十四代 角新(かくしん)純米吟醸 生酒|日本酒テイスティングノート
〈日本酒レビュー〉膨らむところは膨らんで、それでいて引っ掛かりがない。でもズームインすると酸味や香りが見えてくる。そんな印象の酒です。
膨らむところは膨らんで、それでいて引っ掛かりがない。でもズームインすると酸味や香りが見えてくる。そんな印象の酒です。
飲んで言葉があまり出てこない酒はバランスよくまとまった酒だと、常日頃から思っています。個別の香りや味の特徴に意識が行くことなく、全体として味わえる酒、心で味わいやすい酒なのです。特徴を見つける前に、いつの間にか飲み進んでいってしまう。「十四代 角新」はそんな酒です。
とは言っても、どんな味かを少しは書いておかないと、テイスティングノートを読みに来た皆さんはがっかりしてしまうかもしれません。書きましょう。
淡い山吹色は美しく、とろりと緊張感が同居するテクスチャ。コクを感じるミカン果汁や甘くない青いメロンの香りが広がります。ビビッドな酸味が心地よい。そしてピリリとした心地よい刺激とともによく切れ、長い余韻にはオレンジ果汁の香りが持続します。
この日は昆布とインド料理がテーマだったので、インドの天ぷら「パコラ」と合わせました。豆の粉を衣にして揚げる、スパイスの香り高い天ぷらです。食べ終わったあとしばらくしてから香りが戻ります。この時間差がおもしろい。酒の酸味が揚げたての天ぷらと合ったのはもちろん、添えられていたチャツネの酸味とも合いました。そうすると、酒にあるメロンのとろりとしたニュアンスが引き立つのです。
〆は、カレーととろろ昆布のお茶漬け。この2つがこんなに合うなんて! 発見とワクワクのある楽しい席でした。
おこぶ北淸にて。
テイスティングコメント
10度くらい、そば猪口で。淡い山吹色が美しい。とろりとしており、それでいて緊張感のある口当たり。甘味がきて、力強く長い酸味がきて、丸さを感じて、膨らむ。力がある。ボディがある。
透明感とコクのあるみかん果汁の香り。青くてあまり甘くないメロンの香り。甘夏のワタの香りが通り過ぎたあと、キリリと切れる。その時少しピリピリとした刺激が心地よい。余韻は長く、苦味のあるオレンジ果汁の香りが再び広がる。
(テイスティング日: 2020年3月8日)
ラベル情報
十四代 角新(かくしん)純米吟醸 生酒
- 〈醸造元〉 高木酒造(山形県村山市)
- 〈仕込み水〉 -
- 〈原料米〉 山形県産出羽燦々75%使用
- 〈精米歩合〉 50%
- 〈特定名称/種別〉 純米吟醸酒
- 〈アルコール度数〉 15度
- 〈原材料〉 米(国産)、米麹(国産米)
- 〈製造年月〉 2020-02-03