坤滴(こんてき) ひやおろし|日本酒テイスティングノート

〈日本酒レビュー〉料理の邪魔をしない伏見らしい味わいに、ほのかな熟成感がある。

坤滴(こんてき) ひやおろし|日本酒テイスティングノート

酒どころ、伏見の日本酒がほとんど全てのめる「伏見酒蔵小路」。ここで伏見の酒を飲んで安心するのが週末の楽しみだ。

特定名称種だけを醸す東山酒造の「坤滴」。ウェブサイトの商品説明によると、「坤滴の『坤』は“土”と“伸びる”の合字で万物を成長させる大地の意」。つまり「坤滴」は大地のしずくということになる。酒は何かのしずくだと思うことがよくある。それはこの酒のように大地だったり、醸された土地の気候風土だったり、造り手の想いだったりする。

この酒は鳥取県の著名な農家、田中正保さん(田中農場)が育てた山田錦を使って醸されている。東山酒造のほかいくつかの酒蔵が田中農場の米を使い、ラベルには「田中農場米」と書かれている。

さっそくいただく。軽やかな味わいと口当たりにフルーティーな印象が彩を添える。料理の邪魔をしない伏見らしい味わいだ。グレープフルーツやライチの香りと、ほのかに笹の葉の青い香り、そして米を感じるきれいな香りがある。少しだけ熟成感があって、酒の芯となり、天ぷらとよく合った。

伏水酒蔵小路にて。

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テイスティングノート

70mlのグラス、10度位の冷酒で。

軽やかな甘味と酸味。やさしいライトな口当たり。フルーティーな印象。やや透明感あり。グレープルーツ、ややライチ、笹の葉、白玉粉の香り。ほのかに熟感があり酒に膨らみを与える。ほどよく切れ、余韻は短い。グレープルーツと白玉粉の香りとやや収斂味が余韻に。

料理の邪魔をしない伏見らしい酒。控えめな印象の中にある熟成感からくる芯が、天ぷらを引き立てた。

(テイスティング日: 2018年9月24日)

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ラベル情報

商品名坤滴 ひやおろし
醸造元東山酒造(京都府京都市伏見区)
特定名称特別純米酒
原材料米、米麹
酒造年度-BY
原料米山田錦100%使用
精米歩合60%
酵母-
アルコール度数15度
日本酒度±0
酸度1.5
アミノ酸度1.5
製造年月-
杜氏-
その他情報-
商品ページ-

参考文献

  • 牧瀬 和彦. 2000. 農業経営者ルポ「この人この経営」(13)ちゃんとした土づくりで世間に通用する経営を--鳥取県郡家町/田中正保さん. 農業経営者 8(7) (通号 54) 2000.07.
  • 日本酒一覧|田中農場. https://www.farm-tanaka.jp/html/page4.html (2021年9月6日閲覧)