点を尊重して、そしてもちろん自然を尊重して食生活を送って行きたいと思いました。旬に外れたものを食べたい、とわがままを言っているのは私たちなのですから。

おすすめの北川本家の梅酒

北川本家では、定番の「はんなり京梅酒」のほか、いくつかの梅酒のラインナップがそろっています。おすすめなのが「八ツ橋梅酒」、ニッキの香りが心地よく、「いま私は八つ橋を飲んでいる」と思ってしまうドリンク八つ橋です。もう一つが**「宇治玉露梅酒**」、お茶の香りがくっきりと感じられます。

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