月桂冠NEWフリー|ノンアルコール日本酒テイスティングノート
〈日本酒テイスト飲料レビュー〉月桂冠のノンアルコール日本酒をテイスティングしました。ぬる燗で最もおいしく楽しめます。
月桂冠のノンアルコール日本酒をテイスティングしました。アルコールが入っていないので、「日本酒テイスト飲料(清涼飲料水)」です。酒器はブランデーグラスを利用しました。
ノンアルコール日本酒に再び出会う。
「月桂冠フリー」は2014年に発売。当時すぐに試飲しましたが、スポーツドリンクのような味わいで、日本酒感をあまり感じなかった記憶があります。甘味と酸味が主体で旨味、渋味、苦味で構成される日本酒。アルコールを抜くとそのようなテイストになるのは当然の帰結です。日本酒の香味はアルコールで特徴づけられる部分が多いと認識した覚えがあります。
今回テイスティングしたのは、「月桂冠NEWフリー」。アルコール0に加えて、カロリーゼロ、糖質ゼロを実現した新しい製品です。旧バージョンは「引き算のアプローチ」、つまり日本酒からアルコールを抜くという発想で開発されましたが、新バージョンでは「足し算」のアプローチを採用したといいます。
日本酒の成分組成を参考に、さまざまな原料を組み合わせて日本酒の香味を再現しました。ある苦味成分を使ってアルコールの刺激を再現し、汎用の日本酒フレーバーではない香料を使って日本酒らしい香りを作り出したとのことです[1]。
5-10度の温度帯で
冷蔵庫から出したての5から10度の温度帯でテイスティングしました。
上立ち香は炊いた米、リンゴのような甘いフルーツの香りです。口に含むとややとろりとした口当たり、酸味が爽やかな印象を醸し出します。苦味で切れて、後口にも苦味とややまとわりつくような甘みが残ります。余韻はとても短いです。
常温(20度位)
常温にまで戻すと、少し軽やかになってきました。飲み進めるとき、味の強弱で時間を感じます。軽くなったり重くなったりしますが、全体的にはなめらかにふわりと進みませす。後口の甘味が軽やかになり、あまり口の中に残らなくなりました。余韻には苦味と酸味、ともに心地よく感じられます。
ぬる燗
燗にしてみました。体温よりちょっと高い温度帯、40度程度です。
リンゴ系の甘い香りが上がってきます。やわらかでやさしい口当たりです。ピリピリとした苦味が刺激的です。静かに切れて、酸味とリンゴの香りが残ります。余韻にやや旨味を感じます。
とてもよい温度帯だと感じました。一番楽しめます。アルコールが入っていないのに、少し酔ったような、頭がぽわーっとするような感覚に見舞われます。なぜでしょう?
熱燗
次は、55度にまで温度を上げてみました。
上立ち香は青草の香りと甘味を連想させる花のような香り。口当たりは少しシャープ。酸味と苦味が重く感じられ、沈んでいくようです。少しビニールっぽい香りと旨味。余韻はやや長く、じわりと酸味、苦味が追いかけてくる印象。甘みが残ります。
技術力を感じる飲料、そしてニーズはある
米を一切使わずに、ここまで日本酒のニュアンスが表現できているのは素晴らしいです。「足し算」の考えでリキュールの技術が役に立ったと[1:1]いうことですが、合成清酒や増醸酒の技術も活用されているのではないでしょうか。とにかく高い技術力が感じられる飲料です。
ただ、どの温度帯でも口の中に苦味と甘味が残るのがあまり快適には感じられませんでした。糖質オフは大きなトレンドですが、グルコースを使ったものも出してほしいなと個人的には思いました。
周りの人に話すと、「だったらノンアルビール飲めばいい。飲める時に本物の日本酒を飲めばいい」という意見が多かったです。ですが、必要なシーンは多いと考えます。たとえば結婚式の三三九度や神事[2]。アルコール耐性がまったく無い方がつらい思いをせずにすみます。
また、日本酒を使うけど酔ってはいけないシーンでの利用も期待できます。煎茶道の酒点(お酒のお点前)の練習で使いました。水で済ませることがほとんどですが、酔わずに雰囲気が出るのはいいですね。
(テイスティング日: 2018年10月30日)
ラベル情報
商品名 | 月桂冠フリー・Alc. 0.00% |
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醸造元 | 月桂冠(京都府京都市伏見区) |
特定名称 | 日本酒テイスト飲料(清涼飲料水) |
原材料 | 柚子抽出物、調味料(有機酸、無機塩、アミノ酸)、酸味料、香料、甘味料(ステビア)、香辛料 |
酒造年度 | -BY |
原料米 | - |
精米歩合 | -% |
酵母 | - |
アルコール度数 | 0度 |
日本酒度 | - |
酸度 | - |
アミノ酸度 | - |
製造年月 | - |
杜氏 | - |
その他情報 | 賞味期限: 2019-09-05 |
商品ページ | http://www.gekkeikan.co.jp/products/type13/free/ |
とは言っても、御神酒の本質はアルコールであるという考えもあるし、天からの恵みである米を使うことという考えもあるので、ノンアルコール日本酒よりも甘酒などで代用するほうがいいのかもしれません。 ↩︎