町家でお酒を楽しもう!No.9 湯葉と日本酒(京都開催日本酒イベントレポート)
京都の底冷えにも慣れてきた1月30日の夜、「町家でお酒を楽しもう!」の9回目が開催されました。歴史ある京町家で日本酒を楽しむというイベントです。20名を超える方にご参加いただき、とても楽しい会になりました。
(2013年1月30日開催)
京都の底冷えにも慣れてきた1月30日の夜、「町家でお酒を楽しもう!」の9回目が開催されました。歴史ある京町家で日本酒を楽しむというイベントです。20名を超える方にご参加いただき、とても楽しい会になりました。
今回のテーマは「湯葉とお酒」、京料理にはかかせない食材「湯葉」と日本酒を楽しみました。
今回は、京都御所のすぐ近くで湯葉の製造と販売をされている「ゆば長」の長井康裕さんにスペシャルゲストとして参加していただきました。ゆば長さんは『町家でお酒を楽しもう」の会場、町家スタジオのご近所さんです。
京都といえば湯葉、湯葉といえば京都。長井さんに、湯葉を作り方や湯葉づくりに大切な「水」と「大豆」についてお話をしていたきました。湯葉を作り続けている長井さんにしかできない貴重なお話でした。京都の地下には巨大な水瓶、つまり豊富な地下水脈があるそうです。このおいしい水と厳選された国産大豆を使って、湯葉が作られるとのことです。
下のリンクはゆば長さんのサイト。挿絵は長井さんがご自身でお描きになったものだそうです。
◯ 京都のおいしい水
◯ 国産大豆
長井さんのお話のあと、さっそく湯葉と日本酒を楽しみます。今回の湯葉はすべて、今年収穫されたばかりの国産新大豆を使ったものです。
まずは生湯葉、「さしみゆば」と「くみあげゆば」。これに塩と醤油を合わせていただきます。岩塩と海塩、さいしこみ醤油と薄口醤油を試しましたが、それぞれ違った味わいが感じられます。「何も付けずに湯葉だけで食べるのもいい」とおっしゃっていた参加者の方も多かったです。
実は生湯葉+オリーブオイル+塩、という組み合わせもなかなかけるんです。京都でオリーブオイルの輸入販売をされているソルプレーゼの竹林佐知子さんに湯葉に会うオリーブオイルをセレクトしていただきました。
竹林さんに選んでいただいたのは、イタリアはシチリア島産のArkè(アルケ)というオリーブオイル。青々としたフレッシュさとなめらかな口当たり、そしてほろ苦さが特徴です。
湯葉にオリーブオイルとは意外な組み合わせだなあと思っていたのですが、実によくマリアージュしました。岩塩と海の塩の両方を試してみたのですが、オリーブオイルには岩塩のほうがあうと思いました。
さて、これは何でしょう。ワインではありません。
塩、醤油、オリーブオイルと十分幅広い組み合わせを楽しみましたが、まだ、生湯葉にあう調味料がありました。「煎り酒」です。醤油が普及する江戸時代中期まで一般に使われていたそうです。日本酒と梅干しを煮詰めて作ります。長井さんの手作りです。
そしてお待ちかね、日本酒のラインナップです。我らが利き酒師片桐さんが湯葉の繊細な味、上品な甘味にあうように厳選した銘柄です。
左から
- 京都、佐々木酒造「古都」
- 京都、佐々木酒造「聚楽第」純米吟醸
- 福井、南部酒造場「花垣」純米にごり酒
- 山形、鯉川酒造「別嬪」純米酒
- 滋賀、美富久酒造「三連星」限定番外編吟吹雪(酒米に滋賀産の吟吹雪を100%使用)
花垣のにごり酒。まず、澱の部分が沈殿した状態で上澄みを味わい、その後に瓶をひっくり返して濁った部分と飲み比べました。利酒師片桐さんのアドバイスです。これは貴重な体験でした。にごり酒を飲む機会があったら、必ずこの方法で味わおうと思いました。
「聚楽第」と「古都」の佐々木酒造さんも会場の町家スタジオからすぐのところに蔵があります。おそらくゆば長さんが湯葉を作るのに使っているのと同じ地下水を使って、お酒を仕込んでいると思われます。
冬真っ盛りの中でのお酒の会、温かいものが欲しくなりますね。こちらもゆばづくし。東寺湯葉と揚げ湯葉です。
東寺湯葉は京都の東寺で考案された僧堂料理(禅宗の精進料理)。湯葉で百合根と銀杏、キクラゲを包んで揚げたものです。京都ならではの料理ですね。繊細だけどしっかりした味わいで、好物になりました。リピしそうです。
湯葉、日本酒、そして京都と京料理の歴史。舌と心と知的好奇心がまんべんなく刺激された楽しい会だったと思います。
参加者の皆さん、ゆば長の長井さん、ソルプレーゼの竹林さん、ありがとうございました!
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