日本酒コンシェルジュ Umio 江口崇

日本酒コンシェルジュ Umio 江口崇

京都で感動するほどおいしい日本酒に出会い、その魅力にとりつかれる。日本酒イベント・ワークショップと記事で日本酒文化を伝える活動を実践している。最近熱中しているのは酒の旅。

酒母づくり〈伏見帖〉

日本酒は蒸した米と水、米麹、酵母を大きなタンクに入れて発酵させて造ります。だからといって一度にこれらの材料を全部入れてしまっては、発酵をうまくコントロールすることができません。 そこで、まず発酵のスターターを作ります。これを「酒母(しゅぼ)」といいます。酒のお母さんです。ここから発酵が始まり、酒が育つのです。 地道な作業から酒母造りは始まる 私は幸運にも、酒母造りのお手伝いをさせてもらえることができました。「汲掛け(くみかけ)」という工程です。 桶の中に材料が全て入った状態では、まだ米と水が分離しています。米全体に水を浸透させるために、桶の真ん中に側面に小さい穴の空いた筒を入れます。そこに染み出してきた水をひしゃくですくって周りの米にかけます。もちろん手作業です。機械を使うと米の粒がつぶれていまいます。そうすると酒に雑味が出やすくなります。これを防ぐために、惜しみなく手間を掛けるのです。 この汲掛けの作業を、10分から15分に1回のペースで繰り返します。桶の水が一巡するくらいまでひたすらひしゃくで水をすくい、米にかけます。これを朝10時から夕方5時まで繰り返しまし
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麹づくり〈伏見帖〉

つぎは麹づくりです。 蒸した米と麹菌というカビの一種を使って日本酒の原料のひとつ米麹をつくります。麹づくりはとても手間のかかる工程です。まる3日間、昼も夜もつきっきりの作業なので、酒蔵に泊まり込みの作業になります。 麹づくりは麹室(こうじむろ)という、温度と湿度が管理できる部屋で行われます。蒸したての米をひろげて、その上に種麹(たねこうじ)とよばれる麹菌の胞子をふりかけます。すると菌糸が米の表面や内部を分解しながら伸びていきます。十分に菌糸が発達したら、米麹の出来上がりです。この過程で麹菌は米のデンプンを糖に分解するので、食べてみるとちょっと甘いです。 米の表面いっぱいに菌糸が伸びた状態の「総破精麹(そうはぜこうじ)」や表面はまばらだけれど米の奥まで菌糸を伸ばしている「突き破精麹(つきはぜこうじ)」など、違ったタイプの米麹を作り分けます。どういう味の酒を造るかによって使い分けます。 デリケートな温度・湿度管理が必要な麹づくり 麹の菌糸がどのように成長するかをコントロールするのは、温度と湿度です。米麹をつくる3日間の間ずっと、米麹の状態を見ながら、温度と湿度
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米を洗う、米を蒸す〈伏見帖〉

酒造りは、米を蒸すところから始まります。その前にまず、米を洗い、吸水させます。 この日は蔵人さんたち総出で米を洗いました。一緒に酒造りのスタートを切るのです。酒ができるまでには5週間から2ヶ月以上かかります。それまで気持ちを保ってチームで助けあう必要があります。そのために、最初の作業の洗米をチーム全員で力を合わせてやりとげるのです。 子どもが2、3人入れるような「半切桶」とよばれる大きな桶を使います。一度に10キロ程度の米を洗います。杜氏さんはストップウオッチを持って、洗う時間を測ります。 杜氏さんの掛け声で米を洗い、水を替えるのを繰り返したあと、吸水させます。私はどうしてここまでぴったり時間を合わせて洗米をするのかが不思議でした。でもあとで洗った米の重さを量っているのを見て「なるほど」と思いました。 米を洗う前の重さ、洗って吸水させたあとの重さを計量するのです。その差を計算するとほとんどぴったり30%だけ重さが増えていました。つまりその分だけ水を吸ったということです。手作業なのにほとんどぶれはありませんでした。 米の水の吸いやすさは品種やできた年ごとに違います。こ
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